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16日目 ~往復、取引、炎の精~



 昨日一緒だったAtla(アトラ)は、すでに宿を出た後だった。まだ時間は日が昇る前なんだけれども、ずいぶん早いお出かけのようで。他の客も朝早くだというのに起きているところを見ると、どこの世界でも冒険者稼業の朝は早いらしい。




 空が白み始めたが、まだうっすらと空には星が見える。昨日の大雨とうって変わって良い天気になったな。





 遠くまで視界が広がっているので、昨日見落とした物もいくつか見える。そばには川が流れているし、向こうにはカミサマの祠も見える。





 行く手を邪魔する野盗も、すでに昨日のうちに退治し終わったところなので、まったくもって平和な道のりだ。





 ここは昨日Minotaur(ミノタウロス)を倒したところだったな。ここにもカミサマの祠がある。もしかして昨日Atla(アトラ)と出会ったのは、カミサマのご縁が……なんてな。





 そしてその先には、昨日と変わらずOblivion Gate(オブリビオン・ゲート)が輝いている。はいはいスルースルー……。





 ……スルーしようとしたら、どうやら後ろから来た連中がDaedra(ディードラ)と一戦おっ始めたようだ。一応加勢してやるか。





 ただし加勢するのはZombie(ゾンビ)だけな。ウチは高みの見物といこうじゃないか。お揃いの緑の鎧をまとった5人組と、それと戦うScamp(スカンプ)1体。





 戦いはすぐに終わってしまった。Zombie(ゾンビ)の出る幕なしか。何人かがウチに挨拶していったが、すぐに走り出していった。……あれ、どこかで見たことなかったっけ、この人たち?





 って、重い装備しているはずなのにずいぶん足の速い連中だな。ウチも走っていくが全然追いつけそうにないので、途中で走るのを止めた。しかしどこで見たんだっけかなぁ?





 小さな集落のある分岐地点までやってきた。行商人が犬を連れて一休みしている。今のところ今日の戦利品は無いので、行商人に用はないのだが……。






「わんこだ、わんこ」



 ウチもついでに一休み。休むほど何かしたわけじゃないけれどもな。





 ウチがわんこに構っていると、またどこかで見たことある方々が……ああ、こっちは覚えてるぞ。ウチが真珠取りしていたときに一度会ったことがあるな。以前は弓使いの男が先頭だったが、今日はちゃんと戦士の女が前を走ってるようだ。





 彼らもさっさと走り去ってしまったので、ウチはわんこに別れを告げて先を進むことにした。この先の道のりは橋を2つ渡ってから、湖を迂回するように北上だな。橋といえば昨日のように、橋のそばで倒れてる人が居たりしたが、ここではどうかな?






「お、良い物見っけ」



 あったのは死体じゃなくNirnroot(ニルンルート)。もちろん回収していく。





 それにしても今日は本当に良い天気だ。昨日は視界がさっぱりだったが、今日は遥か遠くの山々まで見通せる。いつも良い天気だと良いんだけれどもなぁ。


「あの柱みたいな岩は何だ?」



 2つ目の橋の途中にあった岩。なにやら赤い色で文字みたいなのが刻まれてるようだが……。






「なんと卑猥な物体」



 天に向かってそそり立つ巨大なイチモツ。さながら男性器をモチーフにしたようなデザインを見て、ふと思い出した。カミサマの中に確かMara(マーラ)という名のヤツがいたはずだ。名前からして卑猥だが、もしかしてこの岩がMara(マーラ)を祀ったものなんだろうか? そういえば一部地方では、男性器を御神体としてお祭りをするところがあると聞いたことがある。そこでお祈りをすると子宝に恵まれるとかなんとか……。

 っと、まじまじと見ていたら向こうのほうで誰か争ってるみたいだ。






「こっちにもいたぞ!」



 野盗の1人がウチに気付いたようだ。橋のそばでは戦士風の誰かが戦っているが、遠くてよく分からん。





 ウチもZombie(ゾンビ)を召喚して加勢する。戦士はすでに野盗の1人を倒したようだな。思ったより強い戦士のようだ。





 最後の野盗をウチの魔法で片付ける。なんだかんだいっても所詮は野盗、大した相手じゃなかったな。戦士のほうの様子を見ると……犬のしっぽ? ああ、Horkew(ホロケゥ)とかいう人種だっけ。






「手助けはいらなかったけど、一応礼は言っておくわ」

「そうかい、そりゃどうも」

「もっとも、そのザマを見たらどっちが助けたのか分からないけれどもね」

「は?」






 それだけ言うと、彼女は名乗らずに去っていった。何なんだ、助けに来たのはウチのほうだぜ? 何がそのザマなんだ、ん?





