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22日目 ~異端、兄妹、ご支援~



 翌朝、面会の用件が増えたことと、料理長から面会の約束を取り付けたことを執事に伝えるために城に向かう。ところで今思ったんだが、昨夜のうちに執事に話しておけば、今日城に行かなくても良かったんじゃね?




 執事は……いたいた。おーい、伯爵との面会の件なんだけど。






「貴方ですか、申し訳ないがまだ伯爵の返事はいただけてないのですが……」



 ああ、いいよ別に。面会なら料理長のほうから……。


「午後まで待ってはいただけませんか? 必ず伯爵との面会を設けますので」



 え、だから料理長に……。





 結局、午後まで待つことにしてしまった。いやさ、何か必死に頼まれたら断りづらくね? ウチもそんな嫌な人間だと思われたくないしさ。決して話を押し切られたわけじゃないからな。





 でもどっちにしろ、伯爵の面会までは時間があり余っている。時間まで待つのも暇なものだな。何か暇つぶしが出来るようなことって無いだろうかな。






「それで、どうして私のところに来たわけ?」



 ここはSkingrad(スキングラッド)の街中にあるAlchemy(錬金術)の店。以前、Sinderion(シンデリオン)が居ると勘違いした店だ。


「いやぁ、たまたま目の前を歩いていたから、ちょっとお話でもと思いまして。どう、景気は?」

「悪いわよ。このご時世じゃどこも似たようなものね。でも故郷のMorrowind(モロウィンド)に帰るつもりは無いけれど」



 Morrowind(モロウィンド)とは、Cyrodiil(シロディール)より北東にある島だと聞いたことがある。Dunmer(ダンマー)……Dark Elf(ダークエルフ)が多く住んでいるとか何とか……詳しくはよく知らん。


「ところで……ここCyrodiil(シロディール)での屍姦の罰金はいかほどかご存知?」



 ・・・・・。は? 今なんていった? 屍姦? いわゆる、ネクロフィリア?


「別に他意はないわよ」

「いや……突然の話なんでびっくりしただけで……うーん、よく分からんけど500ゴールドくらい?」

「Morrowind(モロウィンド)に比べて大したこと無いわね。ありがとう」



 えええええ。なになに、どういうこと? いや、これは深く突っ込むのは危険だ。このまま話をスルーした方が安全だろう。何かよく分からんけど怖い。


「えーっと、そうだ。Skingrad(スキングラッド)のあたりで何か観光になるような場所とか珍しいところとかない?」

「あまり街の外に出ることは無いから分からないわね。出るとしても近くの野草を摘むぐらいだし……」







「……でも、たまたまだけど、Skingrad(スキングラッド)の遥か北北西にあるImperial Reserve(帝国保護区)で、Sunguine(サングワン)の信者に出くわしたことがあるわ」

「Sunguine(サングワン)?」

「Daedric Prince(ディードラの王子)の1人よ。ここCyrodiil(シロディール)では異端の神として蔑(さげす)まされているけど、Morrowind(モロウィンド)出身の私にとってはDaedric Prince(ディードラの王子)こそ信仰すべき神様よ」



 んー。やっぱり詳しくは分からんが、Cyrodiil(シロディール)において信仰する神様とは、Nine(ナイン)と呼ばれる9人の神様のことで、それ以外を信仰するのは異端者扱いされてるってこと。で、その異端の神を信仰する人たちの集まりを見かけたってことね。……まぁ珍しいんだろうな、多分。

 だが、Mythic dawn(神話の暁)教団はMehrunes Dagon(メエルーン・デイゴン)を崇拝しているのだという。Mehrunes Dagon(メエルーン・デイゴン)もまたDaedric Prince(ディードラの王子)の1人らしい。同じDaedric Prince(ディードラの王子)を信仰する信者同士で、何か繋がりがあるかもしれないな。


「で、その信者と出くわした場所は?」

「残念だけど、はっきりした場所は分からないの。夕暮れ時だったから道も見えなくて」






 ふむ。とにかくSkingrad(スキングラッド)の郊外にそういう連中が居るということは確からしい。これは確認しておかねばならないな。

 ついでにせっかくAlchemy(錬金術)の店に来たのだからと、素材を買い込んでポーション作りにふける。万一の事もあるしな。





 1時間ばかりかけて作った結果がこちら。もう道具袋がパンパンだぜ。あ、このポーションは複数の素材を混ぜ合わせて作った自信作。体力とMagicka(マジカ)を回復させながら、防御効果も身につくという優れものだ。





 それじゃ早速、そのSunguine(サングワン)とやらのところにでも向かってみるか。何か情報がつかめるかもしれない。





 問題は、信者と出くわしたという場所がよくわからんと言っていたが……あれ? どっちの方角だって言っていたっけ? 西北西だっけ?





