29日目 ~結晶、不通、評議会~
「……今日はレディースデイか?」 |
たまたまだとは思うが、出立の際に宿屋にいたのは女性ばかり。男性陣はすでに出立した後なんだろうか? まぁムサイおっさんどもよりは、カワイイ子ちゃんがたくさん居るほうがウチとしては好ましいが。
「くだらんこと考えてないで、さっさと行くべ」 |
目的地はAyleid(アイレイド)遺跡の1つ、Sercen(サーセン)。いくつか探索の候補地はあったものの、ぶっちゃけ名前の響きだけで決めました、フヒヒ。
まぁ冗談はさておいて。早くもそのSercen(サーセン)が見えてきた。宿のすぐ側だから、移動も手短で済む。
遺跡の周りに野盗の姿はない。まだ寝てるのかもしれんな。それならそれで楽チンなんだが。
遺跡内部。さすがに暗いな……またこいつの出番か。
Night Eye(ナイトアイ)のネックレスを身に着けて周囲を確認後、慎重に遺跡の中を進み始める。野盗のねぐらということに加え、ここがAyleid(アイレイド)遺跡だということも考えれば罠の1つや2つあってもおかしくない。
「ほらみろ」 |
床上に張られた1本のロープ。その行き先をたどっていくと、天井に待ち構えている鉄球が1つ。古典的な罠だし、見つけてしまえばなんて事は無いシロモノだ。もっとも本来ここは暗い中なので見えない方が当たり前かもしれんな。
邪魔なので罠を解除。
階段を下りて先に進むと、明るく開けた場所が見えた。ついでに誰か立ってるのも。
誰かって? そりゃもちろん野盗さ。
話し声もする。聞こえる限りでは5人ぐらいだが、そのほかにも居ると見込んでおよそ10人ってところかな?
お、Khajiit(カジート)も居るのか。野盗や追い剥ぎと言えばKhajiit(カジート)だもんな、居ても当然か。
「……ちょっと行ってくる」 |
「おう、どうした?」 |
「ネズミだ。とても大きい。退治してくる」 |
ネコだけにネズミが好きってか、……ん?
って、こっち向かってきてるし! Khajiit(カジート)だから夜目も利くのか?
しかし慌てることなくDrain Health(ドレイン:体力)で一撃だ。ご苦労さん。
気を使うところとしては、出来る限り暗いところまで引っ張ってから仕留めるってことかな。向こうの連中に気づかれると面倒だしさ。
「おいドラネコ! ネズミは仕留めたらちゃんと外に放り出しておくんだよ!」 |
おっと、気づかれ……てないかな?
「んなっ!?」 |
Khajiit(カジート)の死体に気づかず、足を引っ掛けたところを見計らって、タイミングよくDrain Health(ドレイン:体力)でさようなら。うん、良い調子だ。
「おい、何やってんだ、うるせーぞ!」 |
うーん、出来る限り静かに仕留めてるんだが、野盗が武器を落とした時の音だけはどうしようもないな。
そんなこんなでまた1人。
足が引っかかったところで以下同文。
さて、さすがに好き勝手やるおバカさんはもう居ないようで、追加でやってくることはなかった。しかしまだ奥には何人も居るし、これ以上進むとさすがに見つかる恐れがあるな。
「それじゃこっちの扉から進むか」 |
扉を開けて……っと。こっち側も明るいが、広場にあるかがり火の影になって気づかれてないようだ。しかし目の前で寝てる奴がいるが……。
そのまま寝かせといてやろう。永遠にな!
寝てる奴を寝かせた後は、こそーりこそりとカニ歩き。
よしよし、気づいてないな。さっきからあそこに居る奴が目障りで仕方なかったんだ。
ネックレスを外して暗さを再確認。よし、あの位置なら暗いから、仕留めても気づかれないだろう。それじゃ再度ネックレスを着けて狙撃準備。
「えっ?」 |
いつの間にか2名増援が現れたぞ? まったく気づかなかったが……ネックレスを外したときに丁度良く歩いていたんだろう。
あの増援2名、どこに向かうのかな? 寝てる奴が寝てる事には気づかなかったようだが、そのまま進まれると仕留めた野盗が転がってるのに気づかれる……。
「侵入者だっ!!」 |
うわああああ、やっべ、バレた! ひとまず入り口付近まで退却だ!
