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23日目 ~正午、遺跡、内通者~ (前編)



 昨夜はイロイロ面倒なことになったが、何はともあれ目的は達成した。Mages Guild(メイジギルド)側の目的は、アレで良かったのか微妙なところだが……でも、元はといえばRaminus(ラミナス)がちゃんと説明しておけばトラブルにならずに済んだのだから、悪いのは全部Raminus(ラミナス)のせいってことで。




 今日はひとまずKvatch(クヴァッチ)に行って、復興支援の約束をしてもらったことを伝えねば……ん?





 おいおい、一昨日ここを通った時にはこんな物なかったぞ? 最近やけにOblivion Gate(オブリビオン・ゲート)が活発化してるんじゃないのか? ここも街道のすぐそばだから、安全確保のために少し掃除してくるか。





 はいはい、邪魔ですよっと。





 以上、掃除終わりっ!





 本当は激しい戦いがあったような気もするのだが、コメントするのも面倒なので最近はカット気味。





 Oblivion Gate(オブリビオン・ゲート)から離れると、あの赤い空も治まってくるな。





 ちょっと霧で見えにくいが、あの高台がKvatch(クヴァッチ)だ。





 馬で坂道を駆け上ってくる頃には、太陽も昇ってきた時間になったな。昨夜寝た時間と、今朝起きた時間を考えれば、大して寝ていないことが分かるだろう。





 Matius(マティウス)は……いたいた。朝早くからご苦労なことで。ウチが声をかけるよりも先にMatius(マティウス)がこちらに気づいた。






「友よ! この街のためにしてくれてありがとう。礼を尽くしても尽くしきれない。石材と建築士は先ほど到着したところだ。すでに修復作業に入っているぞ!」



 おお、ずいぶん早い仕事だな……っていうか、建築士たちはさっきのOblivion Gate(オブリビオン・ゲート)の前を通ってきたんだろうか?


「まだまだ復興には時間がかかるだろう。貴方に返せるものが無くて本当に済まない。しかし、いつか必ずこの恩は返させて頂く」



 え? ああ、うん……。まぁ復興中だから大した物は期待はしていなかったけど、まさか何も貰えないとは思わなかったな。とりあえず、一つ貸しな。復興終わったら何かおごれよ?





 さて、ちょいとKvatch(クヴァッチ)の街中でも見て回るか。とはいっても、道の瓦礫や死体をどかした程度で、建物の修繕はまだまだこれからの状態だ。教会の向こうの方で、建築士たちらしい人たちの掛け声が聞こえてくる。





 お、あいつは見覚えがあるぞ。Martin(マーティン)の同僚だった修道士だな。






「ああ、貴方ですか。……Skingrad(スキングラッド)からここへ来る途中、Oblivion Gate(オブリビオン・ゲート)が開いたと建築士たちから聞いたのですが、それは本当ですか?」



 うん、マジマジ。ちょっと来る途中に掃除してきたけど。


「そうでしたか。道中、Patricia(パトリシア)に会いませんでしたか?」



 Patricia(パトリシア)? あの冒険初心者の女の子か? そういやKvatch(クヴァッチ)の街中では見かけなかったけど……。


「どうやら彼女は復興作業に興味を示されませんでして……建築士からOblivion Gate(オブリビオン・ゲート)の話を聞いた途端、街を飛び出してしまったのです」



 おいおい……。





 あの修道士の話によると、Patricia(パトリシア)はあくまで偵察だけだと言い張っていたようだが……心配だ。





 Kvatch(クヴァッチ)からOblivion Gate(オブリビオン・ゲート)までの道中、通りすがりの人にPatricia(パトリシア)を見なかったか聞いてみる。途中にあったキャンプでそれらしい女性を見たとの事だが……キャンプって、あそこか?





 いたいた。お前さん、よっぽどこのキャンプに縁があるんだな。っていうか、大丈夫か?






「ええ、大丈夫よ。それに私がここで見張っていれば、街の女性たちも安心して野草集めが出来るでしょ?」



 言い忘れていたが、Kvatch(クヴァッチ)の復興は主に男性陣が行っており、女性陣は薬草や食べられる野草などを採るために外に出ていることが多い。Kvatch(クヴァッチ)のOblivion Gate(オブリビオン・ゲート)はウチが閉じたとはいえ、街道には野盗も出るし獰猛な動物が出ることもある。Patricia(パトリシア)は、彼女たちが危険に会わないように付近を偵察しているのだと言いたいらしい。