 あ、見えた見えた。なんかそれっぽい石像みたいなのが立ってるぞ。あそこが多分そうなんだろう。





 彼らが信者なのかな? 見た感じは普通の一般人と修道士みたいだけれど……ちょっと話を聞いてみるか。






「無限力の淑女と称されるMeridia(メリディア)に何の用だ?」



 あれ? Meridia(メリディア)? Sunguine(サングワン)とか言うのじゃなくて?


「Sunguine(サングワン)? あのような道楽主義の神をお求めか?」



 いや、面倒だからここで良いわ。どうせ同じDaedric Prince(ディードラの王子)を信仰している連中みたいだし……ああ、こっちの話。

 ふむ、見た感じはやっぱり普通の一般人たちっぽいな。もっとも、Mythic dawn(神話の暁)みたく変身する連中という可能性も捨てきれんが。


「Mythic dawn(神話の暁)教団って知ってる?」



 面倒なので単刀直入に尋ねる。仲間で襲い掛かってきたらその時はその時だ。Sunguine(サングワン)の信者を相手にするときに気をつければ良い。


「Mythic dawn(神話の暁)教団と言うと、脳筋馬鹿のMehrunes Dagon(メエルーン・デイゴン)を信仰してる破壊主義者たちのことか」



 うわぁ、ひどい言われよう。この反応は予想してなかったわ。どうやらDaedric Prince(ディードラの王子)を信仰していると言ってもイロイロあるようだな。あれか、一般人からみたらオタクはみんな一緒に見えるけど、ジャンルが異なるオタク同士は互いに蔑んでいるみたいな感じ? あれ、違う?

 おっと、話が脱線したな。このMeridia(メリディア)の信者の話だと、Mythic dawn(神話の暁)教団との交流は全く無く、名前だけ知ってるという程度の関係だそうだ。連中のアジトがどこにあるのかも知らないとのこと。だが、以前Skingrad(スキングラッド)に集まっていた連中というのは、やはりMythic dawn(神話の暁)の連中で間違いないとのことだ。

「どうやら貴方はDaedric Prince(ディードラの王子)の信仰にご理解ある方のようだ。故に貴方はここShrine of Meridia(メリディアの祠)で歓迎されます。特定の条件を満たせば、貴方は彼女と話すことが出来るようになります」

「え? いや、別に入信希望とかじゃないんで……」

「この祠に供え物を置くのです。Meridia(メリディア)は彼女の敵、不死者の残滓(ざんし)という形での捧げ物を所望しております」






 聞いちゃいないな、まったく。しかし無意味に彼らと争う気も無いからな。お布施の要求も大それた物じゃないし……不死者の残滓って言ったよな。さっきポーション作りの時に余った"死体の肉"でも捧げてみるか。というか、何でこんな物まで売っていたんだろうな、あの店……。

不浄なものから、私は力を得ることが出来る
手に入れし不浄なものを供物に捧げれば、汝に利益あるだろう、定命の者よ


 おおっ!? なんだなんだ? 頭に直接声が響くぞ?





―不死者は汚らわしくも、自然に反する存在。我の宿敵たちがこの醜悪な者を好むのだ―
―Meridia(メリディア)は違う、我は破壊を願っている―
―隠された扉、Howling Cave(荒涼洞窟)の深き奥、そこにNecromancer(死霊術師)たちはいる―
―墓を暴き、死者の兵隊を作ろうとしている―
―Necromancer(死霊術師)たちを見つけ、あの者たちとその醜悪な成果を破壊せよ―
―これを為したなら、Meridia(メリディア)の謝意を得られるであろう―



「・・・・・」



 それっきり声は聞こえなくなった。いやはや、Mythic dawn(神話の暁)の情報を得ようと思ったら、Necromancer(死霊術師)の情報を得たとはなぁ。ところで、Howling Cave(荒涼洞窟)ってどこ?





