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21日目 ~面会、復興、うわさ~ (前編)



 翌朝。まず先にTar-Meena(ター=ミーナ)のところへ行こう。そうそう、Baurus(バウルス)がいなくなったので、例のレア物アミュレットを身に着けているのだが、違いが分かるだろうか?




 3番、図書館。今日はTar-Meena(ター=ミーナ)1人だけか。どうだい、『解説書』の調査は進んでる?






「確かにMankar Camoran(マンカー・カモラン)は面白い作家ね。間違いなく狂っているけど、とても興味深いの」

「いや、知りたいのはそういうことじゃなくって」

「ええ、ええ。分かっていますとも。ええと、肝心な点だけれども、それぞれの段落の最初の言葉が重要なのよ。おそらく暗号はそこに隠されていると思われるわ」

「なるほど、よくわからんが……もう少し時間がかかりそうかい?」

「そうね、もう何日か欲しいわね。何しろ私が取り掛かってる仕事はこれだけじゃないから……昨日もRaminus(ラミナス)が来て、何かの本を探すように言われたしね」



 調査にはもうしばらく時間が必要らしい。後日また来てみるとしよう。





 続いて、杖を取りに行こう。こっちはおそらく出来ている頃だと思うが。





 お話中失礼。Delmar(デルマール)さんや、ウチの杖はもう出来ているかね?






「うん、完成したよ。後ろの角の戸棚の中にある。君の役に立てば幸いだ」



 そうかそうか。どれどれ……あ、そういえば何の効果の杖にしたか言ってなかったよな?





 じゃじゃん。正解はParalyze(パラライズ)の杖でした。名前の通り、相手を麻痺させる杖だ。戦闘用にも使えるし、好きなあの子を力ずくでモノにするのにも……いやいや、なんでもないよ?





 その後は、ちょいと寄り道を。前回誰も居なかった7番の部屋。おそらくAlchemy(錬金術)に関する部屋だと思っているんだけども……今日は誰か居るかな?





 お、いたいた。やっぱりAlchemy(錬金術)の部屋で合っていたようだ。





 まだちょっと早い時間なので、ここで時間を潰させてもらうとしようか。最近ポーション作りしてなかったから、素材が余って余って仕方なかったしな。

 ところでお姉さんはこの部屋担当の人? へー、そう。部屋の前に薬草園があるし、Alchemy(錬金術)の器具は備品として置いてあるから、素材販売はほとんどやってないんだ。それじゃ儲からないよね。





 いい時間になったし、自分の杖も完成したのでRaminus(ラミナス)に次の仕事を貰いに来たんだが、まだ出勤してないようだ。大学の受付嬢みたいな立場だが、あれでも評議会のメンバーだから、重役出勤でも許されるってか? そっちはそれで良いかもしれんが、ウチとしてはさっさと遺跡探索の仕事をしたいんだがな。

 今まで知りえた情報の中でウチが元居たところに帰る方法は、かつてAyleid(アイレイド)が使っていたという空間転移の技術を見つけ出すしかない。そのためにはAyleid(アイレイド)の遺跡を調べて、空間転移に関する情報を探し出すしかないというわけだ。


「・・・・・」



 待っててもすぐに来る気配は無いな。こちらから探しに行くか。どうせ寄宿舎で寝坊でもしているんだろう。





 寄宿舎に行ってみたら、ちょうど今出てったばかりだと言われた。くそ、入れ違いか。ならまだ遠くには行っていないはず……居た。目の前に。


「Raminus(ラミナス)! 杖が出来たぞ! この前言っていた"重大な課題"とやらをやらせてくれ。どうせAyleid(アイレイド)の遺跡探索なんだろ?」

「君か……朝から大声で話しかけないでくれ。私は昨日遅くまで、Wellspring Cave(水源洞穴)に現れたNecromancer(死霊術師)の事件にかかりっきりだったのだ」



 そういやさっきもDelmar(デルマール)がそんな会話していたな。


「コホン。まず先に、君は自分の杖を完成させることが出来た。ギルドの規則にのっとって、君は今、Journeyman(熟練者)の位階を得た。位に負けないように」



 ほう、これで事あるごとに見習い呼ばわりされずに済むわけだな。もっとも、ウチを見習い呼ばわりしてきたヤツといえば、目の前のRaminus(ラミナス)だった気がするんだが。


