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28日目 ~処分、宿敵、襲撃者~




「さてさて、夜が明けたわけだが吸血鬼ハンターはちゃんと仕事してくれてるのかな?」



 街の中には居ないところをみると、すでに吸血鬼の洞窟に向かったっぽいな。


 



「あの……」



 ん? ああ、いつぞや大量にScroll(スクロール)を買い込んだ露店じゃないか。


「お客さん、冒険者なんですよね? 良かったらScroll(スクロール)の他にも、こういった物を扱ってるんですけど」






 ほうほう、ポーションや食料と共にEnchant(魔力付加)のされたネックレスも扱いだしたようだ。へぇ。


「これは何の魔法がEnchant(魔力付加)されてるの?」

「こちらはNight Eye(ナイトアイ)がEnchant(魔力付加)されたネックレスです」



 ほほう、そいつは便利だな。誰かさんも言っていたことだし、買っていこうか。






「ありがとうございます、どうぞお気をつけて」



 あいよー。それじゃ早速着けてみるか。


「あっ、ここで着けると……」







目がっ、目がぁぁぁぁぁぁああ!!







「くぅ~っ、きっつ~……」

「だ、大丈夫ですか? 明るいところでは、より明るく見えてしまいますよ?」

「それを早く言って欲しかったぜ」

「す、すいません。知ってて当然かと思ってました」



 何か今さらりとひどい事言われた気がする。





 気を取り直して。ハンターがちゃんと仕事してるかどうか確認してこよう。既に退治し終えて次の獲物を探しに行ったかもしれんしな。






「あん、火事か?」






 また1つOblivion Gate(オブリビオン・ゲート)が開いたようだ。面倒臭いなぁ。





 ゲートは相変わらず無視するとして、吸血鬼の住処に到着。丘の向こうにSkingrad(スキングラッド)の城が見えることから、結構近くだということが分かるだろう。





 早速洞窟の内部に進入。おや、向こうに誰か倒れているようだが……。






「こいつは……うん、吸血鬼だな」



 吸血鬼はおおむね、頬がこけていて瞳が白黒反転しているのが特徴だそうな。Skingrad(スキングラッド)の伯爵は満足な食事を摂っているためか、頬はこけていなかったけどな。


「この様子だと、ハンターはちゃんと仕事をしているっぽいな」



 どれ、働きぶりでも見てこようか……洞窟の内部は暗いから、早速あのネックレスを身に着ける。






「おお、これは便利だ」



 奥の奥まではっきりと見渡せる。あえて難点を言うなら、松明の明かりが少し眩しいくらいか。






「向こうに誰かいるな……ハンターの一員かな?」



 ウチからは良く見えるが、本来は暗い空間なので向こうからは見えてないようだ。


「連中は片付いたか?」



 ん? 更に奥にも誰か居たのか?






「ええ、もう居ないようね。ハンターなんて言っても所詮はタダの人間よ。私達のエサにしか過ぎないわ」



 え? あれ、もしかしてハンターの方がやられたっぽい? 調子の良いこと言っていたくせに口だけの連中だったの?


「しかし我々の仲間も何人か失われた。ただのエサだと侮っていると痛い目を見るぞ」

「ふん。見張りがサボってなければこんなことにはならなかったわよ」



 見張り……あの吸血鬼の死体のことかな? それより、ハンターが予想以上に役立たずだったことで予定が狂っちまったな。ウチ1人で残りの吸血鬼たちを始末していかなきゃならんのか。


「今一度確認しよう……。ふっ、やはりな」

「……何が?」

「サルめ! それで隠れているつもりか!」



 ん、え? バレた!?





