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18日目 ~廃砦、山賊、己が欲~








「……二日酔いだな」



 昨夜の深酒で体が重い。しかし今日は予言者の石を探しに行かねばならんのだが……うぇっぷ。大丈夫かな、こんな調子で。






「おはよう。あら、具合悪そうね」

「おかげさまでね……」



 この底なしめ。ウチも酒が弱いってわけじゃないんだが、かといってそれほど強い方でもない。人並み程度なので、強いヤツと一緒に飲んだ後は大抵こんな感じだ。


「二日酔いに効く薬ならお安くするわよ?」

「うぅ……いただきます」






 ふぅ、少しは良くなったかな。今度、二日酔いに効くポーションとかでも作っておこうかな。





 よし、そろそろ出かけるとしよう。すでに外は日が昇ってるところをみると、いつもより出かけるのが遅くなったようだ。とはいっても、今日やることは町外れの廃砦に行って予言者の石を探すだけだからな。展開によっては早く済むかもしれんし。





 Leyawiin(レーヤウィン)の東門から街の外に出た。すでに日が昇っている時間もあってか、冒険者らしい人影も見えるな。





 今日の目的地である廃砦、Fort Blueblood(ブルーブラッド砦)はここから南東のところにあるようだが、そこに繋がる道は地図には載っていない。位置的にはこの曲がり道の付近から道があっても良さそうなのだが。





 分からんときには人に聞こう。ちょっと失礼、Fort Blueblood(ブルーブラッド砦)に行くにはどう行けば良いかな? ……え、道なんてない? 草むらをかき分けて行けって? マジで?





 会話の途中、道の脇から飛び出したネズミを、渾身の力で切り伏せた。どんな相手であっても全力で立ち向かうんですか、そうですか……え? 今ネズミが出てきたここからまっすぐ行けって? そいつはどうも。





 というわけで、言われたとおり草むらをかき分けてFort Blueblood(ブルーブラッド砦)に向かう。左右の丘に挟まれたこの谷間を進んでいけば、おのずと見えてくるだろうってさ。






「お、あれかな?」



 草むらを進むこと1時間ばかり。視界が開けた先の右手に、それらしい廃砦が見えてきた。




 左手には……まぁ見なかったことにしよう。





 とにかくここがおそらくFort Blueblood(ブルーブラッド砦)で間違いないだろう。話によるとこのあたりには山賊が居て、この砦を根城にしているとか言っていたが……。





 居た居た。見張りが暇そうにしている。幸いこちらには気付いていないようなので、騒がれる前に始末しておくか。





 使う魔法はこちら、Drain Health(ドレイン:体力)Lv3。威力は昨日実践済みだ。この魔法を"相手に気付かれないうちにぶつける"事で始末しようというわけだ。






「物陰から、ほい!」



 よしよし、見事命中かつ一撃で仕留められたぞ。こいつは便利だ。問題点としては強すぎるがゆえにReflect Spell(リフレクト・スペル)などで魔法が跳ね返ると、ウチの方が大打撃を受けてしまうという点だな。そのあたりは気をつけねば。





 見張りはさっきの一人だけだったようだな。砦の周囲の安全を確保した後は、このまま内部に潜入といこうじゃないか。






「おい、交代の時間には早いぞ」



 お、やべやべ、扉の開閉で気付かれたか? いや、どうやらウチをさっきの見張りと勘違いしているようだ。なら騒がれないうちに……。





 よし、仕留めた!


「おい、どうした!?」



 げ、更に奥に誰か居たようだ。





 っとぉ、危ない危ない。こちらに気付いて切りかかってきたが、それより先にウチの魔法の方が早かったようだ。しかし、不意打ちじゃなくても一撃で倒せるのか。こりゃ山賊退治も楽に進みそう……。





 って、わわっ! さらにもう1人追加ですかい! しかもこちらは魔法に抵抗力があったのか、一撃で仕留められなかった。くそっ、ならば時間を稼ぐか。Zombie(ゾンビ)さん、いらっしゃ~い。