「それにしちゃ、ここはKvatch(クヴァッチ)から結構離れすぎちゃいないか?」

「まあね、建築士たちからOblivion Gate(オブリビオン・ゲート)の話を聞いて、どんなものか見に来たのよ」

「そうかい。で、ご感想は?」

「通りすがりの冒険者たちが戦っている中、隅っこから見ているだけしか出来なかったわ。悔しいけれどもね」



 Oblivion Gate(オブリビオン・ゲート)から出てくるDaedra(ディードラ)といえば、あのトカゲの化け物やScamp(スカンプ)。たまにFlame Atronach(炎のアトロナック)も出てきたりしている。野盗すら倒せないこの子じゃ、あまりにも荷が重いな。


「だから私に出来ることと言ったら付近を見張ることぐらいね」

「いやいや、見張りってのも大事だぜ? 見張りが居るおかげで、Kvatch(クヴァッチ)の人たちも安心して野草を採りに出かけられるんだからさ」

「……ありがとう、そう言ってもらえるとやる気が出てきたわ」

「おう、その調子だ。でも無理はするなよ?」






 あの様子なら、もう無茶をすることも無いだろう。最初に出会ったとき、この前会ったとき。更にどうやらついさっきも自分の無力さを実感した様子だしな。





 ゲートの前を通ったが、邪魔するDaedra(ディードラ)は現れなかった。通りすがりの冒険者が倒したって言っていたし、さっきウチも倒してきたからな。しばらく出てこないと良いんだが……ん、通りすがりの冒険者って、この子かな? それともキャンプに行く前に出会った人たちかな?





 何にしてもこっち方面の仕事は終わったことだし、Imperial City(インペリアル・シティ)まで戻るとしよう。Raminus(ラミナス)に報告兼文句もあるし、Tar-Meena(ター=ミーナ)に頼んだMankar Camoran(マンカー・カモラン)の『解説書』の調査も進んだ頃だろう。





 よしよし。ウチの愛馬もようやくSkingrad(スキングラッド)から旅立つときが来たな。これからはバリバリ働いてもらうぞ。





 しかし、天気は相変わらずだな。集合墓地のOblivion Gate(オブリビオン・ゲート)も、事前にガードに警戒するよう頼んでおいたので、Daedra(ディードラ)たちは出てこなかったのは良かったけれどもな。





 この森の中を抜ける頃には、天気も良くなると良いんだがな。





 そういえば、Skingrad(スキングラッド)からImperial City(インペリアル・シティ)に向かうのって初めてじゃね? あそこを右に行けばImperial City(インペリアル・シティ)へ繋がるのだが、まっすぐ行くと……。





 ここにたどり着く。ここは一昨日、岩っころに襲われたAyleid(アイレイド)の遺跡だ。でも用は無いので、脇の斜面を降りて街道に戻る。





 お、森を抜けたら丁度良く天気も晴れてきたな。





 雲ひとつ無い快晴とは言えないが、それでもあの赤い空よりよっぽど良い。





 Imperial City(インペリアル・シティ)西の大橋に到着……あれ? なんかおかしいな。





 この橋ってまっすぐ東西に繋がっているはずだよな? そして今ウチは真東に向かっている。そしてその方向に太陽が見えるわけだが……あれ、時間間隔がおかしくなってきたぞ?





 朝早くに出たから、今は多分昼前ぐらいなんじゃないかと思うんだけれども……ま、いっか。よし愛馬ちゃん。Vixen(ヴィクセン)に久々の対面だぞ。





 ……って、また椅子の上?






「椅子は座るもので、上に立つものじゃないだろう? 高いところから見下ろしたくなる景色かい? それともまたランプに火を点けていたのかい?」

「あら、会っていきなりのご挨拶ね。ちょっと暇だったから本を読むのに明かりが欲しくなっただけよ」



 Vixen(ヴィクセン)に会うときは、2回に1回は椅子の上に立ってる気がするな……。


「ズバリ、怪しい」

「な、何よ急に……」

「そのランプ、ただのランプじゃないな!」

「あらあら、ふふっ。ただのランプじゃなかったら何だと言うのかしら?」

「当ててやろう! それはランプと見せかけておきながら、実は魔法の通信装置だったのだ! ここで怪しいヤツを見かけたら、その通信装置でガードに通報していたんだろう!」

「ふっふっふ、バレてしまっては仕方が無い……って、そんなわけないでしょ」



 うーん、なかなかノリの良いヤツだな、Vixen(ヴィクセン)め。






「けどガードに通報はともかくとして、最近ますます治安が悪くなってきてるのは確かね。近頃あちこちにOblivion Gate(オブリビオン・ゲート)が開いてるって噂だし」