 連中の1人が何か魔法使ったように見えたが、ありゃきっとDetect Life(生命探知)の魔法でも使ったんだろう。ほら、前にBruma(ブルーマ)で透明になったあいつを探すときに使った奴だ。

 そんな説明はともかく、連中の標的をそらすために早く召喚しておかないとな。


「小ざかしい真似を!」



 おっと、ウチを見つけた奴と目が合っちまった。勇ましく剣を振ってくるが、杖で難なく弾いていく。






「吸血鬼にもDrain Health(ドレイン:体力)って効くかね!?」



 効いたようだ。しかしウチの方も何か食らってるな。どこかかすったんだろうか、Drain(ドレイン)のEnchant(魔力付加)武器を持っていたようだ。





 ローブの奴はいつの間にかくたばっていた。流れ弾にでも当たったか、召喚した奴が倒したか……残るはババア1人!

ギュピィィィイイ!

 おっと、アイツもEnchant(魔力付加)武器持ちか。ウチのClannfear(クランフィア)にもDrain(ドレイン)の影響を受けている。


「そんなにDrain(ドレイン)が好きなら、直接くれてやるぜ!」






 こちらもDrain Health(ドレイン:体力)で終了。ウチもどこかかすったようだから、一応回復しておこう。あ、もちろんこいつらのEnchant(魔力付加)武器は回収な。普通の武器より高く売れるんだ。





 先に進んだらまた吸血鬼がいたので、サクサクしとめる。





 しとめたらサクサク進む。ん、何かいるな。






「うーん、見事に全滅だな、こりゃ」



 倒れているのは全て人間の死体。きっとハンターたちだろうな。





 こいつはウチが吸血鬼の居場所を教えてやった奴だな。全く、本当に口だけだったな。





 おかげで残りの吸血鬼は全部ウチがしとめていかなきゃならないじゃないか、もう。……っと、また吸血鬼か。





 影からこっそりしとめ……えっ、話し声?





 奥にもまだ居るようだ。しかもそちらからやってきたらしく、影が動いている。こいつもこっそりしとめてやるか。


「そいっ!」







「あいたー!」



 くそ、吸血鬼のクセに体力自慢の奴だったようで、一撃でしとめ切れなかった。Drain Health(ドレイン:体力)は例のごとく、一撃でしとめられなかったときは全く無効になってしまうのが難点だ。思いっきり反撃を受けつつ、Clannfear(クランフィア)にお願いする。





 おお、やっぱりClannfear(クランフィア)は役に立つな。体力自慢の吸血鬼でも余裕じゃないか。





 そしてごらんの有様だよ!






「もう、うるさいわね……静かにしなさいよ、寝ようにも寝られないじゃない」



 おっと、まだ居たのか。そういや話し声もしてたっけか。






「寝られないなら寝かせてあげようじゃないか」



 永遠にな!





 ふむ、寝ぼけていたにしても十分ウチに気づく距離だと思ったのだが……あ、そっか。


「Night Eye(ナイトアイ)のネックレスをしてるからアレだったが、本当は暗いんだよな、ここ」



 ためしにネックレスを外してみると……。






「うお、やべ! マジで見えないわ、こりゃ」



 うん、バカなことをやってないで、吸血鬼が残ってないか確認しよう。ネックレスはまた付け直して、っと。





 どうやらさっきの寝坊助で最後だったようだ。お宝らしい物も特に無かったし……せいぜいあのEnchant(魔力付加)武器程度か。


「よし、まぁ予定通りとは行かなかったが……吸血鬼も吸血鬼ハンターも居なくなった。伯爵にさっさと情報教えてもらいに行くか」



 そう思いながら、出口の扉を開けたときだった。






目がっ、目がぁぁぁぁぁぁああ!!






 本日2回目。そうだよな、洞窟の中は暗いけど、外は明るいんだもんな……くっそお。





 何にしろ、これで伯爵の問題は解決したことだし、さっさと肝心の情報とやらを聞いてこよう。……いや~、まだ目がチカチカして痛ぇわ。





 城内。あ~そこのチミ、ちょっといいかい?