 山賊は目標をZombie(ゾンビ)に変更したようだ……って、山賊の一撃で燃え上がるZombie(ゾンビ)。山賊のくせに炎の剣を持ってるのか、どこから奪ってきたんだ、それ。





 しばらく様子を見た後、Zombie(ゾンビ)に削られた頃を見計らって再度Drain Health(ドレイン:体力)Lv3をぶちかます。よしよし、今度は倒れた。この魔法の特性上、一撃で倒せなかったときはすぐに体力が回復してしまうのが難点なんだよな。次からはきちんと、"相手に気付かれないうちにぶつける"ように効果的に倒していこう。





 そうそう、さっきの炎の剣は貰っていきますね。売ればなかなかいい値で売れそうだし。





 ほかの山賊は良い武器持ってないなぁ。昨日の例もあるし、あまり持ちすぎると処分に困ることになるからな。今日は出来る限り、軽くて高い品を中心に貰っていこう。

 向こうは檻で閉ざされているけど……牢屋? あまり良い記憶が無いんだがな。





 反対側は……って、誰か突っ立っているぞ。先ほどあれだけ騒いでいたのに、まったく気付かなかったの? 馬鹿なの? 死ぬの?





 ほら死んだ。





 騒がれる前に倒すと、あたりの敵に気付かれずに済んで楽チンだな。お、向こうにもいるな。





 はい、物陰からこっそりと。





 よしよし、良い調子良い調子。このあたりには他にいないようだな。





 って、すぐ横にいるし! 隣のヤツが倒れたのにまったく気付いていなかったのかよ。居眠りでもしていたのか?





 それじゃそのまま眠り続けてくださ~い。





 おっとぉ、さすがに何回も調子よく進まないか。他の山賊に気付かれたようだ。ここは距離をとりつつ、Zombie(ゾンビ)に頑張ってもらおう。





 そしてZombie(ゾンビ)が頑張った頃に、どーん。





 慌てなければ、気付かれても上手く対処できるようになったな。……ん、この山賊も良い武器持ってるな。





 ほほう、Dispel(ディスペル)の剣か。コイツで切られると、強化魔法を無効化するというシロモノだ。例えば、防御力を強化していても無効化出来るので、対魔法使いには最適の武器となるわけだ。まあ後で売っちゃうんですけどね。





 このあたりはどうやら全部倒し終えたかな? とりあえず一つ一つ調べていこう。





 んー、何かのスイッチ?





 そして天井にはトゲ鉄球がぶら下がっている。ふむ。





 よしZombie(ゾンビ)、ちょっとそこに立っててね。なに、スイッチを踏むとどうなるかの実験だから……ぽちっとな。





 ああ、やっぱりね。豪快な音と共に、思いっきり壁にまで吹き飛ばされてら。





 こんな卑劣な罠をしかけてあるぐらいだ、この先には山賊が奪ってきたお宝があっても良いだろう。





 と思ったが、どうやら武器庫のようだな。宝箱の中身も大したものは入っていなかったし。こんな重たいハンマー持ってっても安いしかさばるだけだし……。





 武器庫の道具は諦めて、先へ進もうか。抜き足差し足忍び足、と。





 よし、気付かれてないな。こいつも物陰からこっそりと……。





 ほい……って、やべっ! すぐそばに他の山賊が……。






「いったぁ……向こうも魔法使いか」



 雷の魔法を食らったので、少し痺れ気味。悪いZombie(ゾンビ)、ちょっとの間相手して時間稼ぎして。





 しばらく経って体の痺れも取れてきた。よし、やるか! って、Zombie(ゾンビ)が戻ってきた。あれ?





 おお、倒してやがる。Zombie(ゾンビ)のくせにやるじゃないか。





 このフロアには他に敵はいないようだ。あたりを確認すると……なんだこりゃ? 木で作られた人形がぶら下がっているが……これって戦士の修練相手か?