「あ、それ噂じゃなくて事実だから。今日2個も見てきちゃった」

「あら……そういえばそうよね。なんてったって貴方、Oblivion Gate(オブリビオン・ゲート)を閉じた"Hero of Kvatch(クヴァッチの英雄)"ですものね」

「う……あんまりその名前で呼ばれるのは好きじゃないな」

「はいはい。とにかく治安が悪いのは事実だから、貴方も気をつけなさいね。例えば、自分の馬をそこら辺に放置したりすることのないようにね」






 Vixen(ヴィクセン)め、痛いところを突きおって……しかし言うことは最もだな。馬だって無料じゃないんだから盗られたらたまったもんじゃない。ちゃんと管理できるところに任せておかないとな。

 その点、各街には厩舎が用意されている。こういうところに一時的に預けておけば取られる心配も無いだろう。






「外でうちの馬を見なかった? 見てない? そう。消えただけね」



 えー。何だよ、厩舎に任せれば安心と見せかけておきながら、自分のところの馬を見失うってどういうことよ。厩舎も安心じゃないって事かよ?






「……というわけで、ちょっと馬を預かってもらえないかい?」

「何が、というわけで、よ。でもまぁあそこの厩舎は止めて正解だけれどもね」

「それってどういうこと?」

「何でもあそこの厩舎の主人……Orc(オーク)の女性なんだけれども、彼女の好物が桜肉だって噂があってね……」

「サクラニク? なにそれ?」

「知らないなら知らないで構わないわ、大したことじゃないから。……そうね、預かってもいいけど、あまり長い間は無理だからね?」

「ありがと、恩に着るよ」






 というわけで、馬はVixen(ヴィクセン)に預けることにした。今は大学へと向かっているところなのだが……あ、Vixen(ヴィクセン)に太陽の位置がおかしい話をしておけばよかったかな?





 大学到着。早速Tar-Meena(ター=ミーナ)に会いに来た。


「どう? 調査の方は進んだ?」

「ええ、もう完了したわ」

「そう、完了した……なんですと!?」



 Tar-Meena(ター=ミーナ)は『解説書』を開いて指差した。いや、だからウチは文字が読めないんだってば。






「素晴らしいわ。見てみましょう……ほら! 各段落の最初の文字がメッセージになってる!」



 な、なんだってー! それじゃあれか、文章の中身って実は全く用を成しておらず、ただ縦読みすれば良かったってことかよ。


「……で、なんて書いてあるの?」

「こう書いてあるわ。"塔が正午の太陽に触れるGreen Emperor Way(グリーンエンペラーウェイ)"。Green Emperor Way(グリーンエンペラーウェイ)"はご存知かしら?」

「えーっと……どこかで聞いたことはある」

「Imperial City(インペリアル・シティ)の中心部にある宮殿地区の庭のことよ。正午にそこで何か起こるのよ! ワクワクしちゃう!」

「正午の……太陽? そういや太陽の位置がおかしい気がしたんだけれども……」






 何でも今は季節上、太陽の軌道が変わる時期だとかなんだとか……そんなの聞いたことないぞ、畜生め! 聞いたらすでに正午を過ぎてるって話じゃないか! 何かが起こると言われても、正午を過ぎてから行っても意味ないじゃないか!





 そして更に文句を言うなら、書かれている言葉は"塔が正午の太陽に触れるGreen Emperor Way(グリーンエンペラーウェイ)"という一節のみで、具体的にGreen Emperor Way(グリーンエンペラーウェイ)のどこで起こるのかまでは書かれていないとのこと。そのせいで余計に急いで探している最中だ。





 具体的にどこで何を探せばいいのか分からない状態で、おそらく正午をとっくに過ぎてる時間でとにかくGreen Emperor Way(グリーンエンペラーウェイ)を走り回っている。ええい、くそ! いったい何が起こるって言うんだ!? ……とぉ!!





 なんだこれは? これがそうなのか? 確かに怪しく赤く光っているけども……太陽のマークか? ……ん、太陽?






「これは……Cyrodiil(シロディール)の地図か?」



 この形はCyrodiil(シロディール)の国の形を現していたと記憶している。何度も地図を見てきたから、多分間違いないと思う。この小さな点は都市の位置だろう。しかし右の丸と十字はいったい……? 一応地図を開いて見比べてみようか。





 中央のImperial City(インペリアル・シティ)。東にはCheydinhal(チェイディンハル)がある。怪しい印は、Cheydinhal(チェイディンハル)の少し北側を指し示していたような……ああっ!?