 信者の男に聞いてみた。Skingrad(スキングラッド)の東の方にあるんだってさ。





 はいはい、どうもね。それじゃNecromancer(死霊術師)狩りでも行ってくるか。あ、別にカミサマに従うわけじゃないぜ? たまたま利害が一致しただけだからな。


「その馬……貴方のだったの?」



 ん? ベンチに腰掛けていた女性に呼び止められた。


「いつもSkingrad(スキングラッド)の厩舎にいたのを見かけたわ。誰のものかは知らずに世話もしたのだけれど……貴方のだったのね」



 おっと、そういうことだったのか。この馬、ずっとあそこに居た割りには健康そのものだったからおかしいな、とは思っていたのだが……。






「ああ、申し遅れたわね。私はJavolia(ジャヴォリア)。Javolia Maborel(ジャヴォリア・マボレル)よ」

「Maborel(マボレル)?」

「ええ。それが何か……もしかして、兄をご存知?」

「知ってるも何も、この馬はPrior Maborel(マボレル院長)から譲ってもらった馬だよ」

「ああ! 兄はPrior(院長)になれたのですね! 兄はお元気ですか?」



 ・・・・・。そっか、知らないのか。


「そんな! 兄が……殺された!?」





 どうするべきか悩んだが、ウチはPrior Maborel(マボレル院長)が殺されたこと、そして殺した連中を追っていることを伝えた。妹さんはよほどショックだったらしく、修道士の男が慰めている。


「・・・・・」



 そうなるとこの馬は妹さんにとって、兄の形見とも言えるわけだな。偶然とはいえ一時は彼女がこの馬を世話していたこともある。その一方でウチはこの馬をほったらかしにしている始末。そう考えたら、ウチと彼女のどっちが持ち主に相応しいかと言えば……。


「この馬はPrior Maborel(マボレル院長)の馬だ。あんたが世話してやるのが相応しいんじゃないかな?」






 まぁ、そういうことだ。馬なし生活、再びってところだ。Vixen(ヴィクセン)あたりがからかってくるだろうが、これがウチのポリシーというかなんというか……まぁそういうこと。

 それより、Necromancer(死霊術師)どもをぶっ飛ばしに行こうぜ。Skingrad(スキングラッド)の東だったな。





 街を素通りして東門から出た。





 このまま東へ向かって洞窟を探しに……って。おいおい、あれはまさか。


「金か。命か」



 いやいや、お前じゃないから!






「ここを通るなら通行料……ま、待てっ!」



 昨日Skingrad(スキングラッド)に来るのにここを通ったが、その時には何も無かったはずだぞ!?





 ホントにホントかよ。たしかここって集合墓地とかじゃなかったっけ? これじゃ死者もおちおち寝てられないな。


「てめぇ、俺をコケにする気か!」






 ん? ああ、居たの? というか、ここに来るまでに結構フラフラになってるじゃないか。あ、ガードさん、お疲れッス。





 追いはぎはトカゲの化け物にやられたようだが、ウチらはこいつらを何とかしないとな。街から遠く離れたところなら問題ないが、こんな目と鼻の先にゲートがあったら大変だろう。