「ふぅ、ビックリした……ん、こっちに来ないのか?」 |
暗くてどこに逃げたか気づかれなかったのかな? 広場のほうでドタバタしてるようだが……。
「来ないならこっちから行くぜ?」 |
Clannfear(クランフィア)がな。ちょっと行ってボコってこいや。
広場に向かって突っ込んでいったClannfear(クランフィア)。野盗の怒号が聞こえるが、この位置からは詳しい状況がつかめない。
念のため、もう1体Clannfear(クランフィア)を召喚しておこう。いくら野盗が馬鹿でも、どこからClannfear(クランフィア)が広場に入ってきたかは分かるだろうし。
「ふむ……静かだな」 |
1体目Clannfear(クランフィア)の召喚時間は過ぎてるのだが、野盗連中が向かってこない。おっかしいなぁ……こっそり確認してみるか。
「うわぁおぅ、Clannfear(クランフィア)マジ強ぇ」 |
静かなわけだ。どうやらClannfear(クランフィア)1体で野盗をぶちのめしていたようだ。ごろごろと野盗の死体が転がっている。
広場に居た野盗のほとんどはClannfear(クランフィア)先生が片付けてくれたので奥に進んでみる。ん、騒ぎに便乗しなかった奴が居たようだ。広場の端から端とは言え、あれだけの騒ぎなら気づいてもおかしくなかったんだが。
じゃあ改めて狙撃。
「うおっ、何だ! 何事だ!?」 |
ええっ、まだ居たの?
どうやらウチの位置から影になって見えないところにまだ居たようだ。勢いよく斧をブンブン振り回してくるが……。
Drain Health(ドレイン:体力)で終了。ご苦労さん、もう寝てて良いよ。
「さっきの奴で最後だったみたいだな」 |
広場の端までやってきたが、どうやらこの遺跡はここで終了のようだ。ずいぶん小さい遺跡だな……。
何か視界の端で光ってるように見えたので、ネックレスを外してみた。Night Eye(ナイトアイ)状態だと、暗い中で光ってる物が気づきにくいのも難点の1つだ。
「それでこいつは何ですかっと」 |
暗い中で青く光る宝石のようなシロモノ。えーっと、何て名前だっけ、これ。前に一度手にしたことがあったんだけど……。
「こんなところにもあるぞ」 |
同じ宝石が台座の上に飾り付けられている。というより本来このように飾り付けられていたのが正解なんじゃないかな? それが何かの拍子に落ちてしまったと。
「えい、そりゃ……よし、落ちた」 |
杖で突っついて床に落ちたところをゲット。他のところにもあるみたいだな。
「うーん、あれは取れないか」 |
広場の中央にひと際大きな宝石があったのだが、さすがにこれは高すぎて取れなかった。届いたとしても、カゴから落とすのにも一苦労だしな。
「ああそうそう、思い出した。Welkynd Stone(ウェルキンド・ストーン)だ」 |
Fingers of the Mountain(フィンガー・オブ・ザ・マウンテン)を習得するために、Chorrol(コロル)の露店で買ったのを思い出した。あまり店で見かけることは少ないが値段は安いというシロモノ。実際、使いどころが少ないのが原因なんだろうがな。
使うとMagicka(マジカ)全回復と言えば聞こえは良いが、市場に出回ってないために用意するのが難しい。更に言えばMagicka(マジカ)の自然回復力って意外と強いので、上手く立ち回って時間稼ぎをするか、もしくは安いポーションでしのぐことも出来てしまうんだよな。
「でも、無いよりはあった方が良いに決まってるんだがな……ムシャムシャ」 |
今の時間はよく分からんが、腹の空き具合からみて昼過ぎだろうな。これ食い終わったら一度戻るかな。
今回の遺跡探索の収穫は、Welkynd Stone(ウェルキンド・ストーン)が10個。あとは野盗が持っていた細かいのが色々。細かい方は行商人にでも売りつけるとして……。
「目がっ、目がぁぁぁぁぁぁああ!!」 |
くっそぉ……またか……。いやぁ腹立つなぁ、もう! この怒りをどこにぶつけてやろうか……。