「伯爵から頼まれた仕事は終わったのですね? それなら、私が知らせてきますので、ここで待っていてください」

「よろしく」






 そしてまた長いこと待たされるわけだ。






「また1時間ぐらい待つことになるんだろうかな」



 今身に付けているのが、話題のNight Eye(ナイトアイ)のネックレス。ご覧の通り金ぴか。ちょっとウチの表情がムッスリしてるのは、待つことの苛立ちとNight Eye(ナイトアイ)による眩しさのため。


「……お、やっと来たな」






 1時間とまではいかないが、それなりに待たされたな。何だかんだ言っても伯爵って言うぐらいだから忙しいんだろうか。






「洞窟はまた静かな状態に戻った。我が領域を荒らす者たちに言葉を送ろうと考えるのは愚かである」

「……陶酔にふけるのも良いが、さっさと本題に移ろうぜ」



 これ以上待つ気もないしな。


「ふむ……。まず、君のギルドは迫る来る危険も十分に察知できていない。私からの知らせを受けたとき、彼らが目を覚ましてくれることを祈っておこう」

「うんうん、前置きは良いから」

「……相変わらず敬意というものを持たん娘だが、まあいい。Necromancer(死霊術師)たちに関する重大な情報だ、心して聞き、伝えたまえ。Mages Guild(メイジギルド)にとっての古き因縁が、Cyrodiil(シロディール)に舞い戻ってきた。Necromancer(死霊術師)どもは"奴"の呼びかけに答えているのだよ」

「奴?」







「一体何を企んでこの地へやって来たかは知らん。だが、奴がギルドに対するとてつもない脅威なのは言うまでも無い。……Mannimarco(マニマルコ)が戻ったのだ」



 聞いたことない名前だな。


「奴に敵う者がそういるとは思わん……既にCyrodiil(シロディール)北部のどこかに居を定めたと聞いた。これが私の知っている全てだ」

「……それだけ?」

「奴は古くから居る強力なNecromancer(死霊術師)だ。若い君がこの情報の価値を知らなくても無理は無い。だが出来る限り早く、このことをTraven(トラーベン)に知らせてやるといい。勘違いするな、私は君のギルドに義理など無いが、黙ってこの危機を見逃すことも出来ぬ」



 吸血鬼ジジイのツンデレなんて、誰得よ?


「私が知っていることは全て伝えた。ギルドを裏切り、奴の手下に寝返ったメンバーが少なからず存在することは、私でも知っている。が、君は信用できると私は思っている。Mercator(マケーター)の件があるからな。それが間違っているかはどうかは……まぁ時が経てば分かる事だ」







「そういうわけで、ツンデレ吸血鬼伯爵に少なからず信用されてるウチは、重要な情報とやらを携えて大学に戻るのであった」



 ウチにはよく分からんがその……マンマルコだかチビマル……おっといかんいかん、とにかくそのNecromancer(死霊術師)が戻ってきたことが脅威らしいな。






「Oblivion Gate(オブリビオン・ゲート)の件もあるし、Necromancer(死霊術師)の件もあるし……。なんつうか終末感がパネェなぁ」













































「彼女も我々同様、Scroll(スクロール)の技術者だと? それは事実かね?」

「Vixen(ヴィクセン)が本人から直接聞いた話だ、間違いねぇだろうな」

「Scroll(スクロール)の概念は我々の世界にもあったものだ。だがどういったわけか、我々がこちらのScroll(スクロール)を使う際は、"使用"ではなく"習得"になってしまう」







「逆から言えば、Scroll(スクロール)の使い方でこっちの人間か、俺らと同じかを判別してきた。そのことからして、あの娘……Hero of Kvatch(クヴァッチの英雄)はどうやら俺ら側の人間と見て良いんじゃあねぇか?」

「だとすればどうするかね? 彼女はその通り名が示すように、Blades(ブレイド)側の人間だ」







「Mythic dawn(神話の暁)が本拠を落とされ、我々が道を求めているMysterium Xarxes(ミステリウム・ザルクセス)もBlades(ブレイド)の手の中にある。彼女に協力を求めるよりは、このまま泳がせて我々の手助けをさせておくほうが得策ではないかね?」

「ちぃーっす」







「・・・・・」

「・・・・・」

「……また?」



 また同じパターンかよ。


「え~っと……」

「いやいい。こっちの用も終わったところだ」



 あ、そうなの? 良いんだか悪いんだか……。


「Traven(トラーベン)、さっきの件はお前さんに任せるよ。こっちはこっちで別のやり方を考えておく」

「む、そうか。お前さんがそう言うならそうしよう」










 ・・・・・。何だ、今の? やたらガン飛ばしてきたように見えたけど……。あ、ウチの美貌に見とれてた?