 まぁ良いや、分からんことは深く考えないようにしよう。


「決して、ウチが加勢しなかったせいで野盗に負けてボロボロに犯されてMara(マーラ)の加護で子宝に恵まれればよかったのに、なんて思ってないからな……あ」



 いかんいかん、ついつい口に出してしまった。いや、ホントそんなこと考えてないから、たぶん。






「おっと、何か居たぞ」



 Ayleid(アイレイド)の遺跡の入り口あたりにいた青い物体。確かあいつは氷の精霊だと思ったな。以前Kvatch(クヴァッチ)で見たことがある。こちらにはまだ気付いていないようだな。


「おい、こっちだ!」






 声のしたほうを向くと、木の影で行商人が隠れていた。ああ、気付かれないうちに離れろということね、はいはい。





 行商人か、それじゃ早速さきほどの野盗からの戦利品でも買い取っていただきましょうかね。


「ああ、ちょっと痛んでいるね。こういうのは安く買い叩かれるから、事前に直しておくと良いよ」



 何だって、そいつは初耳だ。今まで誰もそんなこと言わなかったのに……ああ、買い取る側がわざわざそんな事を言うわけないか。


「Repair Hammer(修理用ハンマー)は持ってるかい? それを使えば修理できるよ」



 そういえば前に誰かそんなこと言ってた気がした。






「持ってるようだね、そいつを使うんだ」



 はいはい、ガッツンガッツン……。


「おいおい、そんな荒いやり方をしちゃ……って、ほら」



 Repair Hammer(修理用ハンマー)が壊れた。なぁに、馴れてなかっただけだ。次からは壊すことはない……って、また壊れた。

 結局、武器を直して浮いた金よりも、Repair Hammer(修理用ハンマー)を壊して損した金の方が多くなったな。正直、Repair Hammer(修理用ハンマー)をそのまま売ったほうが良かったんじゃね? まぁいいか、良い勉強になったということで。

 気前の良い行商人よ、ありがとさん。





 そのまま別れて先を行こうとしたら、さっきの氷の精霊に気付かれたようだ。そりゃ近くでRepair Hammer(修理用ハンマー)を壊すぐらい盛大に音を立ててたら気付くだろうな。行商人は今までの連中同様、さっさとどこかに逃げてしまったようだし。仕方ない、片付けていくか。


 


 以前戦ったことがあるが、こいつは炎に弱かったはずだ。Zombie(ゾンビ)でウチから目標をそらしてる間に、魔法で燃やしてしまおうか。






「あ、またやった」



 前々から思っていたのだが、ウチって誤射が多いな。しかもウチが使っている魔法、Weak Fireball(ファイアボール)は爆風効果のある範囲魔法なので、敵も味方もまとめて燃やしてしまう。





 敵とZombie(ゾンビ)の位置を見極めて、敵の後ろに着弾させるようにすれば良いのだが……お、今のは上手くいったな。敵の後ろで着弾させて、その爆風に敵だけ巻き込むようにさせればZombie(ゾンビ)に被害がなくて済むんだ。だけど実際はそんなこと考えながら戦ってないけれどもな。






「考えながら戦うってのが面倒なだけなんだよな」



 自分で召喚したZombie(ゾンビ)なら危害を加えても犯罪じゃないしな。でもZombie(ゾンビ)も炎に弱いということを考えると、あまり効率のいい戦い方とは言えないけども。





 さて、今の戦いで少し強くなった気がする。うん、気がするだけだ。





 気がするだけだが、実際に魔法も強くなったようだ。ド派手な雷の魔法、Fingers of the Mountain(フィンガー・オブ・ザ・マウンテン)。以前、術者の成長と共に強くなる魔法と言われていたヤツだ。実際に試してみると、確かに以前より強くなっている。あ、試したってのはもちろん召喚したZombie(ゾンビ)にな。しかし、威力が上がった以上に消費Magicka(マジカ)も増えたみたいだ。なんかますますコスト悪くなった気がするな。これじゃ連発することも出来なさそうだ。