 地図を見ている間に、赤い光はもちろん、あの怪しい印も消え失せていた。正午はとっくに過ぎているのだから、当然といえば当然か。むしろ太陽の軌道が変わったおかげで、いつもより遅くまで残っていたと考えるべきだろうか。






「やあ」

「よう」



 一瞬ではあったが、確かに『解説書』のメッセージどおりに起きるべきことは起きた。印はCheydinhal(チェイディンハル)の少し北を示していた。地図で見る限りだとそのあたりには湖があるようだったが……。


「どう? 何か面白いことでも起きた?」

「ああ、時間ぎりぎりで何とか確認できたよ。多分あれがそうなんだと思う」



 ウチはTar-Meena(ター=ミーナ)に、Green Emperor Way(グリーンエンペラーウェイ)で見つけたことを話した。


「Cyrodiil(シロディール)の地図が彫られたものと言えば、Tomb of Prince Camarril(カマリル王子の墓)のことね。でも赤い光というのは見たことが無いわね。そうそうカマリル王子というのは……」



 Tar-Meena(ター=ミーナ)は何やらずっと説明しているようだが、ウチにはさっぱりわからん単語が出てくるので、話の10割はスルーさせてもらった。多分、この国の歴史に関する話をしていたんだろう。


「ところで、結局のところMythic dawn(神話の暁)教団ってのは何なんだい?」

「ずいぶん砕けた質問の仕方ね。いいわ、具体的に話をしてあげる」

「いや、簡潔に説明してくれ」

「・・・・・」







「Mythic dawn(神話の暁)教団は、Daedric Prince(ディードラの王子)の1人、Mehrunes Dagon(メエルーン・デイゴン)を崇拝するカルト教団よ」



 それは知ってる。


「信者はMankar Camoran(マンカー・カモラン)の教えに従っている」



 それは前に聞いた。


「Mankar Camoran(マンカー・カモラン)は、Oblivion(オブリビオン)と人間界が隔てられていなかった時代、すなわち神話の時代の再来を謳っている」



 それは……初耳だ。


「お約束の戯言は、破壊による浄化だ。奴らはMehrunes Dagon(メエルーン・デイゴン)をTamriel(タムリエル)に降臨させ、この世の全てを浄化しようとしている」



 それは何となく想像ついた。……Tamriel(タムリエル)? どこかで聞いたな、何だっけ?


「Tamriel(タムリエル)って?」

「……この世界そのものよ。Cyrodiil(シロディール)やMorrowind(モロウィンド)はもちろん、遥か遠くのSummerset Isle(サマーセット島)までも含めた大陸のことよ」



 ……だそうだ。Meridia(メリディア)の信者がMythic dawn(神話の暁)のことを破壊主義者と言っていたが、まさにその通りだな。


「ところで、Cheydinhal(チェイディンハル)の北に印が付いていたと言ったわね」

「あ、うん。見たのは一瞬だったけども」

「Mythic dawn(神話の暁)の信者はみんな赤いローブを着ているらしいわね」

「ああ、それは間違いない」

「これは又聞きなんだけれど、Cheydinhal(チェイディンハル)のMages Guild(メイジギルド)からの報告で、Cheydinhal(チェイディンハル)の北にある湖の付近で、赤いローブを着たギルドに所属していない魔道師風の人を見かけた、という報告が以前あったらしいの」

「それって……」

「湖の付近には洞窟があったらしいわ。調べてみる価値はあると思うけど?」






 Mythic dawn(神話の暁)のアジトについて目星は付いた。このことについては一度Jauffre(ジョフリ)に知らせておいたほうが良さそうだな。

 さて、もう一つの仕事を報告しておこうか……なぁ、Raminus(ラミナス)?






「君に謝罪せねば。君の身を危険に晒すことは、評議会の意図する所では無かった」



 とりあえず、穏便に、冷静に、しかし確実に怒ってることだけは分かるように、Skingrad(スキングラッド)での出来事を説明してやった。あぁ? あ、いや、切れてないっすよ?


「で、なぜ本当のことを伝えてくれなかったわけ?」

「伯爵の"特異な体質"は一般には知られていない。そして評議会もそのようにしておくことを望んでいる」

「特異な体質?」

「君も伯爵の姿は見たのだろう?」

「見たけど、それが何か? あ、目が何か変だったけど……」

「気づかなかったのか? 伯爵は吸血鬼だ」

「へー」

「へぇって、それだけか? もっと驚いても良さそうな話なのだが……」



 いやぁ、正直どうでもいいわ、そんなの。ウチが吸血鬼に襲われるってのなら別だけど……ん、待てよ? 吸血鬼は美女ばかり狙うという話だったのに、あの伯爵はウチのことを狙わなかった。ということは……つまり……。


