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17日目 ~眉毛、転移、予言者~




「また雨か」



 今日は南のLeyawiin(レーヤウィン)に向かう予定だったのだが、あいにくの雨。やれやれ、ついてないね。




 愚痴っていても仕方ない、途中でやむことを願いながらLeyawiin(レーヤウィン)へ行こう。





 お、ウチの願いが通じたようだ。雨が少しずつ小降りになってきたぞ。よしよし、このまま晴れろ。……ん、Ayleid(アイレイド)の遺跡か。Imp(インプ)がこちらに気付いたようだが。





 それじゃ早速Flame Atronach(炎のアトロナック)の出番といこうじゃないか……と思ったら、一瞬で終わってしまった。さすがにImp(インプ)程度じゃ相手にならないか。





 街道沿いにあるAyleid(アイレイド)の遺跡。しかもBravil(ブラヴィル)の街とは目と鼻の先だ。こういう所はあらかた冒険者が発掘し終わったところだろうな。





 Ayleid(アイレイド)の遺跡を後にして、再びLeyawiin(レーヤウィン)への道を進む。お、橋の向こうで何か光ったな。誰か魔法を使って戦ってるのかな?





 駆け寄ってみたが、特に争いが起きてる様子はない。冒険者の女が一人歩いていただけだ。あれ、見間違いだったかな? 一応この女に聞いてみる。






「魔法? ああ、大したことじゃないわ。ちょっとイノシシが出たぐらいだから」






 なるほど。彼女の言うとおり、岩陰にイノシシの死骸が転がっていた。ところで、こちらの世界の野生動物はみんな気が荒いのしかいないのかね? どいつもこいつも人に向かって襲い掛かってくるんだが。向かってこない動物といったら、せいぜいシカぐらいか。






「ああいう風に、人影を見たら逃げるのがシカ……人影?」



 向こうからシカが逃げてきた。どうやら野盗に弓で狙われているらしい……あ、死んだ。そして位置的に、獲物を仕留めた野盗たちはこちらに寄ってきて……。






「まさかシカが敵を連れてくるとは思わなかったよ!」



 シカからウチに目標を移した野盗相手に、先に魔法を打ち込んでやる。この道は治安が悪いと言われていたが、早速野盗のお出ましとはね。





 さて、しばらく戦っていると途中で気付いたことがあった。向こう側で誰かが野盗と争っている。始めは単なる仲間割れかと思ったが、どうやら旅の冒険者が乱入していたようだった。





 おうおう、結構やるじゃん、あの冒険者。全身ハリネズミのように矢を受けながらも、ぶんぶんハンマーを振り回している。





 結果的に、どっちがどっちを助けたのか分からんが、まぁ無事に野盗を蹴散らしたってことで。しかしこの冒険者、すげぇ濃い眉毛だな。なかなか印象に残る面構えだ。





 さて、恒例の戦利品回収といきますか。さっきの眉毛は物漁りには興味ないようで、さっさと去ってしまった。もったいないヤツだ。まぁその分、ウチが独り占めできるわけだから良いんだけどね。





 おおっと。ウチのすぐ脇を、別の冒険者が走り去っていった。戦利品回収で、まったく気配に気付かなかったな。





 戦利品回収を終えた頃には、さっき通り過ぎた冒険者の姿は見えなくなっていた。けどまぁ、彼らがウチの前を行ってくれるってことは、ウチが敵に急襲される心配は薄くなったわけだ。





 それなら少しのんびり行こうか。雨はすっかりやんで、いい天気になってきたしな。心なしかBravil(ブラヴィル)の排水もキレイに見えるぐらいだし。ああ、言い忘れていたけど、Bravil(ブラヴィル)はImperial City(インペリアル・シティ)と違って下水道が完備されていないので、生活排水は川に垂れ流しなんだそうな。その垂れ流しの排水が、あの水門から川に放出されているというわけだ。おかげでこのあたりの川はかなり水質が悪いのだとか……。


「ぐえっ」






 のんびりしていたら、野盗がこっちを狙っていたのにまったく気付かなかった。おかげで、ちょっと危険な位置に矢が刺さってしまったのだが……やれやれ、みね打ちじゃなかったら死んでいたな。というか、さっきの冒険者が先行していたんじゃなかったっけ?