「ここに来るのも久しぶりだな。……Blades(ブレイド)に関することなら、ここでアイツに聞けば分かるだろう」 |
「邪魔するぜ……っとぉ、留守か? おい、お嬢ちゃん。Prior Maborel(マボレル院長)はいるかい?」 |
「……どちら様ですか?」 |
「俺か? Smith(スミス)ってぇ言うんだがPrior Maborel(マボレル院長)とは古い付き合いでな。ちょっと呼んできてくれねぇか」 |
「・・・・・。Prior Maborel(マボレル院長)は亡くなりました」 |
「あん?」 |
「Welkynd Stone(ウェルキンド・ストーン)ね、そういえばそんな名前だったわね」 |
「他にはこれといって珍しいものはなかったな」 |
「以前、Ayleid(アイレイド)がWelkynd Stone(ウェルキンド・ストーン)を使って一大文明を築いたという話をしたのを覚えているかしら?」 |
「ああ……聞いたような気もする。よく覚えてないけど」 |
「元々その話はIrlav(アーラヴ)から聞いたのよ。彼ならWelkynd Stone(ウェルキンド・ストーン)について詳しく知ってるはずよ」 |
Irlav(アーラヴ)か……誰だっけ?
「……知ってるとは思うけど、Irlav(アーラヴ)は大学の評議会の一人よ」 |
「ああ思い出した、あのハゲか」 |
「ハゲはやめなさい、ハゲは。結構気にしてるようだから」 |
それじゃハゲに会いに行こう。……なんて名前だっけ?
というわけでハゲ登場。普段はあのPortal(ポータル)の先の評議会室に居るはずなんだが……。
「Necromancer(死霊術師)の件かね? 評議会は休息を挟んで再度開かれる。まだ結論は出ていないぞ」 |
「休息か。じゃあ丁度良い、ちょっと聞きたいことがあるんだけど」 |
「お役に立てるのなら」 |
「Welkynd Stone(ウェルキンド・ストーン)について知ってることを聞かせておくれ」 |
「ふむ、Ayleid(アイレイド)のアーティファクトの中でも最もよく見かけられ、なおかつ最も重要な物の1つだ。君はWelkynd Stone(ウェルキンド・ストーン)が、Magicka(マジカ)を封じ込めた石であることは知ってるかね?」 |
「ああ、使うとMagicka(マジカ)が回復するってやつ?」 |
「それは本来の使い方ではないのだが、今の我々の技術ではそのような形でしか使い道がない。では本来の使い方とはどのようなものであったのか? 私がこれまでに調べたところによると、Ayleid(アイレイド)はWelkynd Stone(ウェルキンド・ストーン)に星の力を込めていたらしい」 |
「星の力? 隕石でも降らせるのか?」 |
「物理的に星という意味ではない。良いかね、我々が行使する魔法の三大元素は次の通りだ。Fire(炎)、Frost(氷)、Shock(雷)。だがAyleid(アイレイド)は、4つ目の元素も行使していた……人によって呼び方はそれぞれあるだろうが、私は便宜的に星の力と呼んでいる」 |
「ふーん。その星の力を使うとどんなことが出来るんだい?」 |
「様々なケースに用いられているだろう。例えばAyleid(アイレイド)の遺跡にあるトラップなどが挙げられる。ボタンを押すだけで壁が開くなどの仕掛けの原動力として用いられると考えられる。その中でも一番の最高傑作は、君が解いてもらったVahtacen(ヴァタセン)の柱だ」 |
「なるほど、Ayleid(アイレイド)の遺跡の仕掛けの原動力ね……その理屈で言うと、そこのPortal(ポータル)も星の力なのかい?」 |
Imperial City(インペリアル・シティ)はもともとあったAyleid(アイレイド)の遺跡を改築したと聞いたことがある。この大学のPortal(ポータル)も、そのときから既にあったのだと。ならば、ウチが知りたい転移の技術ってのはその星の力って事になるんじゃね?