 サクサク仕留めていくか。あ、Scamp(スカンプ)だけは弱めのDrain Health(ドレイン:体力)にしておくぞ。魔法が跳ね返ってきたらたまらんからな。





 よし、ざっとこんなものか。向こうに見えるFlame Atronach(炎のアトロナック)は、ウチが召喚したやつだから大丈夫だ。紛らわしくてすまんな。





 ガードと話して、この付近のパトロールを強化するよう頼んでおいた。というか、あんたらゲートの向こうに行って、ゲート閉じてくれりゃ良いんだけどな。

 さて、昨日の100ゴールドは返してもらうぞ。





 ついでにガードから、Howling Cave(荒涼洞窟)の詳しい道のりを教えてもらった。





 まずはここ、カミサマの祠を通る。ここのカミサマはNine(ナイン)の方のカミサマな。それにしてもこっちの国ってずいぶんカミサマの多いところだよな。





 祠の先にキャンプがあるって言ってたな。キャンプがあるっていうことは、だ。





 当然、野盗たちのテリトリーになっているわけだ。面倒だけど倒しておくか。





 相手は2人か……1人離れて草むらの方に向かっていったぞ。何を……ああ、用足しか。





 無用心に立ち止まってくれたおかげで、狙いが定まりやすくて助かるわ。





 もう1人はまだ気づいていないようだな。





 それじゃ気づかれる前にご苦労さん、っと。





 以上、高所からの狙撃でした。このキャンプを越えるとHowling Cave(荒涼洞窟)が見えてくるって言っていたな。





 ここがそうかな? ここも墓がある場所だけども、こちらはかなり放置気味だな。これじゃNecromancer(死霊術師)も素材に苦労しなさそうだ。それじゃパパッと片付けてくるか。





 おお、暗い暗い。明るいのは入り口だけだな。それじゃ松明を点けて……。





 洞窟探索といきますか。しかし人のいる気配はしないな。






「居るのはネズミぐらいだな! っと」



 分岐道を片っ端からあたってみたが、居るのはネズミのみ。





 また行き止まりか。ほかの道を探して、何も無かったら帰ろうかなぁ?





 おっと、あそこに見えるのはSkeleton(スケルトン)か。あいつもとりあえず不死者の仲間だよな。魔法1発で吹き飛ぶ弱っちぃヤツだけど。





 ほらこの通り……あれ? 燃えながらもこっち向かってくるよ? 狙いが甘かったのか……もういっちょ! あれ、おかしいな。





 横からさらにSkeleton(スケルトン)追加。こっちはサクッと仕留めたが、さっきのヤツは……お、生意気に盾まで持っていやがったのか。





 いやはや、Skeleton(スケルトン)=雑魚だと思っていたが、Flame Atronach(炎のアトロナック)とやり合うような新種と出くわすとは……。






「じゃあとっとと沈んどけ」



 困ったときのDrain Health(ドレイン:体力)。あれ、Drain(ドレイン)の魔法って不死者には効かないようなイメージがあったが、そんなことはなかったんだぜ。

 しかし、こんな強力なSkeleton(スケルトン)が居たってことは、やっぱりこの奥にはNecromancer(死霊術師)もちゃんと居るんだろうな。






「って、また行き止まりかよ」



 ここが最後の分岐道だったから、ほかに道は無かったはずなんだがな。……ん、もしかしてこの奥の岩って。





 お、動いた動いた。行き止まりのはずが、奥からわずかに風が吹いてるから変だと思ったんだ。松明の火が揺れなかったら気づかなかったぜ。そういやMeridia(メリディア)も、"隠された扉"とか言っていたっけ。





 念のため、松明を消してから扉をくぐる。出会い頭にご対面なんて目には会いたくないからな。





 ほら、案の定すぐそばにいやがった。ヤツらがNecromancer(死霊術師)だな……っと、暗くて気づきにくいが、床に怪しいスイッチがある。罠の類だな。





 それじゃこの位置から先制攻撃だ! やばくなったら後ろの扉から逃げるさ!





 はい、もう1人もご愁傷様! って、ここでもHeadless Zombie(首なしゾンビ)か。しかもこいつは召喚されたヤツじゃないな。いかんぞ、ヤツは体力の高いZombie(ゾンビ)だったはずだ。





 いかんぞいかんぞ。早くも扉を開けて逃走開始。いや、退路を確保しながら広い場所で戦いだけだ。逃走じゃない、これは後退と言うんだ……どうでもいいか、そんなことは。





 よしよし。途中で呼んでおいたFlame Atronach(炎のアトロナック)が、上手く足止めしてくれてるな。それじゃ体勢を立て直して……おや? あのHeadless Zombie(首なしゾンビ)……モヤをまとっているな。あのモヤはSummon(サモン召喚)されたヤツの印のはずだが。さっき見間違えたかな。





 いや、やっぱり違うな。さっきのモヤ付きは時間切れのせいか途中で消えてしまったのだが、こっちのヤツにはモヤがついてない。





 そして死体も残る。Summon(サモン召喚)は消えるだけで、死体が残るなんてことも無いからな。しかしZombie(ゾンビ)の死体なんて表現もおかしい……あれ、以前も同じこと言った記憶があるぞ。これなんてデジャヴュ?