 あ、いたいた。どうやら彼らが戦闘中のところに、のんびりと出くわしてしまったようだ。やれやれ、いかんなぁ。注意力散漫だ。





 旗色は冒険者側が優勢だ。ついでに、ウチのZombie(ゾンビ)とFlame Atronach(炎のアトロナック)が加勢しに行ったので、勝敗は決まったものだ。……ウチが直接加勢しに行かないのは、ちょっと今この刺さった矢を抜くので忙しかったからであって、決してサボリなんかじゃないよ?





 ウチが矢を抜き終わる頃には勝敗は決したようだった。この冒険者も、先を急いでいたようでさっさと走り去ってしまった。んじゃもったいないので戦利品はウチが貰っておきますね。





 これで2グループ分の戦利品がウチに回ってきた形だな。何と幸先の良い道のりだろうか。問題はちょっと重くなってきたってところなんだけれども……あ、またAyleid(アイレイド)の遺跡だ。あの橋の先は小さな島に繋がっているが……興味あるけど用件はないな、先に進もう。





 遺跡の後は特に障害もなくここまでやってきた。あったとすれば起伏の激しい坂道だったってぐらいだな。さて、橋か。さすがにこのあたりまで来るとBravil(ブラヴィル)の排水は気にならなくなるな。





 そして橋を渡った先も、同じく起伏の激しい坂道が続く。見ろ、この下り坂。ガラス球を置いたらどこまで転がっていくんだろうな。





 坂道を下り切ると、今度は霧がかかってきたな。川が近いから川霧とでも言うのかな?





 おお、ウチの左手には川があるはずなのに、その姿がサッパリ見えなくなったぞ。このあたりではこういう光景が良く見られるのかな?





 さて、さっきも気にはなっていたのだが、どう見てもあれって人影だよな? 霧がかかっていても、光はある程度見えるから、丁度あの位置に立っている連中の姿が丸分かりだ。しかしあんなところに道なんてあったかなぁ? 地図を開いて確認すると……川に突き出た陸地がある。どうやらここに突っ立っているようだ。





 身をかがめて確認すると……おお、いたいた。霧でハッキリしないが、やはり野盗の類だな。このあたりを通る旅人を狙っているんだろう。っと、いけね、気付かれたか。





 野盗たちはご丁寧に石段を登ろうとしてきたので、それを邪魔する位置にZombie(ゾンビ)を召喚してやる。これで石段から来た連中は任せられるとして、左の坂から別の1人が向かってきたな。挟み撃ちって寸法かい?





 作戦は良かったけど、1対1に持ち込めば負ける気はしないよ。


「食らいな! Fingers of the Mountain(フィンガー・オブ・ザ・マウンテン)!!」






 ウソ。ただのLightning Blast(ライトニング・ブラスト)でした。威力は2倍、コストは3倍のFingers of the Mountain(フィンガー・オブ・ザ・マウンテン)を打つなら、Lightning Blast(ライトニング・ブラスト)を2回打った方が良いだろう?





 こっちは片付いたぞ……って、あらら。石段側は逆に野盗によってZombie(ゾンビ)が片付けられた後だった。





 それじゃもう1回いってみよー! 再びZombie(ゾンビ)を召喚して野盗の相手をしてやる。その間にウチが横から魔法で……うん、外した。





 遠くでウロチョロしてるヤツを狙い打つのはどうも難しい。そんなときは、思い切って近くから打ってみよう。ほら、この通り。





 明らかにオーバーキルだったような気もするがな。しかし、この前強くなったような気がしたのは間違いではなかった。以前まで使えなかったDrain Health(ドレイン:体力)Lv3も使いこなせることが確認できた。Lv4は引き続き使えないままだったけどな。





 挟み撃ちなんて、野盗にしては高度な作戦だったが、やはり大したことなかったな、うん。え、癒しの魔法? いやいや、これは戦利品が重かったからFeather(羽毛化)の魔法を使っているだけだよ、うんうん。決して痛くなんかないよ?