 そういや前にSkingrad(スキングラッド)で大量にScroll(スクロール)を購入した際、ウチがまだ未熟だったせいで使えなかった魔法がいくつかあったはずだな。そろそろ使えるようになった魔法がいくつかある頃だろう。後で確認だな。

 向こうで追い剥ぎっぽいヤツがこっち見てるけど、無視無視。





 Ayleid(アイレイド)の遺跡の手前で冒険者とすれ違う。ここの遺跡は前に見たことがあったな。あれは確かSkingrad(スキングラッド)に行く途中だったかな。





 そうそう、あの吊り橋の上から見たんだっけ。……あれ、何か今思い出しかけたような気がしたんだけど。何だっけ?





 イマイチ思い出せない。まぁ思い出せないってことは大した出来事じゃないってことだな、うん。お、そろそろImperial City(インペリアル・シティ)が近づいてきたな。確かこのあたりには……。






「また閉まってる……一体いつなら開いてるんだ?」



 ワインの女将が居る宿屋の隣にある店。このあたりを通るたびに寄ってみるのだが、いつも閉まっている。じつはすでに店をたたんだ空き家だったりしてな。





 そしてもう一つ立ち寄るところがここだ。


「よっ、元気してた?」







「あら。これはこれは、"Hero of Kvatch(クヴァッチの英雄)"じゃありませんか」

「げ。なんでそれを」

「そりゃ情報を得るのも商売のうちだもの」



 久々に会ったVixen(ヴィクセン)は相変わらず。Kvatch(クヴァッチ)での話をあれこれ聞かれたが、何かこそばゆいので適当に答えといた。


「で、Mages Guild(メイジギルド)の推薦状は全部集まったの?」

「いやまだ。今はBravil(ブラヴィル)の試験中」

「どこまで終わったの?」

「えっと、最初のChorrol(コロル)だろ。Skingrad(スキングラッド)にAnvil(アンヴィル)、Bruma(ブルーマ)、Cheydinhal(チェイディンハル)と来て、今がBravil(ブラヴィル)」

「あら、それじゃあと少しじゃない。頑張ってね」

「おうよ」






 Vixen(ヴィクセン)とひとまず別れ、Imperial City(インペリアル・シティ)へと向かう。





 さて、ここでおさらいだ。目的はArdaline(アルダリーン)の杖。イロイロあって、今ではここImperial City(インペリアル・シティ)のTalos Plaza District(タロス広場地区)に住んでいるSoris Arenim(ソリス・アレニム)という人物が持っているらしい。そいつにあって杖を返してもらうというわけだ。

 それじゃ街のガードにSoris Arenim(ソリス・アレニム)の住んでる場所を聞いてみよう。





 結構近くだな。裏通りを北に行ってすぐのところか。それじゃさくさく杖を返してもらいましょうか。






「はーい、お邪魔しますよ。Soris Arenim(ソリス・アレニム)さんは居ますかね?」

「はい? ごきげんよう、見知らぬお方。私がSoris Arenim(ソリス・アレニム)です」



 赤い服のDark Elf(ダークエルフ)が答えた。


「いきなりで悪いんだけど、以前Varon Vamori(ヴァロン・ヴァモリ)から杖を買ったはずなんだが覚えてる?」

「もちろんだとも。彼がAyleid(アイレイド)の遺跡を探索して見つけた杖だろう?」



 ん? 何か話が違うようだが……ああ、恋焦がれてる人から盗んだなんて言う訳にはいかなかったから、適当なことを言ったんだろう。


「ああ、そんなことを言っていたのか。実はあの杖はウチが彼に頼んでいた品だったんだけれど、手違いであなたの方に渡ってしまったんだ。すまないけれどウチに譲ってもらえないかい?」



 あのサイテー野郎をかばう訳じゃないが、一から説明するのも面倒なので、ウチも適当に話をでっち上げた。






「そうなのかい? それは困ったな、あなたのことは好きだけど、あの杖を手放す気にはなれないな。個人的感情の問題じゃないんだ」



 そうかそうか、渡していただけませんか。仕方ないなぁ、こういうのは好きじゃないんだけどウチも個人的感情の問題じゃないんでね。





 実力行使だぁっ!!