「Skingrad(スキングラッド)では何を知らされた? わしは伯爵とアンタが何を話したのか気にかかっておる」

「おおそうそう。Necromancer(死霊術師)に関する話なんだけどさ……ええっと、何て名前の奴だったっけ? チビマル……じゃない、マンマルコ?」



 ウチの一言でTraven(トラーベン)の表情が曇る。


「そう、Mannimarco(マニマルコ)だ。そいつがCyrodiil(シロディール)に……」

「Mannimarco(マニマルコ)……そうか、まさかとは思っていたが奴が戻ってきたのか」







「ワシは、もう少しでNecromancy(死霊術)をCyrodiil(シロディール)から撲滅できると愚かにも信じておった。これ以上間違えることがなければいいのだが」

「……そんなヤバイ奴なの?」

「限りなくな。この状況をどう乗り越えるかについて、ワシは評議会に諮ることにしよう。アンタの知らせは役に立った。このことが多くの命を救うことになるやもしれん」







「ところで話は変わるが、アンタはBlades(ブレイド)のJauffre(ジョフリ)と親しいのかね?」

「お、何だ急に? まぁ親しいって言うよりは成り行きで手伝ってるって感じだけれど……それがどうかした?」

「・・・・・」

「あ、そうだ。前にRaminus(ラミナス)から聞いたんだけど、ウチによく仕事が回るのってJauffre(ジョフリ)の紹介なんだって? やっぱBlades(ブレイド)のマスターとMages Guild(メイジギルド)のマスター。マスター同士で仲良いの?」

「先に質問をしたのはワシなんだが……。顔を合わせる機会がないので仲の良し悪しでは語れないのだが……もしアンタに機会があればよく言って欲しかっただけだ。互いに苦しい状況だとは思うが、我々には情報力が欠ける分、Blades(ブレイド)の情報力は魅力的なのでな」

「何だ、社交辞令か。まぁ機会があればな。ところで次の仕事は?」

「……無い」






「なん……だと……」

「そんな顔をしても、無いものは無い。明日の評議会での結果いかんによってはすぐにでも動いてもらうが、今は情報に対してどう処理するかを考える時だ。働きづめのアンタにとっては良い休養になるのではないか?」


 ……休養……ねぇ?






「休養だって」

「あらそう、良いんじゃないの、たまには?」

「そうだぞ。我々ガードは休みなしでパトロールをしているのが実情だ」

「それはそれで大変だな」

「うむ。皇帝の崩御に伴う治安悪化の他にも、最近では悪質なテロリストが跋扈(ばっこ)しているとの情報もある。先日も発生したが、通りすがりの旅人に成敗されたのだとか」

「ふーん……」



 それって、この間のMythic dawn(神話の暁)の信者かな?


「そういう規範ある者も居れば、痴漢や窃盗を行うような輩も後を絶たない。なんとも嘆かわしいことだ」

「痴漢は無いわ」

「全くだ」



 痴女も勘弁願いたいね。


「夜明けは来たる!」

「浄化の時は近い!」



 あん?






スタァァアアアアアップ!



 さすがガード、反応が早いな。どうやら向こう側の2人がテロリスト……Mythic dawn(神話の暁)の信者のようだ。


「厄介ごとは任せるわよ!」

「へいへい、Clannfear(クランフィア)! 行ってこい!」






 おー、速い速い。それじゃウチは、連中がClannfear(クランフィア)たちの相手をしている隙を狙うとするか。





 って、えええええ!? ガードさんご臨終!? ちょっと待て、それはキツイぞ!