 まぁちょっとは癒しの魔法も使ってたかな~? でも、Feather(羽毛化)の魔法を使っていたのは事実。なぜならこの野盗で3グループ目。しかも途中で行商人には出会っていない。





 そしてこちらがこれまでの戦利品。いい加減持ちきれなくなってきたので、安くて重い物から順に捨ててきたが、それでも重量制限いっぱいいっぱいだ。そろそろ売っ払いたいところだな。





 しかし行く先に待っていたのは、またしても野盗のようだ。しかもあの様子だと誰かすでに戦闘中らしいな。





 仕方ない、誰が戦っているのか知らないが、ここは手助けしてやろう。どうやら野盗もこちらに気付いたようだしな。





 今度の召喚は贅沢にもFlame Atronach(炎のアトロナック)を2体使ってやるか。おかげですぐにMagicka(マジカ)切れ寸前だが、そのあたりはポーション飲んで何とかする。





 Flame Atronach(炎のアトロナック)が、野盗と戦ってる誰かの援護に向かったところで、ウチは1人離れているヤツを狙うとしよう。

 あ、また外した。くそ。





 なら再び接近して打ち込んでやるさ。ウチの魔法の直撃で、あっけなく崩れ落ちる野盗。






「また野盗かい? 手助けするよ!」



 ウチの後方から、新たに他の冒険者が加勢してきた。こうなりゃ野盗に勝ち目はないな。






「大丈夫かい?」



 野盗を始末し終えたところで、加勢してくれた冒険者が声をかけてきた。


「ウチの方は大したことないね。そっちはどうだい?」



 始めに戦っていた冒険者の方に声をかけてみた。……が、返事なし。






「こっちは間に合わなかったみたいね」

「そうらしい」



 始めに戦っていた冒険者は途中で力尽きて道端に倒れていた。もう少し早く来ていたら助かったかもしれないな。


「なむなむ……」



 亡くなった冒険者に手を合わせて、先に進むことにした。途中でガードに会ったら、この冒険者のことを伝えておこう。





 引き続き霧の中をLeyawiin(レーヤウィン)へ向かう。お、あの影はLeyawiin(レーヤウィン)の城壁かな? 方角も合っているし、もう少しだな。





 途中、小さな集落に入った。外に出ている住人は居ないが、ここでようやく行商人に出会うことが出来た。やれやれ、ホントようやくだわ。さっきの野盗の戦利品なんて、持ちきれないから置いてきたもんな。





 ささ、たっぷり買い取っておくれ。なに、こんなに持ちきれない? 気にするな。

 半ば無理やり押し付けて、ようやく身軽になった。戦利品も正味1000ゴールドぐらいになったしな。





 ついでに、わんこわんこ。





 十分わんこパワーを補充して、Leyawiin(レーヤウィン)に向かいだす。もう少しでたどり着くな……おや、今度は一軒家が建っているな。誰かの別荘だろうか?





 さらに先に進むと、さっき加勢してくれた冒険者に追いついた。後ろの髪の長い子は、Bound Helmet(兜召喚)してたので顔は見えなかったが、まだ若い子のようだな。ふむふむ。





 ふむふむ。





 ふむふむ。

 いやあ長い距離を歩いて疲れたなあ。うわあ上り坂だあ、大変だなあ。かがんで歩かないとお。え? わざとじゃないよ? 決して覗こうだなんて考えてないよ?





