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09日目 ~魔界、崩壊、救出隊~




「ここんところ、ろくに寝れてないなぁ」



 まだ疲れの残る体を起こしてテントを出る。昨日のうちに準備は済ませたので早く向かおう。Matius(マティウス)たちが待っているはずだ。





 改めて荷物を確認する。自前で調合したFeather(羽毛化)のポーション。一時的だが荷物が軽く感じられるというヤツだ。ワインは……あと1本集めなきゃな。エリクサーはSinderion(シンデリオン)からもらった物。あとはMagicka(マジカ)回復のポーションと、癒しのポーションが20本前後ずつある。重要なのはMagicka(マジカ)回復のポーションだ。しょっちゅうMagicka(マジカ)切れを起こしやすい中で、どれだけ節約できるかが問題だな。






「朝焼け……じゃないな。こいつはまたか?」



 そらがますます朱に染まっていく。まるでOblivion(オブリビオン)に侵食されてるようじゃないか。急げば間に合うか? バリケードまでダッシュで駆け出した。






「来たぞ! 追い払え!」

「奴らに償わせてやる!」



 ウチがバリケードに着くと同時に、Oblivion Gate(オブリビオン・ゲート)からDaedra(ディードラ)たちが現れた。紫色の光で身を包んでいるのはScamp(スカンプ)だな。ごくまれに魔法を弾き返すReflect Spell(リフレクト・スペル)の効果があるんだ。昨日、1回だけDrain Health(ドレイン:体力)が跳ね返ってきたときはビックリしたがな。






「だからScamp(スカンプ)相手には、弱いほうのDrain Health(ドレイン:体力)にするのさ!」



 幸い、跳ね返ってくること無く倒すことが出来た。どうやら跳ね返ってくる確率は低いようだけども、用心に越したことは無い。

 出てきたDaedra(ディードラ)の数も少なく、あっという間に倒し終えた。朱い空はいつの間にか雨模様に変わっていた。






「君がOblivion Gate(オブリビオン・ゲート)を閉じる方法を見つけるまで、我々はこの場所を確保しておこう。私にできるのはそれくらいだ」

「あいよ、戻ってきたのに敵に囲まれたくないからな。じゃあまた行ってくる……あ、そうだ。人型のDaedra(ディードラ)が居たんだけど、何か知ってる?」

「何だって、それはDremora(ドレモラ)のことか! ヤツは強力だ。Scamp(スカンプ)がCyrodiil(シロディール)で例えるならオオカミだとすれば、Dremora(ドレモラ)は騎士だ。そのぐらいの強さの違いがある」



 なんてこったい。昨日、そいつと戦ったときに苦労したのはそのせいか。昨日は1人しか見かけなかったが、塔の中にたくさん居ることも考えられるな。そもそも、橋の開閉装置の操作なんかをScamp(スカンプ)とかが出来たとは思えない。





 だが、そうとなるとできる限り急いだほうが良いな。まだMenien(メニエン)というガードも助け出してないし。おそらくMenien(メニエン)を連れて行ったヤツも、そのDremora(ドレモラ)かもしれん。彼らガードの戦いぶりを見てると、Scamp(スカンプ)やトカゲ程度に後れを取るレベルじゃないもんな。





 再びやってきた朱い世界、Oblivion(オブリビオン)。ウチが去ったときと変化はなく、橋の門はひらいたままだ。ガードの死体にも変化は無い。橋を渡り終えて、塔の前に出る。





 中央の巨大な塔。左右にも塔があり、空中の連絡橋でつながっている。全部回ると1日で足りないんじゃないだろうか……。そんな不安を覚えながら、塔の門を開いた。





 左右に祭壇のようなもの。中央には巨大な火柱が上がっている。フロア自体はそれほど広いものじゃないが、トカゲがウロウロしていたので、こっそり始末しておく。断末魔を上げる間もなく崩れ落ちるトカゲ。騒がれて他の敵が駆けつけたら厄介だもんな。






「でっけぇ火柱。天井が見えないくらい上まで昇ってるぞ」



 不自然に一直線に昇る火柱。何か魔法の力でもかかっているんだろうか。乱れることなく昇る火柱を眺めながら、広場の脇にある扉を進む。






「こそ~りこそり」



 できる限り騒ぎにならないよう、静かに進む。見つかりにくいようにと、身をかがめて進む。あんまり隠密とか潜入とか得意なほうじゃないんだが……。


「誰だ貴様!」



 ほら、見つかった。





 人型Daedra(ディードラ)、もといDremora(ドレモラ)がメイスを振り回してくる。ウチもすかさずZombie(ゾンビ)を召喚するが、さすがに強い。Weak Fireball(ファイアボール)を打ち込むが、さほど効いてないな。くそぉ、強めのDrain Health(ドレイン:体力)で一気に仕留めにかかる。






「うそっ、これでも倒れないのかよ!」



 昨日戦った弓使いDremora(ドレモラ)より体力があるってことか。しかも向こうも魔法を使ってくる始末。きついな、じりじりと後ろに下がりながら魔法を打ち込み続けるが……。





ガンッッ!!