「そうかそうか。ウチはどうしてもあの杖を譲ってくれないと困るんだよねぇ」

「う~ん、弱ったな……。いいかい、あげるわけにはいかないよ。なにせ、大金を払ったんだから。そうだな。せめて彼にあげたポーション代くらい立て替えてもらおうか。200ゴールドで杖を譲るよ」



 おお、効果てきめんだな。ウダウダ言って渡す気のなかったヤツが、魔法1発で安値で売ってくれる話になるとは。最悪、殴り飛ばして奪うか、深夜に忍び込んで盗むかなどと考えていたんだが、200ゴールドでカタが付くなら安いものだ。


「いいよ、それじゃ200ゴールド」

「確かに。これがその杖だよ」



 よしよし。それじゃ魔法の効果が切れる前に退散しますか。





 ふむ、これがArdaline(アルダリーン)の杖か。弱いCharm(チャーム)の魔法が込められているが……あまり使い道ないな。Kud-Ei(クド=アイ)が実用品じゃないとか言っていたが、こんなんじゃ普通に魔法を使ったほうが良いわな。





 さて、目的の品も手に入ったことだし、Bravil(ブラヴィル)へ戻るとしますか。今が昼過ぎだから、日が暮れる頃には戻れそうだな。





 それじゃさくさく行きましょ。馬があれば早く行けたんだが、ウチの馬は相変わらずSkingrad(スキングラッド)につなぎっぱなしだ。いい加減、盗まれてるか餓死してるかして、残ってなさそうな気がするんだが……。






「おう、用事済んだから、また出かけるよ」

「あら、ずいぶん早かったわね」

「まあウチは優秀ですから」

「はいはい」

「む……。あ、そうだ、Vixen(ヴィクセン)って確かSummon(サモン召喚)の魔法を扱っていたよね?」

「そうよ、何でもありよ」

「強くて、炎に耐性があって、Magicka(マジカ)に優しいSummon(サモン召喚)ってない?」







「何なのよそれ。とりあえずFlame Atronach(炎のアトロナック)あたりが妥当かしらね?」

「Flame Atronach(炎のアトロナック)? ああ、炎の精霊のヤツね。アイツは確かに炎に耐性あるわな」

「そうよ。消費Magicka(マジカ)も、せいぜいZombie(ゾンビ)3体分ぐらいよ」

「せ、せいぜい……へー、ほー」






 というわけで、新しい付き人の誕生です。炎が有効な敵にはZombie(ゾンビ)よりFlame Atronach(炎のアトロナック)にしようか。






「一応確認のため……お、効いてない効いてない」



 何か怒ってるっぽいけどな。





 Vixen(ヴィクセン)に別れを告げてBravil(ブラヴィル)へ戻る途中、どうしても気になってしまうあのお店に再び立ち寄ってみた。


「お、あれ、開いてる?」



 今まで何度来ても閉まっていた店が、今回は開いている。さっきまで閉まっていたのにな。






「お邪魔しま~す」

「あら珍しい、お客さんだわ」



 珍しいって……商売する気あるのかよ。とりあえず防具がメインの店のようだな。1階がお店で2階が住宅といったところか。






「私の店では主人が造った品を販売しているの。どうぞ見てって頂戴」



 それじゃイロイロ見させていただきますか。


「へー、軽装鎧が多いね。しかし何か女性物ばかりみたいだけれど」

「ええ、型合わせは全部私が担当してるから当然ね」



 だそうだ。なんか露出の多い防具が多いと思ったのはそのせいか。でもまぁ悪くはないな。防具の他に服もいくつか置いてるみたいだし。


「よし、んじゃあ……これで合わせてみるかな」






 じゃん。さっきまでの真っ黒ローブから、少しおしゃれしてみました。ついでに決めポーズも。





 うん、こりゃ良いな。靴やグローブもしっかりしているし、何よりこの服だと無用なパンチラが防げて良いわ。





 帰り道はこれといった障害もなくさくさく進めるな。





 せいぜいあるとしたら……そう、あのOblivion Gate(オブリビオン・ゲート)の付近だが。





 現れたのはScamp(スカンプ)1体のみ。こいつ程度なら実験代わりにFingers of the Mountain(フィンガー・オブ・ザ・マウンテン)を使ってみるか。うんうん、結構強いな。消費Magicka(マジカ)のことを考えなければだが。