 おっとやべぇ、ガードが居た。え? いえいえ、何もしてませんよ? 覗き? 女が女を覗いてどうしようってのさ? ああ、それより向こうの方で野盗に襲われた冒険者が倒れているから……。





 よし、うまくガードをやり過ごした。この世界じゃ覗きは犯罪扱いされないが、おかしな行動をしてたらガードに怪しまれそうだしな。ほどほどにしておこう。

 そんなことをやってたら、ついにLeyawiin(レーヤウィン)に着いたようだ。





 ん、Leyawiin(レーヤウィン)の入り口の前で誰か立っているが……どこかで見たことあるような。


「M'aiq(マ=アイク)は物知りだからちょっと教えてやる。M'aiq(マ=アイク)は他の奴が知らないことを沢山知っている」



 ああ、いつかの灰色Khajiit(カジート)じゃないか。以前会ったのはKvatch(クヴァッチ)のあたりだったっけ。で、今日は何を話してくれるんだい?






「Hero of Kvatch(クヴァッチの英雄)の話で持ちきりさ。その女はOblivion Gate(オブリビオン・ゲート)に突入し、破壊してみせたそうだ」



 へ、へぇ……よく知ってるな、そんなこと。いや、ウチのことなんだけどね、その女って。物知りKhajiit(カジート)、侮れんな。……待てよ、物知りだって言うんなら、ウチが探しているテレポートの類の魔法とか、いっそのこと一気にウチの国まで戻る方法とか知ってるんじゃないか?


「なあ、ちょっと聞きたい事が……って、いねぇし!?」



 いつの間にか物知りKhajiit(カジート)は走り去っていた。しかもいつものごとく足が速い。今から追いかけるのは無理か、仕方ない。





 いつかまた会ったときにでも聞いてみようか。もしかしたら知ってるかもしれないしな。今はとにかく、各地のMages Guild(メイジギルド)から推薦状を貰うのを優先しよう。





 ようやくLeyawiin(レーヤウィン)の街に到着。街の中も霧がかかっているが……まずはガードにギルドの位置を聞こうか。


「このまま商店街をまっすぐ進み、教会のところを曲がった先にあります」



 だそうだ。





 このあたりはImperial City(インペリアル・シティ)から結構離れているせいか、独特の街づくりになっているな。Bravil(ブラヴィル)も特徴あると言えばそうだが、こちらは建物のつくりからして文化的だ。まぁ地図を見れば分かるが、東西にすぐ他国の境界があるんだから、Cyrodiil(シロディール)の文化と他国の文化が混ぜ合わせたような街になっているんだろうな。

 まぁ街の観光はおいといて、ガードに言われたとおりに進んでいこうか。





 まずは商店街をまっすぐ進み。





 教会のところで曲がって。





 あとはこのまままっすぐだな、うん……うん?






「いやいやいやいや、いくらなんでもフリーダムすぎるだろ、そりゃ」



 確かに南方で暑いところかもしれんが、真っ裸で街を歩くって、ナニソレ? 暑いにしても、せいぜい半袖短パンぐらいだろ? 良いの? ガードとか止めなくて良いの? いくら他国文化が流れてきてるっていっても、それをやっちゃマズイだろ。





 ふぅ。真っ裸の女の後をついてったが、街の誰一人気に止める人は居なかったな。ガードも特に気にしていなかったようだったし……よく分からんところだ、ここは。

 おかげで道に迷って、無駄に時間を費やしながらようやくここまでやってきた。1時間くらい彷徨っていたかな? とりあえずこの看板はFighter's Guild(戦士ギルド)だったな。ギルドはお互い近い位置に建てられているから、Mages Guild(メイジギルド)も近くにあることだろう。





 とりあえず、看板が出ていた建物の一つに近寄ってみる。





 うん、違った。Mages Guild(メイジギルド)が、斧とか剣とかのマークなわけないもんな。でもFighter's Guild(戦士ギルド)はさっきあったよな。ここは何の建物だろうか……っと、あっちの丸い窓の建物、あれMages Guild(メイジギルド)じゃね?