「死ね、不信心者め!」



 よく見たら連中もClannfear(クランフィア)を召喚していたのか。それじゃこっちも増量して……。


「手伝うわ!」






 Vixen(ヴィクセン)もClannfear(クランフィア)を召喚したことで形勢逆転、あっけなく決着がついてしまった。しかしおかげで、Clannfear(クランフィア)まみれで橋の上は大渋滞だ。……ところでVixen(ヴィクセン)、戦闘は苦手とか言ってなかったか?


「……時と場合にもよるわよ」

「まだ何も言ってないぞ」

「言わなくても顔に出てるわよ」


 そうかい。確かに何度もVixen(ヴィクセン)からSummon(サモン召喚)の魔法を購入しているんだし、当然のことながらその魔法をVixen(ヴィクセン)が使えたとしても不思議ではないわな。……ということは、召喚だけして後ろで隠れてるってタイプかな?





 しかしアジトを潰したっていうのに、Mythic dawn(神話の暁)もしつこいな。かえって活動的になってるんじゃないのか?


「こいつらが以前言っていた連中?」

「ああ、Mythic dawn(神話の暁)っていう危ないヤツラだよ」

「おおい、大丈夫か?」







「リーダー!」



 リーダー?


「Mythic dawn(神話の暁)の連中を尾行してたんだが、撒かれちまった。お前ら見てねぇか?」

「今しがた襲ってきたところを返り討ちにしたところです」







「何だ、Vixen(ヴィクセン)の知り合いだったのか」

「ええ……何であなたもリーダーの事を知ってるの?」

「大学でTraven(トラーベン)と一緒に話してた爺さんだろ?」

「爺さんはやめろよ。これでも俺はアイツよりは年下なんだぜ?」

「じゃあおっさん」

「おっ……ああ、んな事ぁどうでも良いんだ」



 どうでも良いのか。






「ああ間違いねぇ。Mythic dawn(神話の暁)の潜伏者だ」

「潜伏者?」

「街の住人として生活しながら活動している信者たちだ。諜報班と実行班が居るんだが、こいつは実行班の方だな」

「おっさん、ずいぶん詳しいな。まるでBlades(ブレイド)みたい……うん?」



 そういやこのおっさん、以前にも見たことがあったような……。










「ああ、あの時のか」







「俺が連中のアジトを捜査してたときにすれ違ったやつが居たが、お前さんだったか」

「捜査って……おっさん、ホントにBlades(ブレイド)だったのかよ」

「・・・・・。それよりこの死体、このまま放置されると商売の邪魔になるんだけれど、何とかしてくれない?」

「え、何? ウチが悪いの?」

「Hero of Kvatch(クヴァッチの英雄)なんだから、悪い人には恨まれてるんじゃない?」



 そうなのか? そうかもな。


「邪魔なら片付ければ良いんだろ!」










 はい、橋の下へさようなら。


「ありがと。ところで休養って言っていたわよね?」

「え? なんだ突然……」

「それならAyleid(アイレイド)の遺跡を探索してみたら? この辺りにもいくつかAyleid(アイレイド)遺跡もあるし、何か見つかるかもしれないわよ」



 何なんだ、急に? しかしVixen(ヴィクセン)の言うことも一理ある。機会があればAyleid(アイレイド)遺跡を調べようとは思っていたところだったし、Mages Guild(メイジギルド)の仕事も一休みだ。ついでに言えば、Martin(マーティン)からの連絡も無い。丁度良いといえば丁度良いのは確かだ。……なんか釈然としないけれども。