 あ、そうそう。グロ注意。





 よし、体勢を立て直したことだし、再度突入するか。ところで、また岩が塞いでいるんだけれど……もしかして時間が経ったら勝手に閉まるのかな? 面倒な仕掛けだが、それよりも……。





 ドーン! はい、ご苦労さん。それで潜んでいたつもり? バレバレだぜ? さっきからSummon(サモン召喚)のZombie(ゾンビ)が居たり居なかったりしたから、おそらく召喚主が居るんだろうと予想していたが大正解だったな。





 お、このNecromancer(死霊術師)。いい物持ってるじゃないか。ありがたく頂いていこう。良い金で売れるだろうな。うっしっし。





 さっき仕留めたNecromancer(死霊術師)も、いい物持ってないかな?





 こいつは杖なしか。それ以外に何か持ってないかな……お、懐に良い形のふくらみ。そしてこの真っ黒なモノ……え、いや、Mara(マーラ)様じゃないよ?


「これは前に見たことがあるぞ。何だったっけ?」



 えーっと、そう、アレだ。この真っ黒けのSoul Gem(ソウル・ジェム)は確か、Cheydinhal(チェイディンハル)のMages Guild(メイジギルド)で見かけた記憶がある。あの時はよく分からんかったが、こんなところで再び見かけることになるとはな。

 え? うん、見たことあるってだけで、実際はこれが何なのかは今もよく分かってない。とりあえず重大なシロモノっぽいので、一応持っていくことにする。





 さて、向こうにも1人居るな。どれどれ……。





 おおおおお。馬鹿、急に出てくるんじゃないよ! びっくりしたなぁ、もう!





 なんだ、普通のZombie(ゾンビ)か。驚いて損した。





 Headless Zombie(首なしゾンビ)よりも、首ありZombie(ゾンビ)の方が弱いんだよな。あれかな、五体満足は新人Zombie(ゾンビ)なのに対して、頭がもげるほど戦い続けた歴戦のHeadless Zombie(首なしゾンビ)って関係なのかな?





 まぁそんなことはどうでも良いか。最初に仕留めたNecromancer(死霊術師)は大した物を持っていなかったので先に進む。ここは勉強部屋か何かかな?





 おっとぉ、不用意に進んでいたらNecromancer(死霊術師)に見つかっちまったか。次々とアンデッドを召喚してくるが、術者を倒せばどうってことないさ。





 あいたっ。弓持ちのSkeleton(スケルトン)は天然アンデッドだったか。しかもさっきの盾持ちSkeleton(スケルトン)同様、いつものヤツより強めのSkeleton(スケルトン)だな。





 やれやれ、この場所は死体安置所らしい。棺ばっかりで金目のものと言えば、Necromancer(死霊術師)が持っていた魔法の杖だけだ。行き止まりだったので、さっきの勉強部屋に戻ってきた。机の上にはAlchemy(錬金術)の器材が並んでいるが、あまり役立つようなものは無さそうだ。





 別な道を進むと、下り道をかがり火が照らしている。うむ、いかにも何かありそうな雰囲気……。





 あいたー。また弓持ちSkeleton(スケルトン)か。ここはFlame Atronach(炎のアトロナック)に盾になってもらって、隙間から狙っていこう。





 またまたあいたー。召喚のタイムラグの隙を突かれて踏み込まれたか……って、Necromancer(死霊術師)自ら肉弾戦かよ。





 だったら先にお前さんから始末しておくぜ。





 あとは再びFlame Atronach(炎のアトロナック)に任せつつ、横から攻撃する。さっき踏み込まれたせいで結構押し戻されたが、召喚主を倒したおかげでこちらが優勢になってきたな。





 残りはFlame Atronach(炎のアトロナック)に全部お任せして、さっきのNecromancer(死霊術師)から戦利品を頂いておこう。炎の魔法がEnchant(魔力付加)された斧か。売れば金になるな。





 よしよし、終わった終わった。やたらと矢が落ちているなぁ。これ全部、弓助(ゆみすけ)がやったヤツかな? あ、弓助(ゆみすけ)ってのは、弓持ちSkeleton(スケルトン)の略な。今考えた。

 道はまっすぐと右に分かれている。まずはまっすぐ前に進んでみようか。





 ばばーん。なんというグロい部屋だ。わざわざ天井に死体を磔(はりつけ)にしていたり、床には血がべっとりとついていたり……。Necromancer(死霊術師)ってのは頭のおかしい連中なのかね。あまり調べたくはないが、パッと見た限りこの部屋にはこれといった物は無さそうだ。