「いや、君がどういう考えをしているのか容易に想像できるのだが……。伯爵を擁護するわけではないが、彼は自分が吸血鬼と知られぬよう用心に用心を重ねている。我が評議会からは隠すことは出来なかったがね。伯爵は自分の素性を明かさぬ事を条件に、我々に有益な情報を提供してくれる。そのため、彼の正体について明かすことも、君を派遣した真の目的も明かすことは出来なかったわけだ」



 そういうことか。更に言えば、ギルド所属のウチを襲ったりしたら正体バラされてもおかしくないというわけだな。そういう苦渋の選択があったのならば仕方ないな。


「あとは伯爵が言っていたこととほぼ同じだ。Skingrad(スキングラッド)でNecromancer(死霊術師)が活動しているようなので君を派遣した。あまり高位の者を派遣すると、Necromancer(死霊術師)も伯爵も警戒する恐れがあったのでな。だが君の活躍のおかげで、伯爵はNecromancer(死霊術師)と何ら関わりが無いことが判明した。君が無事仕事をやり終えたことに加え、別件でNecromancer(死霊術師)の拠点を潰したことを考慮した結果、君の昇格を認めよう。君の位階は新たに、Evoker(召喚者)となる」



 ずいぶん早い昇格だな……ああ、なるほど。伯爵が吸血鬼だということを広めたくないための口止め料ってことか。


「それと合わせて早速次の仕事なのだが……どうする? 少し休息が必要かな?」

「んー……ああ、大丈夫」



 本当はMythic dawn(神話の暁)のアジトの件があるけどもな。そっちはJauffre(ジョフリ)に教えてやれば、あとは何とかするだろう。






「大変結構。帝国東部に存在する、あるAyleid(アイレイド)遺跡の調査プロジェクトが進行中なのだが、そのプロジェクトの責任者であるIrlav Jarol(アーラヴ・ジャロル)が、支援を求めているようなのだ」

「ほほう。ついにAyleid(アイレイド)の遺跡絡みの仕事を回してくれるのか」

「詳しいことはIrlav(アーラヴ)に聞いてくれ。そろそろ塔から降りてくる頃だと思う。それまで少し待っていてくれ」



 いいよいいよー。最初っからAyleid(アイレイド)の遺跡を調べる為に大学に入ったようなものなんだから、もう少し待つぐらいどうってことないさ。





 ちょいとゆっくりしていたら、あのPortal(ポータル)から誰か現れた。あいつがIrlav(アーラヴ)とかいうヤツかな?


「待たせてすまない。Vahtacen(ヴァタセン)の手伝いをしてくれるのは君かな?」

「Vahtacen(ヴァタセン)?」

「ああ、現在手がけているAyleid(アイレイド)遺跡の名だ。いやはや、まったく恥ずかしい話だが多忙の身でね。私はずっとあのプロジェクトをなおざりにしてきたのだ。最近、調査員のSkaleel(スカリール)が送ってきた報告書によると、何らかの問題が発生しているようだ。通路が塞がれていて先に進めないとか」



 ほうほう、その障害を何とかしろという話だな。






「詳細を調査したいのは山々だが、私には評議会での務めがあってね。Raminus(ラミナス)の話によると、君は優秀な頭脳の持ち主だそうだね」

「任せろ、ウチの灰色の頭脳が高速で空回りすれば、どんな難問でも解決してやるさ」

「そうか、私の代わりに行ってくれるか? Skaleel(スカリール)とは現地で会えるだろう。Vahtacen(ヴァタセン)はCheydinhal(チェイディンハル)の南西にあるAyleid(アイレイド)遺跡だ。内部に遺物が埋もれている可能性があるので、もしそれらしい物を見つけたら確実に持ち帰ってきてくれ」



 どうやら遺跡発掘に付き物の、お宝まであるらしいな。それがウチの求める物かどうかは分からないが、行くだけの価値はありそうだ。






「君の帰りを待っているからね」



 そう言うとIrlav(アーラヴ)は、Portal(ポータル)に乗って消えてしまった。このPortal(ポータル)は、高い位階に付く者でなければ立ち入り禁止というヤツだ。ウチもトントン拍子で昇進しているが、まだこの先には行ってはいけないらしい。

 そんなことよりも、だ。





 偶然というかなんと言うか。調査するAyleid(アイレイド)遺跡も、Mythic dawn(神話の暁)のアジトも、Cheydinhal(チェイディンハル)の近辺にあるという話だ。何か出来すぎた話だな。まぁMythic dawn(神話の暁)のアジトに関しては、Blades(ブレイド)の方が何とかするだろう……多分。


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ひなみこと

Author:ひなみこと
昔:セクハラ騎士
今:セクハラ(される)魔術士

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