 そうだそうだ、Chorrol(コロル)のMages Guild(メイジギルド)もこんなような看板だったはずだ。





 お邪魔しま~す。うん、広いわりに人が居ないな。とりあえず、そこで本を読んでいるギルド員に聞いてみるか。


「ちょっと失礼、推薦状を貰いに来たんだけど……」







「ん、新入りか? おおう、せいぜい頑張ることだ。推薦状を出せるのはDagail(ダゲイル)だけさ。彼女が正気を取り戻せればの話だけどね」



 また眉毛の濃いヤツだな。流行なのか? それとも眉毛の濃い人が多い地域なの? まぁ良いけどさ。


「正気を取り戻せれば?」

「そうとも、ここの支部長は何もやらないボケた婆さんなんだ。実質ギルドを切り盛りしているのはAgata(アガータ)の方さ……おい、Agata(アガータ)! 新入りサンが推薦状を欲しいってやってきたぜ」






 眉毛男はベンチから立ち上がると、階段の方へウチを促した。この金髪がAgata(アガータ)かな。






「あなたがAgata(アガータ)?」

「あー、そうだよ。残念だけど私は推薦状を出せないね。Dagail(ダゲイル)だけができることなんだ。彼女に話をしてくれないかい?」



 なんだ。結局は支部長じゃないとダメってことね。


「もし……もしうまくいかないなら、私のところまで来てください」

「うまくいかないって?」

「決まってんだろ、ボケた婆さんなんだから、話が通じないってことだよ」



 横から眉毛男が口を挟むが、Agata(アガータ)が睨みつけるとバツが悪そうにどこかへ行ってしまった。


「Dagail(ダゲイル)は階段を上った先に居ます」






 階段を上った先には、年甲斐もなくミニスカートを履いた婆さんが本を読んでいた。


「来たわね。予言のとおりだわ」

「予言?」

「予言は……難しい。現れては消えていく。騒がしい声が予言をかき消してしまう。声を掻き消してくれる石のお守りが無くては、予言が安定しないのだ」



 よく分からんが、ミニスカ婆さんは予言者らしいな。


「予言を取り戻すための手助けを頼めないか?」

「あー、うん。それが推薦状の試験なら、ウチは構わんけど」







「そう。それならAgata(アガータ)と会ってみて。あなたに道を示し、導いてくれるはずです。私は休んでいなければならないの」



 うーん、眉毛男が言うほどボケてるようには感じられなかったけどなぁ。まぁ年甲斐もなくミニスカは確かに正常な行動と言えるかどうかは分からんが……。とりあえずAgata(アガータ)に話をしてみるか。





 Agata(アガータ)は1階の部屋に居た。ギルド員と話しているようだが。


「ちょっと良いかい?」

「あ、さっきの新入りさん。どうだった?」

「予言がうんたらかんたらで上手く出来ないとか」

「ええ、彼女には予知能力があるの。折りに触れ、役に立ってきたのだけれど、最近は不調なの」







「彼女の家に伝わる、とあるアミュレットがあったのだけれど、予言をするときには、彼女はそれを身に付けて精神を集中させていたの。そのアミュレットが行方不明になって、彼女は力の制御が出来なくなってしまったの」

「ほうほう、それが"石のお守り"ってヤツね」

「あら、彼女に聞いたのね。秘密にしたがっていたのに……。そうなの、彼女の"予言者の石"が行方不明なの。それなしでは予言は出来ない。今の彼女に予知は出来ない。何とか石を見つけ出したいのだけれど……協力してもらえないかしら?」

「それが推薦状の試験になったからね。どこから探してみれば良い?」

「ありがとう。それじゃ、他のギルド員に石のことについて聞いてみて」



 ギルド員ね。丁度目の前に居ることだし、イロイロ聞いてみようか。





 ギルド員、S'drassa(サ=ドラッサ)の証言。

 Agata(アガータ)について
  彼女のおかげでギルド員が大助かり。なにせ支部長があのザマだから……。

 Dagail(ダゲイル)について
  立派な婦人だけど、変人だね。独り言が多いんだ。いい歳なんだから退職したほうが良いんじゃね?