「Portal(ポータル)か、これもおそらく星の力によるものだろう。もし我々が星の力を使うことが出来るのなら、街から街までを繋ぐPortal(ポータル)を作れるのにな。それが出来ればどんなに楽なことか……おっといかん、そろそろ休息も終わりだな。話の続きはまたの機会にしよう」 |
物知りなハゲは評議会の続きがあると言って去ってしまった。Traven(トラーベン)に仕事が無いか聞きたかったのだが、評議会が終わるのにもう少し時間がかかるようなので、ちょっと時間でも潰すことにしよう。
そうそう、さっきの難しい話をウチにも分かるようにまとめると、Welkynd Stone(ウェルキンド・ストーン)はAyleid(アイレイド)文明の原動力ってことらしい。遺跡の仕掛けが動くのにも、Portal(ポータル)に乗って転移するのにもWelkynd Stone(ウェルキンド・ストーン)の力が働いているそうな。
今の技術ではまだWelkynd Stone(ウェルキンド・ストーン)を扱えないのは相変わらず。似たような物としてはSoul Gem(ソウル・ジェム)があるが、こいつじゃ日常生活に生かした使い方ってのはなかなか出来ないみたい。物に魔法を込めて使うって概念だから、それなら最初から魔法を使えば良いんじゃね? ってことになるもんな。
「どうだい、Soul Gem(ソウル・ジェム)の勉強は順調かね?」 |
あん? ああ、そういえば前にそんなこと言われてたっけ?
「こんな感じさね」 |
今持ってるSoul Gem(ソウル・ジェム)はこんな感じ。見た目は同じでも、よく見ると中に込められてる魂の量が違うとかあるんだが、いちいち説明するのが面倒。とりあえず空っぽのSoul Gem(ソウル・ジェム)だけはまとめてあるけどな。
「もう少し時間潰しておくか」 |
最近Alchemy(錬金術)を怠っていたので、素材が無駄に余っていたところだ。持ち歩いているとかさ張るので、例の魔法の宝箱に全部ぶち込んでいるのだが……たまには整理しとかないとな。
「こんなもんでいいかな?」 |
ある程度の目処がついたところで、一度戻ってみる。そろそろ評議会も終わってるんじゃないかな。
終わってた。
「Mannimarco(マニマルコ)がCyrodiil(シロディール)にいるという知らせに、評議会は全面的な混乱に陥っておる」 |
「そういう言い方って事は、つまりは話はまとまらなかったって事か?」 |
「Order of the Black Worm(黒蟲会)が我々と敵対行動をとっているのは確かだが、ワシらには奴らが何を欲しているのか分からん」 |
「手がかりが無い以上、動きようが無いってわけか」 |
「いや、それでも動かねばならんだろう。だがワシは評議会にかかりっきりだ。奴に滅ぼされる前にワシらはこの突然の攻撃の理由について考察し、Mannimarco(マニマルコ)を止めねばならん」 |
「気になることは多いが、ワシにはそれを調べる暇が無い。ワシの代理としてアンタが行けるか?」 |
「お、仕事か? 任せろ。じっとしてるのはどうも性に合わん」 |
「よし。Bruma(ブルーマ)に行ってほしいのだ。伯爵の言うところによれば、Mannimarco(マニマルコ)はCyrodiil(シロディール)の北部に居るらしい。奴の居所を探るのにはBruma(ブルーマ)のギルドの協力が不可欠だ。支部長のJeanne Frasoric(ジーンヌ・フラソリック)は優秀だ。彼女に会って話をつけてきてくれまいか」 |
「あいよ。Mannimarco(マニマルコ)の居場所を突き止めてもらうんだな?」 |
「Jeanne(ジーンヌ)と話をつけたら、私の元へ戻ってきなさい。評議会の結果次第では更に働いてもらうかもしれんのでな」 |
「そりゃ大変だな」 |
それじゃBruma(ブルーマ)に行かないとな。しかし評議会が長引いたせいで、今から行くにはさすがに遅い時間だ。どこかで宿を取って、明日Bruma(ブルーマ)に向かうか。