「うーん……じゃあそうすっかな? あそこに見える遺跡について知ってる?」







「あれはFanacasecul(ファナカゼカル)ね。聞いた話だと入り口に鍵がかかっているそうよ?」

「鍵? なんでまた?」

「分からないけど、どこかの組織が管理している遺跡なんじゃない? ほら、Mages Guild(メイジギルド)もVahtacen(ヴァタセン)を管理しているし」

「そんなもんか。……あそこの南にも遺跡があったような記憶があるけれど」







「Vindasel(ヴィンダセル)の事ね。そこについては詳しく知らないわね」

「ふーん。じゃあ候補の1つってことにして……Imperial City(インペリアル・シティ)の北東にも遺跡が見えたけれど……」







「Vilverin(ヴィルバーリン)ね。あそこは止めたほうが良いわよ」

「なんで?」

「別名、"初心者殺し"と言われているぐらいですもの。興味本位で探索できる規模じゃないって噂よ」

「へー、そう言われると逆に行きたくなる……やっぱやめとこ」







「あとはSercen(サーセン)ぐらいかしらね。それ以外はちょっと遠出になるんじゃないかしら」

「Imperial City(インペリアル・シティ)の北にある交差地点のところか」

「そこは確か近くに宿屋があったはずだから、詳しい話も聞けるんじゃない?」







「そうだな、それじゃ退屈しのぎにでも行くとするわ」

「はい、行ってらっしゃい、ばいばい、さようなら」



 ずいぶん邪険に扱われてるような気がするんだが……。












































「ずいぶん無理やりな追い出し方だったな」

「そ、そう? Mythic dawn(神話の暁)の話題から逸らそうと思ったんだけど」

「問題無ぇだろ。適当なでたらめで勘違いしたおかげで、アイツ俺のことをBlades(ブレイド)だと……ん、待てよ?」







「……どうかした?」

「いや、逆にアリかもしれねぇなあ」

「だから何が?」

「Blades(ブレイド)だよ。連中からMysterium Xarxes(ミステリウム・ザルクセス)を頂くには、敵対して奪うより内部に潜り込んで頂戴する方がやりやすいんじゃねえかってな」

「まさか本当にBlades(ブレイド)になるつもり? 難しいわよ、かなりの秘密主義だし……それにもしMythic dawn(神話の暁)の一員だったってバレたら大変なことになるわよ」







「んにゃ、バレるのを恐れるよりも始めっから元Mythic dawn(神話の暁)の信者って肩書きで行くつもりだぜ。Blades(ブレイド)といっても主任務は諜報活動だ、情報の重要性は実感しているだろう」

「つまり、Mythic dawn(神話の暁)の内部情報を教えて信頼を得るってこと?」

「そういうこった」







「準備を整えるのに時間がかかるが……Vixen(ヴィクセン)、またしばらく会えなくなるが大丈夫か? また泣きべそかかれたらたまらんからな」

「だ、大丈夫よ。あれはアジトが襲われたって聞いたものだから……。そういえば例の斧は? どこかに預けているの?」

「いや、アジトに置きっぱなしだったからな。それも合わせてBlades(ブレイド)から取り返さにゃならんだろうな」
















































「ここだな」






 今まで何度もこの道を通ってきたが、この宿を利用するのは初めてだな。今日はここで話を聞いて、明日に備えるかな。





 おっと、ずいぶん客が多いな。人の行き交いの多い道沿いにあるから繁盛しているんだな。





 しかし宿の狭さに比べて客の数が多いな。こりゃ先に部屋をとっておいたほうが良いかな?






「ちぃーっす、儲かってるみたいだね。部屋は空いてる?」



 空いてるってさ。よし、宿屋の前で野宿なんて羽目にならずに済むようだ。ついでにSercen(サーセン)について尋ねてみると周りの冒険者いわく、野盗連中の根城になっているんだとか。そう言えば前にあの付近を通ったときにも野盗に襲われたことがあったっけ。





 それじゃ明日は野盗退治をした後に遺跡探索になりそうだな。今さら野盗ぐらい、Drain Health(ドレイン:体力)の一撃で沈むだろうから問題は無いけれど……。


「しかしこの宿屋、本当に狭いな。下の連中がうるさくて寝られないよ」



 まったく、これじゃ明日に響くzzz。


 

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プロフィール

ひなみこと

Author:ひなみこと
昔:セクハラ騎士
今:セクハラ(される)魔術士

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