 石について
  良く知らない。けどなんかKalthar(カルサール)が喜んでいた。変なヤツだなぁ。

 そのほかのことについて
  最近、クリスタルの蒐集にはまってる。

 



 ギルド員、Alves Uvenim(アルヴェス・ウヴェニム)の証言。

 Agata(アガータ)について
  困ったことがあったら支部長のDagail(ダゲイル)よりもAgata(アガータ)に助力を求めるわね。

 Dagail(ダゲイル)について
  昔は大魔術師だったらしい。今の姿からは想像も出来ないけど。

 石について
  Kalthar(カルサール)から聞いた話だけど、Dagail(ダゲイル)の大事な物で、最近無くしたらしい。

 そのほかのことについて
  このギルドでは、Cyrodiil(シロディール)の魔法と他国の魔法を組み合わせた、新種の魔法も販売しています。



「ちょ、その新種の魔法って具体的に? テレポートとかある」

「え、はい。ありますよ」

マジで!?







「簡単な転移魔法ですが、Extrication(緊急離脱)の魔法です。この魔法を使えば、洞窟や建物の中から一瞬で外に出ることが出来ます」



 ほほう。テレポートの類の魔法……転移魔法というのはやはり存在するようだ。問題はウチが求めていた物ではなかったというところだが。一応覚えておこうか。


「転移魔法でしたら、私のほかにもAgata(アガータ)が知ってますよ」

マジで!?







「なに、転移魔法? なかなか良い目の付け所だね。この魔法は2つでセットでね、まずMark Sanctuary(聖域記憶)で今居る位置を記憶しておいて、Recall Sanctuary(聖域呼出)で記憶した位置に転移するという魔法です」



 おお、この魔法はウチの居たところにもあった魔法だな。というか、ウチは最初この魔法を求めていたんだよ。でもこの魔法って、魔法を覚えてから位置を記憶しなきゃならんのだろ? 今この魔法を覚えても、ウチの居た世界に帰ることは出来ないってことか……。


「ただしこの魔法、記憶するのに制限時間があるのが難点ね」



 だそうだ。ウチがこちらの世界に来てから2週間以上経っている。どっちにしろ無理ってことだ……がっくし。






「……いいや、諦めるのはまだ早い! このExtrication(緊急離脱)を使えばもしかして!!」






 ウチが高々と手を上げると、一瞬にして風景が変わった……もしかして本当に!?






「・・・・・」



 Mages Guild(メイジギルド)の前でした。どうやら正常に魔法が動作したので、建物の中から一瞬にして建物の外に出ただけだったようだ。


「・・・・・。さ、予言者の石探しに戻ろう」






 ギルドに入りなおして、残ったギルド員……眉毛男ことKalthar(カルサール)に話を聞こうか。他のギルド員だと、コイツが石の話をしていたようだったが。

 ギルド員、Kalthar(カルサール)の証言。

 Agata(アガータ)について
  このギルドの現状を知りたいなら彼女に聞くといい。Dagail(ダゲイル)がここに居る理由が分からない。

 Dagail(ダゲイル)について
  聞いた話じゃ、実力じゃなくコネで支部長になったらしい。それって間違ってるよな。

 石について
  ははん、話が漏れちまったか。これ以上隠し通せないな!