 おらおらぁ。どうだ、これでもか。





 うん、手が痛くなってきたので途中で止めた。馬鹿やってないで先に進もう。





 扉の先は……まだ先があるのか。同じような光景が続くなぁ。





 同じような光景がなぁ……。





 お、またあの木の人形があるが……ちょっと広いフロアに出たがここからでは敵の姿は見えない。うーん、誰か居ても良いと思うんだが。





 念のため階段を進まず、右脇に身を潜めると……宝箱か。周囲に人の気配は無さそうだし、この程度の簡単な鍵なら問題なく開けられるな。





 問題なく……?





 くそ、中身はやっぱり大したものは入っていなかったな。っと、向こうから話し声が。人が居たのか、危ない危ない。

 大柄と小柄。どちらかだけ先に仕留められるとしたら……。





 そりゃ大柄の方だろうよ。





 小柄の方は弓使いのようで、距離を詰めようとしない。かといってこちらの魔法には警戒しているようなので、上手く照準を定められない。ならばここはFlame Atronach(炎のアトロナック)をけしかけるか。





 おっと、どんどん先に逃げていくぞ。いかんいかん、仲間を呼ばれると厄介だ、Zombie(ゾンビ)も行ってこい。





 よしよし、召喚のお付きが頼りになると、戦いが安定するねぇ。仲間を呼ばれる前に無事に倒せたようだし。





 すぐ先に扉が閉ざされていた。なるほど、さっきの弓使いが仲間を呼べなかったのは、戦闘中に敵に後ろを向けて扉を開ける暇が無かったというわけか。





 どれどれ、扉の先はっと。階段の下に1人。橋の上に1人。奥の明かりのところに1人。計3人か。





 まずは階段下のヤツからっと。





 次は遠いけど、奥に居る棒立ちのヤツを。





 よし、当たった!





 お、ここで橋の上で残っていたヤツが、ようやくこっちに気付いて向かってきたな。





 Flame Atronach(炎のアトロナック)を召喚して、削ったところにDrain Health(ドレイン:体力)Lv3を打ち込んだが、かなり体力があるようで倒れなかった。結構タフだな、こいつ。





 けどまぁ、何発か魔法を打ち込んだ後に改めてDrain Health(ドレイン:体力)Lv3でトドメを刺す。Flame Atronach(炎のアトロナック)目掛けて振り下ろしていた剣が、持ち主を失って力なく地面に転がった。





 なかなかタフなヤツだったが装備はそこらの山賊と大して変わらんな。懐を探ってみると……鍵か。ということはまだ先があるってことか?





 めんどくせぇなぁ。そろそろ予言者の石があっても良い頃だと思ったのに。周囲の安全を確認した後、疲れてきたのでちょいと小休止。宝箱には大した物もなかったし、樽の中には酒瓶が入っていたけど昨夜の件で持っていくのも億劫だし……。













 敵陣のど真ん中で横になるって、どういう神経してるのかって? 部屋に繋がる扉に、ちゃんと鍵がかかってるのを確認したうえでの行為だよ。どうやらさっきの山賊が持っていた鍵で開け閉めできるようだったしな。





 おおっと、鍵を開けたらいきなり山賊の死体だ。なんだなんだ、ウチはまだ何もやっちゃいないぜ?





 死体を見るとあちこち食われた後があったな。どうやらこの先に何か住み着いているようだ。この先には……行き止まりの部屋があっただけだが。





 む、柱の向こうにでっかい影。どうやらあれが山賊の死体を食い散らかしていたヤツだな。毛むくじゃらのサルみたいなヤツだが……。





 あ、あれ? 弱ぇ……。物陰からのDrain Health(ドレイン:体力)Lv3で終了かよ。ウチはてっきり「いよいよボスだな、テンション上がってきた」的なノリだったのに……うわぁ、冷めるわ。





 しかも何も持ってない。いやいや、ここは展開としてはコイツが予言者の石を持っていて、苦戦の末に倒して手に入れるってパターンじゃないの? それとも、たまたま居ついただけのザコだったの?