「それと、まだ君にAyleid(アイレイド)の遺跡探索を任せるわけにはいかない。まだ君の実力を確認していないし日も浅い。それに物事には順序というものがある」



 実力か。本当のところ、ウチは魔法使いとしての実力はまだまだなんだよな。Scroll(スクロール)から魔法を習得できるという力が無かったら、主力のDrain Health(ドレイン:体力)は使えなかっただろうしな。召喚魔法は結構上達したものの、破壊魔法はDrain Health(ドレイン:体力)を除けば非力なものばかりしか使えない。回復魔法はいまだに苦手だしな。





「先ほども話したが、評議会は、Wellspring Cave(水源洞穴)での事件を調査中だ。人員の大半がその任務についており、人員は不足気味だ。その調査上で、必要になる本があるのだが、確認したところその本は現在、Skingrad(スキングラッド)伯Janus Hassildor(ジャヌス・ハシルドゥア)に貸与されていることが分かった。君にはその本の返済催促を任せたい」

「……なんか借金の取立てみたいな仕事だな」

「あまり重要な仕事には思えんだろうが、しかし……必要なことなのだ。そして、君は手が空いている数少ない1人だ。注意事項としては、Skingrad(スキングラッド)は……尋常ならざるところだ。不測の事態に備えておきたまえ」






 確かにSkingrad(スキングラッド)と言えば、あの変態ストーカー男に付きまとわれたり、Mythic dawn(神話の暁)教団の信者が集まっているという噂を聞いたりしたことがあった場所だったな。Raminus(ラミナス)の話し振りだと、それ以外にも何か変わったことがありそうな感じだが……用心しておこう。





 それじゃさっさとSkingrad(スキングラッド)へ行って、パパッと本を返してもらおう。あれ、Skingrad(スキングラッド)でほかにも何かあったような気がしたんだけど……なんだっけ?






「あ、いっけね! Skingrad(スキングラッド)に馬を置いてきたまんまだった!」



 ・・・・・。あれから何日経った? ウチが推薦状集めに各地を回っていた頃だったから……かなり経つな。今更行っても居ないだろうなぁ。誰かに盗られたか、野生に帰ったか……うーん、すまんことをしたなぁ。






「お久しぶりね。どう? 推薦状は集まった?」



 橋のいつもの場所でVixen(ヴィクセン)と会った。そういやImperial City(インペリアル・シティ)に戻る際にこの橋を渡ってこなかったから、Vixen(ヴィクセン)に会うのも久々だな。


「それどころか、もう大学に入学したよ」

「えっ、聞いてないわよ」

「今言ったよ。入学祝いに何かくれ」

「今聞いたばかりなのに用意しているわけないでしょ」



 そりゃそうか。






「なんにしろ、入学おめでとう。……どこか行く予定だったの?」

「ああ、ちょっとRaminus(ラミナス)にパシリ行ってこいって言われてさ。Skingrad(スキングラッド)まで行ってくるわ」

「ご苦労様なことね」






 その後も軽く世間話をした後、Skingrad(スキングラッド)へ向かいだした。





 この森の先だったな。以前は馬で敵を振り切ってきたが、今回は出会ったら退治してかないとな。





 ん、こんなところにAyleid(アイレイド)の遺跡なんてあったのか。この間はさっさと馬で走りぬけたからイロイロ見落としたものもあるんだろう。





 遺跡の脇の道を通ると、誰か向こうからやってきた。野盗……じゃないな。あれは魔術師がよく好むローブだし……って、ありゃ殺る気まんまんだな。何だ、やろうってか?





 人間相手なら負ける気はしないぜ! Drain Health(ドレイン:体力)で1発だしな!

 ……なんだ、右の岩っころは? ゴーレムの類か? こっち向かってくるけど……おそらくこいつも敵なんだろうな。初見の相手だから慎重に戦おうか。





 ふむ、動きはそれほど早くはないな。Flame Atronach(炎のアトロナック)の物理攻撃、炎の魔法、ともに有効。ただ、ウチが放った雷の魔法は効いてない様子だ。なるほど、雷に耐性があるってわけね。





 なら迷うことは無い。Flame Atronach(炎のアトロナック)に相手させながら、横からWeak Fireball(ファイアボール)を打ち込んでりゃ、そのうち倒れるだろ。どうやら体力もかなりありそうだから、こいつは持久戦になるな。











 いったー!