 それじゃ戻って、もう1つの道を進んでみるか。





 んー。これはNecromancer(死霊術師)のシンボルマークか何かだろうか。Necromancer(死霊術師)のローブにも同じデザインのマークが描かれているから、おそらくその考えであっていると思うが……。しかしこの部屋にも、こいつ以外には特に何も無さそうだ。

 一応これで全部見て回ったから、この洞窟の中に居たNecromancer(死霊術師)は全部仕留めたっぽいな。






「んじゃ帰るか……」



 っと、そういやさっき斧で切りつけられたんだっけ。この丈夫な服と日ごろの反射神経の賜物で、大きな怪我にはならなかったのだが。服の方はごらんの有様だよ。





 こんな格好で外に出るのはさすがに恥ずかしいなぁ。幸い、この洞窟にはもう誰も居ないことだし、ゆっくりと服の修繕でもするとしようか。トンテンカンテン……ボキッ、バキバキッ。






「よし、これで完璧だ」



 Q.Repair Hammer(修理用ハンマー)で服を直すってどういうこと?
 A.こまけぇこたぁ良いんだよ。





 そして帰り道は一瞬にして省略。名前とは裏腹に、Extrication(緊急離脱)の魔法はこういう時にしか使ってないな。おっと、もう松明は必要ないな。





 さ、帰ろ帰ろ。





 道中、例の集合墓地前で行商人と出会った。





 お前さん、そんなところに居たら危ないぜ? なに、馬で逃げるから大丈夫だって? なるほど、それよりこの杖を見てくれ。こいつを見てどう思う? いやなに、Necromancer(死霊術師)たちから分捕った戦利品なだけで、特に意図はないぜ。





 よし、行商人に売っ払って身軽になった。Meridia(メリディア)のところに戻る前に、あの使えない執事にでも会ってくるか。






「君、君に新しい知らせがある。伯爵は謁見に応じるが、外で会うこととなった」



 はぁ? 何でまた外で?


「深夜、西の郊外でお会いになりたいそうだ」



 はぁ? 深夜? しかも郊外? 何それ?





 まったく、本当に使えない執事だな。やっと面会の約束が取れたと思ったら、深夜に郊外でってどういうことよ……ああ、料理長のアンタの方が執事よりよっぽど役に立つよ。





 ところでさっきから霧が出てきたな。ちょっとMeridia(メリディア)のとこに行く前に、荷物の整理だけでもしておこうか。





 はい、終了。





 さ、行くべ行くべ。





 おおう、霧に交えて怪しい空模様だな。紫色の空ってどうよ?





 まぁ変な天気ってだけで、それ以外は特になんでもないんだがな。お、着いた着いた。やっほー、Necromancer(死霊術師)どもぶっ飛ばしてきたぜ。





―よくやった。あの者たちは生命への侮辱である、ようやく自らの行為の報いを受けたのだ―
―この指輪と我の祝福を受け取れ―


 あん、指輪?




 ああ、これね。いつの間にか道具袋にちゃっかり収まっていた。どんな効果があるんだ、この指輪?


「貴方、Meridia(メリディア)の加護を受けたのね」






 呼ばれて後ろを振り返ると……ああ、Maborel(マボレル)妹か。


「あれから考えたのだけれど、やはりこの馬は貴方が使って頂戴」

「……ウチは構わないけど、良いのかい?」

「ええ。貴方が使うことで兄を殺した連中を見つける手助けになるのなら、兄も浮かばれると思うの。それに、私の事で兄には迷惑ばかりかけてきたのだし……」



 迷惑? ……ああ、うん、それは何となく分かった。

 確かBlades(ブレイド)はNine(ナイン)の一柱であるTaros(タロス)を信仰していたはずだ。Nine(ナイン)信仰が主流の土地柄で、兄は立場ある人間。その妹が実は異端のDaedra(ディードラ)信仰に身を落としているとなれば、兄の立場に少なからず影響があるんじゃないだろうかな。そうかそうか。つまりはそういうことだ。





 そういうわけで、愛馬再び。いや、三度かな?