 山賊の死体を漁ってみたが、それらしい物は持っていなかった。仕方ない、気は進まないが墓荒らしでもするか。ちょいと失礼しますよ。





 無いなぁ、それらしい物は。あった物といえば、棺の持ち主らしき骨と数枚の金貨と指輪くらいなもの。あ、金目のものはありがたく頂戴しましたけどね。

 残った棺はこいつだけだな。どれどれ……。





 うん、この中もやっぱり骨と首飾りだけだった。結局あったのは指輪とか首飾りだけで、肝心の予言者の石は見つからずじまいかぁ。……ん?





 静寂の中に響く扉の閉まる音。誰か来たのか? 山賊の生き残りか? 柱の影に身を隠しながら向こうの出方を伺うが、扉の音以外は何も起こらない。様子を確認するか。





 扉のほうへ近づいていくと、見た顔がこちらに向かってきた。何だ、眉毛男じゃないか。どうした、こんなところまでやってくるなんて。






「アミュレットを持ったまま行かせることは出来ないな。私にそれをよこせ、すぐにだ」

「あん? アミュレット? ……ああ、これが予言者の石だったのか。そういえばそんなことを言っていたっけ」

「望みの一つはすでに手に入れた。それで十分なはずだった。ここまでする羽目になるとは思っていなかった、彼女さえいなくればそれでよかったんだ! いつまでも隠しておくつもりはなかった。目的が達成されたら、返すつもりだった。間違っていないだろ?」



 彼女、というのはミニスカ婆さん……もといDagail(ダゲイル)のことか。眉毛男ことKalthar(カルサール)の言いたいことは、昨日話していたことと通じるな。

 コネで支部長になったはいいが、支部長としての仕事はサッパリで、肝心の予言の力もこのアミュレット―予言者の石―がなければままならない。そのアミュレットを隠して彼女の失脚を願ったが、間の悪いことにウチがやってきてアミュレットを探し出したといったところか。

 昨日も思ったが、Leyawiin(レーヤウィン)のギルドを実質切り盛りしているのはAgata(アガータ)の方だ。それはギルドの人間みんなが感じていることだ。きっとKalthar(カルサール)は、Agata(アガータ)に支部長をやってもらいたくてこんなことを……。






「あの女が引退し、私の昇進の助けになれば、アミュレットを返すつもりだったんだ! どうして邪魔立てする?」

私欲かよっ!!

「どうして全てを台無しにするんだ!」

「知るかよっ!」






 怒りに狂ったKalthar(カルサール)はGhost(ゴースト)を召喚して、さらに剣まで抜いてきた。おいおい、ちょっと待て。ギルド員の私闘は処罰の対象になる決まりに……。






「くっ!!」



 まずい、この馬鹿本気だ。本気で切りかかってきやがった。杖でガードしたから何とかなったものを、こりゃ私闘じゃなく殺し合いじゃねぇか。






「つぅっ!!」



 今度は雷の魔法か。お前さんはギルドを除籍になっても知らんが、ウチはようやく全部の推薦状まであと1歩ってとこまで来てるんだぞ。ここまできてパァにしてたまるか。





 だがKalthar(カルサール)はウチの考えなどお構いなしで、アミュレットを奪うことのみに執着していやがる。くそっ、だんだん腹が立ってきたぞ。周囲ではお互いのSummon(サモン召喚)がギャーギャーやかましいわ、Kalthar(カルサール)は防戦一方のウチに全力で向かってきてるし。


「アミュレットをよこせ!」

じゃかあしいわクソがっ!!






 あ。





 いかん、これはいかんぞ。気絶でもさせればよかったんだが、ついつい本気でDrain Health(ドレイン:体力)Lv3を使ってしまった。うーん、向こうから襲ってきたとはいえ、ギルド員を殺してしまった以上は除籍かなぁ?