 結構距離を取ったつもりだったんだが。あの岩っころめ、腕が伸びるとはどういうことだ、くそ。直撃はしなかったが、魔法の衝撃も合わせて大きく吹き飛ばされちまった。





 いかんいかん、愚痴ってる場合じゃない。こんな無防備な状態で押さえ込まれたらどうしようも出来ないぞ。さっさと起き上がらねば……。





 っと、その心配はいらなかったようだ。Flame Atronach(炎のアトロナック)が岩っころを倒したようだ。頼りになるヤツだ。しかし危なかったな。

 岩っころは己を支える力を失ったためか、人型を維持出来ずに崩れ去った。





 岩の一部はその名残りを残しているものの、それ以外は大小さまざまな形の岩になってしまった。こりゃ巨大なパズルだな。もっとも元に戻そうという気は起きないのだが。





 いらん時間を取ってしまったな。受けた傷を癒しながら、再びSkingrad(スキングラッド)への道を進む。





 ふむ、このあたりはすでに誰かが倒した後らしいな。街道が安全なのは良いことだ。





 おかげでSkingrad(スキングラッド)まではあと少しだ。道中の敵は、さっきの岩っころと魔術師ぐらいなものだ……ん、魔術師?





 しまったなぁ、魔術師からの戦利品を奪うのを忘れてきたよ。魔術師だけに魔法絡みのアイテムとかあったかもしれんのに、惜しいことをした。行商人も出番なしだ。






「金か、命か」



 あん? ああ、追い剥ぎさんですか。悪いけど戦利品忘れたのがショックで、構う気が無いんだ。ほれ、物乞いよ。100G恵んであげよう。だからさっさと道を空けろ。





 どうせ物乞いを倒したところで、あいつら大した戦利品持ってないんだ。時間の無駄だ、時間の。ん、金は無駄じゃないのかって? 気にするな。時間があるときにヤツをぶっとばして回収するさ。





 そんなこんなでSkingrad(スキングラッド)に到着……あれ? あそこに見えるのって、もしかして……もしかするかも?





 おおおおお。なんと律儀な子なんだろうか。あれからずいぶん経ったはずなのに、ずっと待っていたのか。うんうん、愛いヤツめ。すまんな、置いてけぼりにして。今度はちゃんと連れ帰るからな。用事が済むまでもう少し待っていろよ。





 さ、それじゃパパッと用件を済ませてしまうか。ガードさん。お城までの道のりを教えてくれ。


「調子はどうだい?」



 もう最高さ!





 ガードに道案内してもらってるときに話しかけられたオジサンから"興味深い話"を聞いたぞ。後で確認しておくとして、まずはお城に向かおう。





 お城に到着。ここは城門を抜けた中庭ってところかな。さて、どうやって伯爵に会おうか? まぁ会わなくても本だけ返してもらえりゃ良いんだけど……あ、そこの人、ちょっといいかな?


「少しなら時間があるかな。何か用かい?」

「伯爵に会いたいんだけど、どうしたら良い?」

「伯爵に? 面会の約束は……なさそうだな。ならMercator(マケーター)……執事に相談すると良い」


 執事か。





 城の中に入る。執事は誰かな……身なりのよさそうな、手前の緑服の男かな? ちょっとすいません、Mages Guild(メイジギルド)から来た者ですけど……。






「なに? Mages Guild(メイジギルド)だって?」



 執事の男の表情が強張った。何だ、Mages Guild(メイジギルド)の人間が来ちゃいけないのか?


「ああ、いえ。失礼しました。伯爵に会いに来られたのですかな。残念ながら伯爵は多忙の身ですので面会は叶いません」

「そう。それじゃ……」

「ですが、わざわざImperial City(インペリアル・シティ)から来られたのです。何とか面会できるよう努力しましょう。そうですね、明日また来てください。明日になれば面会できるでしょう」



 え、いや……本だけ返してくれれば良かったんだけど……。





 うーむ。時間が出来てしまったな。明日まですることがないぞ? どうしようか。





 うーむ……む? この橋の下にあるのは農園か? 反対側は……愛馬の居た厩舎か。もしかして愛馬が飢え死にしなかったのは、あの農園の野菜でも食っていたんじゃないだろうな。





 厩舎まで戻って、愛馬にまたがる。うん、こいつに乗るのも久しぶりだな。





 さっきの橋の下をくぐって……。





 農園に着く。特に食べられた野菜は見当たらないようだけど……じゃあこいつは何を食っていたんだろうな? そこらに生えてた草?