 ……えっ、ウチが今どこにいるのかって? ほら、ここで松明掲げてるじゃないか。ああ、ごめんごめん。実は馬鹿からは見えなくなる指輪を身につけているんだ。





 どう? この角度からなら何となく分かるかな? これがさっきMeridia(メリディア)から貰った指輪の効果らしいな。






「……飽きた」



 だってさ、人から見えないってつまらないじゃん? やっぱウチの美貌はもっと見せびらかさないとねぇ?





 冗談はさておいて。伯爵との面会まではまだ時間があるな。あ、面会というのは料理長から言われた晩餐の後に会うって方な。役立たずの執事には悪いが、晩餐後の面会で全部用件済ませちゃうから。

 とにかく時間があるので、ウチもギルドに戻って晩メシだ。新聞が置いてあるけど……読めん。





 それでもまだ時間があるので、食後の散歩といこうか。ちょっと確認したいこともあるしな。





 Skingrad(スキングラッド)西の郊外って言っていたっけか、執事が言っていた面会場所は。





 ・・・・・。待ち合わせの場所って、ここだよなぁ。"例の事件"の場所。





 しっかし、こいつも馬鹿だねぇ。自分からMythic dawn(神話の暁)の連中に向かっていくなんてさ。いくら頭がおかしいとはいえ、そんなところにまで考えが回らなかったのかな。





 おっと、そろそろ伯爵の晩餐が終わる頃じゃないかな。城へ向かわないと……あれ?





 あれあれ? あの執事だよな? まだ待ち合わせにはずいぶん早いと思うんだけど? その方々は護衛? ずいぶん人相悪いけど……。






「残念ながら、私は嘘をついた。伯爵は、ここには来ない」



 は?


「それどころか、お前がここに居ることすら知らない」



 なん……だと……?


「誰の差し金かは知らんが、Mages Guild(メイジギルド)に我々の計画の邪魔はさせない。だから、お前は死ぬしかない。安心しろ。君の死体は、我々が有効利用してやるから」



 え、ちょっと待て。それって……。






「てめぇ、Necromancer(死霊術師)か!」



 執事が短剣を抜くのと同時に、ウチのDrain Health(ドレイン:体力)は準備完了だ!






「甘いっ!!」



 つっ! この執事、メタボ体型とは思えん身のこなしだな! だが執事を狙ったDrain Health(ドレイン:体力)は、後ろに居たNecromancer(死霊術師)に当たったようだ。


「このっ! ウロチョロすんない!」







「がっ……!!」



 またか! またしても執事を狙ったDrain Health(ドレイン:体力)は外れて、もう1人のNecromancer(死霊術師)を仕留めた。もっとも、今のは執事が仲間を盾にしたように見えたんだがな。


「どこを狙っている気だ。ちっとも当たらんぞ!」







「ああそうかい!」



 馬鹿め。ウチは初めからNecromancer(死霊術師)の方を狙っていたんだぜ? 盾を失った執事に当てるのなんて造作も無いことだ……ごめんないさい、嘘です。執事を狙ったらたまたまNecromancer(死霊術師)に当たっただけです。最後に当たったのはただのまぐれです。って、バラしたところで聞いてるヤツもいない……って誰だそこのおっさん!?


「君は底抜けの愚か者だな。何故こともあろうに、こんな場所で私と会えるなどと思ったのだ?」



 あぁ?






「結果的に、その馬鹿正直さが役に立った訳だが。Mercator(マケーター)の正体は知っていたが、仲間が居たとは。だが、もはや彼らの脅威は無くなった」

「で、あんた誰?」



 というより、その瞳は何だ? 白黒反転してるけど……。


「Janus Hassildor(ジャヌス・ハシルドゥア)伯爵だ。お見知りおきを」

「え? あんた……いや、あなたが伯爵? そりゃ失礼、ウチは……」

「知っている、Traven(トラーベン)の犬だろう。評議会がどう考えていようが、私はNecromancer(死霊術師)に与したことはないし、これからもそうだ。君はそう伝えればよい」

「犬とは心外だな。そもそもまだHannibal Traven(ハンニバル・トラーベン)に会ったことすらないし……。というか何を言われてるのかさっぱりなんだぜ? ウチは伯爵に貸した本を返してもらって来いって言われただけだし」