「ああ、全部知ってるとも。Agata(アガータ)とDagail(ダゲイル)の話を立ち聞きしたんでな。あんたはどこまで知ってるんだ? 俺は無くなって清々してるよ! どうして魔法のアミュレットで正気を保ってるような婆さんの下で働かなきゃならないんだ? 彼女はここに居るべきじゃない。彼女の父親があちこちとコネがあったのは、へつらい上手だったからさ。父親の末路を知ってるか? 帝国に何年も仕えておいて、墓石さえなんだぞ! 生前は良い思いをしたようだがな」

「まぁまぁ落ち着いて落ち着いて」

「そうだとも、俺はこの事で頭にきてるんだ。あの不釣合いな女がギルドの支部長であることが我慢ならないのさ。それが全てだ」







「なるほど。Kalthar(カルサール)が盗み聞きしていたのね? 最近、彼の調子がおかしかったのも、それで説明が付くわね」



 眉毛男……もといKalthar(カルサール)の不満をAgata(アガータ)に伝えた。ウチはここに来たばかりで何にも分からんが、Kalthar(カルサール)以外のギルド員の話からしても、Dagail(ダゲイル)が支部長の仕事をしているとは思えない。それでもここのギルドが成り立っているのはAgata(アガータ)が切り盛りしているからなので、みなは口には出さなかったが彼女に支部長を務めてほしいと思っているのではないだろうかな。


「でも、Dagail(ダゲイル)の父親の話はした事がないの。どうやって知ったのかしら?」

「あれ、そうなの?」

「私は聞いた事ないけれど、予言者の石とDagail(ダゲイル)の父親の間には何か関係があるのかもしれないわね。一度Dagail(ダゲイル)に話を聞いてみて。何か思い出すかもしれない」



 話……ね。






「やあ!」



 おや、さっきまで見かけなかったが……って。





 ・・・・・。なんなんだ、この髪型は。嵐にでも巻き込まれたか? 頭がトルネードになってるんだが……ホントにこの街は変なところだな。


「っと。おばあちゃん、予言者の石とおばあちゃんのお父さんって何か関係があったの?」



 おっと、ついついお年より扱いしてしまったぞ。いや、周りの話を聞いていたらホントにボケ老人みたく見えちゃってさ。






「竜がひるがえる、青き血の砦。崩れた塔と朽ちた遺体の下で、それは見つけられるのを待っている」



 いかん、本当に婆さんがボケちゃって別な世界にトリップしちゃったぞ。仕方ない、Agata(アガータ)には婆さんがボケちゃって話にならなかったと伝えるか……。






「Dagail(ダゲイル)に父親の話をしてみましたか?」

「いやぁ、それがすっかりボk……」

「どうしました?」



 婆さん、それマジで洒落にならんからヤメレ。Agata(アガータ)の背後に立ってこちらを見つめる老婆の姿……これなんて心霊特集?


「あ、えと……青き血の砦の何たらで見つけられるのを待ってるとか」

「・・・・・。それはきっとDagail(ダゲイル)の予言だわ。おそらく予言者の石のありかだと思うわ」

「え? あ、そうなの?」

「青き血の砦……他に何か言っていなかった?」

「え、ええと、朽ちた塔と崩れた遺体が何とか……」







「……砦……塔……遺体……。Fort Blueblood(ブルーブラッド砦)かしら。街から南西にある使われてない砦なんだけれど、昔はそこで無縁仏が埋葬されていたって聞いたことがあるわ。もしかしたらDagail(ダゲイル)の父親はそこで埋葬されていたのかもしれないわね」



 そういや眉毛も、父親は墓石すらないとか言っていた気がしたが……結局、なんでそんなことまで知ってたんだろうな?


「でも……あの砦って出るって話らしいけど」

「出るって……お化け?」

「いいえ、山賊よ。あのあたり一帯を縄張りに持つ山賊が、その砦を根城にしているって話なのよ」

「そいつは一苦労だな。ということは何か? 石探しだけじゃなく山賊退治もしなきゃならんってことか?」






 しなきゃならないらしい。あいにくガードたちは、山奥の砦まで行って山賊退治なんぞしてくれないらしい。彼らはあくまで街と街道をパトロールするのが役目だってことで、そういう危険なところまで出向いてくれないんだとか。となると、ウチが一人で行かなきゃならんというわけだ。