 本当はFlame Atronach(炎のアトロナック)の初実戦なんてのも考えていたのだが、あれ以降敵と出会うことはなかった。うーん、残念。何事もなく進んで、Bravil(ブラヴィル)までもう少しのところまで来てしまった。





 そしてBravil(ブラヴィル)前。この子は昨日宿屋に居た子だな。飯を食っていたときにチラッと見かけた記憶がある。





 Bravil(ブラヴィル)に着いた頃には丁度日が沈もうとしていた。行きに比べりゃ帰りは本当に何事もなく進めたから、結構早かったな。





 はいお母様、今戻りましたわよ。なんてな。






「ああ、素晴らしいわ! これを元の持ち主に返せるのは大変喜ばしいことです。ありがとうね」

「いやなに、大したことじゃないさ。せいぜい……」

「これを取り戻すのにどんなことをしたのか詳しくは話さなくてもよろしい。たぶん私は知らないほうがいいと思うから」



 え? いや……せいぜい200ゴールドで済んだから経費請求しようかなぁ、なんて思っただけだったんだが。あ、そうか、武器で脅したとか忍び込んで盗んだりしたんじゃないかってこと? そんなこと考えてもなかったよ、うん。ホントホント。


「あなたの行いは推薦に値する以上のものでした。大学にはさっそく私から推薦を送っておきます」

「そいつはありがたい。よそのギルドじゃ、忙しくてそのうち送るとか言ったり、支部長そのものがいなくなったりしてたからね」

「地方ギルドはそれぞれの方法で運営されています。それゆえ、それぞれのギルドがそれぞれの問題を抱えているということでもあるわ。もちろん、ここのギルドもね」



 ギルド員が粘着男に付きまとわれる程度なら、今までのギルドの中では穏やかなほうだと思うけれどもな。






「大学への推薦状は揃った頃かしら?」

「あともう少しだね」

「もしやるべきことをやれば、いつの日かそこに行けるようになるでしょう。あなたを援助してくれた人たちのことを助けることだけは忘れないでね」



 Kud-Ei(クド=アイ)の言葉に何か引っかかったのは、以前も似たような話を聞いたからだ。Anvil(アンヴィル)の支部長、Carahil(カラヒル)は「大学の連中は下々の事なんてすぐ忘れる」なんて事を言っていたのを思い出した。つまりそれは、大学に行ったら地方ギルドのことなんてすっかり忘れる恩知らずが多いってことなんだろうかな。





 ウチも恩知らずになるかどうかは、まだ先のことだから分からんがな。それ以前にまずは推薦状を貰わなきゃ大学にすら行けないのだから。

 さて、その推薦状も残すところあと1つ。Bravil(ブラヴィル)からさらに南下したところにあるLeyawiin(レーヤウィン)という街だ。船でもあれば川を下って行けるんだが、あいにくこの街には客船はないらしい。いつもどおり街道を進むことになりそうだ。


「次はLeyawiin(レーヤウィン)に行くのね。最近は治安がかなり悪くなっているから気をつけて」



 ウチが地図を見ていると、横からKud-Ei(クド=アイ)が声をかけてきた。確かに位置的にImperial City(インペリアル・シティ)からかなり離れているし、隣の国との国境のそばを通る道だ。パトロールのガードの数も、他の街道より少ないかもしれないな。ということは、それだけ野盗やモンスターがうろついている可能性が高いってわけだ。準備だけはしっかりしておこう。





 というわけで準備完了。まぁやることといったら、いつもよりポーションを多めに持っていくぐらいしかないからな。それを済ませたら、後はメシ食ってゆっくり寝るぐらいだ。まぁ食事と睡眠が一番重要だと思うけどな。





 メシも食ったしさっさと寝よう。服は着替えて前までの真っ黒ローブだ。今日買ったあの服だと、スカートの丈が長すぎて寝るには向かないんだよな。


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ひなみこと

Author:ひなみこと
昔:セクハラ騎士
今:セクハラ(される)魔術士

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