「そうなのか? いや、おそらく評議会は、君に全てを明かしているわけではないのだろう。彼らがたかが1冊の本の為に君を派遣したと本気で信じているのか? 彼らは私のことを密かに調べるために君を派遣したのだ。彼らは私と同じ噂を聞いたのだよ、Necromancer(死霊術師)の狂信的集団についての噂をな」



 あ、ありのまま今起こったことを話すぜ! Necromancer(死霊術師)に襲われた事件についての調査の一環だったはずが、別のNecromancer(死霊術師)の活動を調べる手先になっていた。


「次に私に何かを求めるときには、自ら来るよう評議会に伝えておけ。偽りの口実で誰かを寄越すようなことはするな、と」

「それについては同感だ」






 全く、Raminus(ラミナス)のヤツめ。ウチに嘘つきやがって。何が本の返却を催促してこい、だ。そりゃ伯爵もキレるわ。ウチもキレるぞ、こんにゃろめ。

 ・・・・・。

 ふぅ、少しグチったら頭も冷えてきたな。Necromancer(死霊術師)の戦利品でも奪っていくか……。






「・・・・・」







「・・・・・。無様な姿だな」



 偶然の産物とはいえ、こんな格好で死にたくはないな。もっとも、死者を冒涜するNecromancer(死霊術師)の死に様としては相応しいのかもしれないが……あっ。


「いっけね、Kvatch(クヴァッチ)の復興支援のことを話すの忘れてた!」






 ふぅふぅ、やっと追いついた。そんなに時間経ってなかったはずなのに、城の前まで来ていたなんてこの伯爵、足が速いな。


「あの……ふぅ、まだ話があるんだけれども……」







「話すべきことは全部話した。これ以上私を煩わせるな」

「いや、Mages Guild(メイジギルド)の話じゃなくって、今度は別の話……って、おーい」



 何度呼びかけても聞く耳持たず。どんどん城へと向かってっちゃうよ。






「ああ、伯爵様。お帰りなさいませ……あ、お前は……どこに行っていたんだ?」

「丁度よかった。伯爵にKvatch(クヴァッチ)のことで話したいことがあるんだ。何度呼び止めても話を聞いてくれなくて……」

「お、おう。事情はよく分からんが……伯爵様! こちらの方がお伝えしたKvatch(クヴァッチ)の使者でございます」







「・・・・・」

「・・・・・」

「ああ、君がAmand(アマンド)が絶賛していた人だね。どうやら彼の問題を軽々解決してくれたそうだな。それで何が臨みかね?」



 おいおっさん、そのやる気のない顔はなんだよ……。


「さっきから言っていたじゃないか。Kvatch(クヴァッチ)の復興支援のことだよ」

「……部下の前だ、少しは言葉を慎め。オホン、ああ、Kvatch(クヴァッチ)に降りかかった悲劇は聞いている。それで、石材と建築士が必要ということだな。Skingrad(スキングラッド)とKvatch(クヴァッチ)とは良い関係を築いてきた。よろしい、すぐにでも手配しよう。復興の担当者はSavlian Matius(サヴリアン・マティウス)と言ったな、彼によろしく伝えておいてくれ。そして心よりお悔やみ申し上げると」






 口早に告げると、これで終わりと言わんばかりに後ろを向いて去っていってしまった。高貴な人間にありがちな、偏屈タイプだな、あの伯爵は……。






「いったい何がどうなっているんだ? 急に伯爵の姿が見えなくなるわ、執事もどこかへ行ったきりだし、伯爵が戻ってきたと思ったらお前と一緒だし……分かるように説明してくれないか?」

「えーっと、執事が黒幕でぶっ飛ばしてる間に伯爵が乱入して、二人仲良く(?)帰ってきたってとこだ」

「・・・・・。ますます分からん」

「そうか、ウチもだ」






 何はともあれ、無事にKvatch(クヴァッチ)への復興支援の約束を取り付けることが出来た。明日Kvatch(クヴァッチ)へ行ってMatius(マティウス)に伝えてやるか。





 それじゃ今晩もギルドのベッドを借りるぜ……って、みんな何してるの? は? 明日の料理当番と掃除当番を決めるのに揉めてるって? そうかいそうかい、勝手にしてくれよ。





 あーもう、今日は疲れた。何だかんだで夜遅くまで働きづめだよ、全く。

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Author:ひなみこと
昔:セクハラ騎士
今:セクハラ(される)魔術士

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