 まぁいいか。またこいつに乗ることが出来たんだから、それで良いじゃない。

 んーと、ここはSkingrad(スキングラッド)の西側だな。あの橋の下をくぐればこちら側に出られたのか。覚えておこう。





 西門付近。さっきオジサンから聞いた"興味深い話"は、たしか西門の外だと言っていたな。詳しいことはガードが知っているそうだが……あそこでたむろしているガードに聞いてみようか。






「話があるなら伺おう、市民よ」

「1週間から10日間ぐらい前に、このあたりで赤いローブを着た集団が現れたって話を聞いたんだけど?」



 そう、"興味深い話"というのは、ウチがMartin(マーティン)を連れてWeynon Priory(ウェイノン修道院)に向かおうとした際に聞いた、Mythic dawn(神話の暁)教団の信者らしき連中がSkingrad(スキングラッド)に集まっているという噂の件だ。


「ああ、その話か。どこから来たのか知らないが、同じ赤いローブを着た連中がこの西門近辺にたむろするようになった。もっとも、何かしでかしたわけではないので、我々も特にどうこうしようとはしなかったがな。何日か経った後に起きた"例の事件"以降は見かけなくなったがな」

「"例の事件"?」

「おや、知らなかったのかい? 突然あのGlarthir(グラルシル)が武器を振り回して、ローブの集団に襲い掛かったんだ」



 Glarthir(グラルシル)というのは、例の変態ストーカーの男のことだ。


「で、その後どうなったの?」

「殺人未遂の現行犯で、我々が成敗した。怪しい集団ではあったが、法を犯したわけでもない相手に突然襲い掛かった以上、裁くべきはGlarthir(グラルシル)の方だったからね」



 ふーん。もともと頭のいかれたヤツと言われていたが、そんなキチガイじみた行動にまで出るとはな。


「どうしてGlarthir(グラルシル)はそんな行動に出たんだい?」

「これは後から分かったことだが、Glarthir(グラルシル)の日記によると、彼は極度の被害妄想を抱いていたようだ。常に誰かに監視されていると思い込んでいたらしい。もっとも、誰もそんなことはしていなかったのだけれどもね。そんな中、怪しい連中が街の外で何日も居たんだ。Glarthir(グラルシル)にとっては、彼らに監視されてると思ったんじゃないか……というのが犯行の動機だと結論付けられた」

「なるほど。ところで、その怪しい集団ってのは結局何だったんだい?」

「具体的なことは不明だ。その事件の後、すぐに姿を隠して以降、全く現れなくなったからね。ただ、Glarthir(グラルシル)は彼らを知っているようだった。彼の日記にその集団について書かれた部分があった……えーっと、なんという名の集団だったかな?」

「Mythic dawn(神話の暁)?」

「そうそう、そんな名前だったな」






 ガードに聞いて、その事件現場を知ることが出来た。すぐ先の広場になったところだ。Glarthir(グラルシル)の死体はそのまま野ざらしにされたままだというのだが……あれがそうか。





 ふむ。やはりあの変態ストーカーだな。





 おそらくMythic dawn(神話の暁)は、何らかの形でMartin(マーティン)が無事にKvatch(クヴァッチ)から脱出したことを知ったんだろう。さらに、ウチと一緒にWeynon Priory(ウェイノン修道院)に向かうことまで知った彼らは、ここSkingrad(スキングラッド)で待ち構えてMartin(マーティン)を始末しようとしたのだろう。

 もしあの時、噂を聞かずに道を迂回しなければ、大変なことになっていただろうな。





 疑問が解けたところで、まだ時間に余裕があることを考えて、ウチは一度Kvatch(クヴァッチ)に向かうことにした。以前、Matius(マティウス)から手紙を貰って、復興作業中に何かトラブルを抱えてしまったのでウチに来てほしいと伝えられていたからだ。あの時はイロイロ忙しかったが、今なら時間がある。


「ん……橋の上に誰か居るな」






 このあたりの連中はあらかた片付けたはずだが、あれから1週間以上も経っているんだ。新たにゴロツキや野盗が居てもおかしくないか。





 馬から下りて、まず1人目は遠距離から狙撃。





 もう1人が向かってきたところを返り討ち。





 以上。





 地図を開いて道のりを確認する。えっと、この先はキャンプが点々とあるところだな。確かすぐ先のキャンプでは、冒険初心者の女の子が痛い目に合っていたところだったんだが……。


「くぅ、く、うん……ん……んんっ!!」



 ・・・・・。おいおい。


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Author:ひなみこと
昔:セクハラ騎士
今:セクハラ(される)魔術士

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