 やれやれ、この街が最後の推薦状なのだが、最後に相応しい難問が出てきたもんだ。今までにあった危険な試験というと、Skingrad(スキングラッド)でのゾンビ退治。Anvil(アンヴィル)の魔術師崩れ退治。Chorrol(コロル)のFingers of the Mountain(フィンガー・オブ・ザ・マウンテン)習得は、直接推薦状に関わる話ではなかったしなぁ。でも、今回の山賊退治となると危険度が跳ね上がるな。ガードが手を出さない、辺境の山賊だもんな。倒せば戦利品ガッツリだけど、命の危険が危ない課題だ。大丈夫なんだろうか?

 とまあ、そういう危険なところに出向かねばならないので、こうやって準備をしているわけだ。Magicka(マジカ)回復のポーションだけは大量に持っていかないとな。どれだけの強さを持つ山賊か分からんが、かつてのKvatch(クヴァッチ)市街戦ぐらいと見ておくか。あれほどの敵の数が居るわけでもないだろうが、今回はこちらはウチ1人だけだからな。油断は禁物だ。

 ・・・・・。ん? 誰か来たみたいだな。Agata(アガータ)に頼んでギルドの地下を借りてポーション作りしていたんだが……。






「いたいた。貴方を追いかけるのに苦労したよ」

「・・・・・。どちら様?」



 見たことの無い、全身鎧の男。……騎士か何かかな?


「Savlian Matius(サヴリアン・マティウス)からメッセージを預かっている」



 ああ、Kvatch(クヴァッチ)のMatius(マティウス)か。何かあったのかな?






「彼は出来るだけ早く会いに来て欲しいと言っていたよ」



 Matius(マティウス)の使いはそう言ってウチに手紙を渡すと、さっさと帰ってしまった。Matius(マティウス)が会いに来て欲しいだって? 急いで手紙の中身を確認する。


「・・・・・。なるほど」



 読めん。





 そのうち、こっちの文字も覚えないとダメかなぁ。やはり文字が読めないというのは不便だな。とりあえずこの手紙は誰かに読んでもらおう。というわけで読んでくれる人を探して、地下から上がってきたは良いのだが……居るのは眉毛と婆さんだけか。眉毛は何やらうさんくさい男らしいし、婆さんは論外だ。別な人を探そう。






「で、私のところに来たってわけね」

「そういうこと。で、手紙には何て書いてある?」

「ちょっと待ってね、どれどれ……Hero of Kvatch(クヴァッチの英雄)へ!」

「ちょ、声がでかいよ」







「……ということが書いてあったわよ、Hero of Kvatch(クヴァッチの英雄)さん」

「はいはい。復興途中でトラブルがあったから手を貸して欲しいってことね」

「でも、ここからKvatch(クヴァッチ)までは結構あるね」



 確かに。ましてや今は最後の推薦状の試験真っ最中。今すぐKvatch(クヴァッチ)に行くのはちょっと無理がある。






「でもまさかHero of Kvatch(クヴァッチの英雄)が貴方だったとはね」

「意外だった?」

「そりゃあねぇ。単身Oblivion Gate(オブリビオン・ゲート)に突入し、見事破壊してKvatch(クヴァッチ)を解放したってのは今じゃ誰もが知ってることだからね」

「へ、へぇ……」

「でもまさか貴方がねぇ……噂じゃ禁呪を操る大魔術師とかって言われてたのよ?」

「ま、まぁ禁呪と言えなくも無いかな……あの魔法は」

「それが実際はMages Guild(メイジギルド)でも一番下っ端のAssociate(準会員)なんだから、世の中分からないわね」

「・・・・・」






 うえっぷ。話に付き合いながら呑んでいたら具合悪くなってきた。だって話長いんだもん、彼女……うえっぷ。こんなんで明日の山賊退治、大丈夫なんだろうか?


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プロフィール

ひなみこと

Author:ひなみこと
昔:セクハラ騎士
今:セクハラ(される)魔術士

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