 困った困った。正当防衛でなんとかならんかなぁ? 困った困った。ついでに扉も閉まって鍵がかかっている。山賊から奪った鍵じゃ開けられないぞ。困った困った。





 Kalthar(カルサール)の懐を調べると、やっぱり鍵を持っていた。さっき扉を閉めたのはこいつか。そして鍵をかけて閉じ込めておいてから、ウチを何とかしてアミュレットを奪おうと企んでいたんだろう。






「しっかし、ホント。どうすっかな」



 うん、どうしよう? 考えながら歩いていたら、どうやら最初に見かけた牢の反対側に出たようだ。





 傍らにはいかにもなレバー。





 うん、開いた開いた。ひとまずこの砦から出よう。





 すっかり夕方になっちゃったな。さっさとLeyawiin(レーヤウィン)に戻ろう。





 ああ、もう考えてもどうにもならん。起こったことをありのまま話して、後はなすがままだ。





 朝と同様、草むらをかき分けて来た道を戻ってきて。





 たどり着いたLeyawiin(レーヤウィン)の街。向こうに行商人が居るな、早速戦利品でも売り払おう。






「これは……魔法が込められた剣だけど良いのかい?」



 いらんいらん。さっさと金に換えてくれ。





 イロイロあったが、Mages Guild(メイジギルド)の入り口まで戻ってこれた……うん、Mages Guild(メイジギルド)の入り口? あれ、何か思い出したぞ。





 Extrication(緊急離脱)。これを使えば、Kalthar(カルサール)を殺さずに逃げ帰ることが出来たんじゃないか? 失敗したな、ギルド員に襲われるという想定外の事態で慌てて、冷静に事態の対処を考える余裕がなかったな。まぁ済んだことは仕方ない。後はなるようになるさ。





 さて、アミュレットを無事持ってきたよ……って。何をしてるの、あなた方?






「見つけたのね、そうでしょう? 喋らなくても分かるわ。私の石を持っているんでしょう? 何も言わなくていいわ、石をちょうだい」



 いや、あなたの父親の石なんだけどね……まぁ良いか。


「ああ、おかげで助かったよ。声が静まった今、お前の求める言葉を口に出来る。お前は授かるだろう……私からの推薦を」



 よし、これで全部の推薦状が集まった。え、Kalthar(カルサール)? 何のこと?






「だが、警告する。お前の未来が見える。確かな未来、不確かな未来が。お前の行動が、大勢の運命を左右するだろう。生と死は奇妙なもの。お前の手で簡単に変えられる」

「・・・・・」



 うん、何とも縁起でもない予言だ。ウチが大事件に巻き込まれるのか、はたまた大事件を引き起こすのか。ウチとしてはさっさと元いたところに帰りたいだけなんだがな。






「大いなる出来事があなたに降りかかるだろう。試練が訪れる、だがあなたは打ち勝つでしょう。打ち勝たなくてはならぬ、ギルドのために」



 ギルドのためかよ。逆に言うと、ギルド絡みでの大事件ってわけか。そう考えるとある程度心の準備が出来そうな出来なさそうな……まぁいいか、なるようになるさ。


「ああ、それと……言いづらいんだけれど……」

「Kalthar(カルサール)の件なら心配はいらない。Agata(アガータ)から話を聞いて、今日あの男を除籍させたから」

「へ?」



 ……ウチがアミュレットを探しに行ったことを知ったKalthar(カルサール)が、それを阻止しようとギルドを飛び出した際に周囲に色々口走ったらしい。その時にウチが砦で聞いたこととほぼ同じようなことを言ってしまったようだ。それを聞いたAgata(アガータ)がDagail(ダゲイル)と相談してKalthar(カルサール)を除籍させたという話らしい。






「だから、ギルドを除籍されたKalthar(カルサール)をどうしようと、ギルドの決まりには抵触しないってこと」

「なるほど、自分から喋っちゃうなんてつくづく馬鹿な男だね」



 というか、今までMages Guild(メイジギルド)を回ってきた中で、馬鹿じゃない男っていただろうか? 何かどいつもこいつも、いろんな意味で馬鹿ばっかりだった気がするのだが。いたずら好きが居たり、自分の召喚したZombie(ゾンビ)で帰れなくなったり、新入り殺しがバレた支部長が居たり……。


「ところでどう? これから1杯」

「お断りいたします、断固」



 1杯で終わらないだろ、アンタの場合。ウチは疲れたからさっさと寝るよ。




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ひなみこと

Author:ひなみこと
昔:セクハラ騎士
今:セクハラ(される)魔術士

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