 Dremora(ドレモラ)のメイスがウチの頭に直撃する。くぅ……いってぇ。星が見えたぞ。だが幸いにして、ウチが同時に打ち込んだDrain Health(ドレイン:体力)がトドメになったらしい。危ない危ない……けど、あとちょっと早ければ食らわなかったんだが……おぉ痛ぇ。

 何か戦利品でももらっていこうかと思ったが、Dremora(ドレモラ)のメイスも盾も無駄に重い。とてもじゃないがこんなもの持ち歩いてられん。Dremora(ドレモラ)の死体と一緒に置き去りにした。





 メイスDremora(ドレモラ)の居たフロアには、前にも見かけた赤い噴水のインテリアがあった。その気は無かったんだが、頭がくらくらしてたのと、床の段差につまづいたのとで手をかけてしまった。その途端、ウチの体にみなぎるパワー。お、これって回復設備なのか。ちょいとグロテスクなのを除けば便利なもんだな。





 そのフロアにあった扉を進むと、また火柱とご対面。どうやらこの塔は、図にすると二重丸のような構造なんだろう。内側の丸と外側の丸を交互に進んで登っていく構造のようだ。面倒な造りだな。何が面倒かって、区画ごとに見張りのDremora(ドレモラ)が居るってことなんだよ。





 突然だがウチのMagicka(マジカ)がどれくらい乏しいものなのか説明しよう。まずは護衛のZombie(ゾンビ)を召喚する。そして炎の効かないDremora(ドレモラ)に雷の魔法―Fingers of the Mountain(フィンガー・オブ・ザ・マウンテン)―を打ち込む。





 Zombie(ゾンビ)が頑張って体力を削ったところで、強めのDrain Health(ドレイン:体力)でトドメを刺す。この3回の魔法で、ウチのMagicka(マジカ)は底を付く。Dremora(ドレモラ)1体相手でこれだ。魔法を外したりDremora(ドレモラ)が複数現れたりしたら、すかさずMagicka(マジカ)回復のポーションの出番だ。数に限りがあるので、無駄にしたくないんだが……。


「このDremora(ドレモラ)、何か持ってるな」






 Flawed(傷物)の真珠だ。この世界で真珠って取れるんだろうかな。せっかくなのでもらっていく。





 Magicka(マジカ)が自然回復する前に新たなDremora(ドレモラ)が出たので、ここでもMagicka(マジカ)回復のポーションを惜しみなく使う。戦利品はこれといった物なし。うーん、コストの悪い戦い方だな。また外側の丸へ出る扉を進む。






「わっ! 急に出てくるんじゃねぇよ!」



 突如飛び出してきた小トカゲを仕留める。あぶねぇなぁ、気をつけて進まないと。この先はすこし広くなったフロアのようだが……。





 中央に見えるのはベンチのようにも見える。丸を描くように並べられたベンチ。もしかしてここは、Dremora(ドレモラ)の憩いの場所? そんな風情があるのかね……なんかさっきから左の方が、ガッションガッションとうるさいな。





 どうやらScamp(スカンプ)が罠にかかっていたようだ。鉄杭がひっきりなしに出し入れされている。あの死体が残っている限り、あの罠はずっと反応してるんだろうな。

 このフロアには目の前のこれ以外にも扉があったのだが、どれも鍵がかかっていた。どこかで鍵を探さないといけないな。






「うおおぉぅっ! ……びっくりした」



 どうやらここは、外でも見かけたあの連絡橋の上。わお、むちゃくちゃ高ぇ。





 しかも道幅が狭い。こりゃ足を踏み外したら一巻の終わりだな。慎重に向こうの塔まで進む。おーこわ。





 塔の扉を開けると、上のほうから人の声がする。誰だ……Dremora(ドレモラ)のようなくぐもった声じゃない。人間か?

 見上げると、この塔も天井の床がガラス張りになっている。中央になにかが見えて、その脇にはDremora(ドレモラ)が……あ、目が合った。この螺旋階段で戦うのは危険なので、すばやく天井フロアまで駆け上った。





 中央にあったのは檻だ。中に誰か閉じ込められている。彼がMenien(メニエン)か? だがその前に、目の前のDremora(ドレモラ)を何とかしないとな。メイスを構えてこっちに向かってきた。






「人間よ、ここはお前の場所ではない。貴様の血と肉で贖うがいい!」


 だが断る。Dremora(ドレモラ)はメイスを振り回して襲ってくるが、1体しかいない。さっきのパターンで……うおっ、足を踏み外した!





 幸いすぐそばの螺旋階段にひっかかったが、足場が悪いし狭い。天井フロアに戻る前にDremora(ドレモラ)に道をふさがれた。ええいどけ!





 2、3発殴られたが、何とかDremora(ドレモラ)を撃退。足場はちゃんと確認しないとダメだな。癒しのポーションとMagicka(マジカ)回復のポーションをぐびぐびと……ふぅ。


「あんたがMenien(メニエン)? 今助けるから……」

「私に構う暇は無い、よく聞け! Oblivion Gate(オブリビオン・ゲート)を閉じる方法だ!」







「あの大きな塔の頂上に向かうんだ。敵はSigil(シジル)の守りと呼んでいた。そこから、Oblivion Gate(オブリビオン・ゲート)を開放しているのだ! Sigil Stone(シジル・ストーン)を探し出せ。これを外せば、ゲートは閉じる! 時間が無い! そこの守り手が鍵を持っている。鍵を奪え!」



 ええい、早口で言われてもわからん……とにかく鍵だな。






「あった、これだな」

「持ったか? Sigil(シジル)の守りに入るには、それしかない!」



 見張りのDremora(ドレモラ)が懐に隠し持っていた鍵を奪う。こいつでこの檻を開けることが出来ないのか?


「くそっ、この檻はどうやって開けるんだ?」






「私にかまうな。時間が無い! 早く行け!」

「そうは言うがな、あんたを助けるよう頼まれたんで……ええい、どうなってんだこりゃ?」

「良いから急げ! 私のことは自分で何とかする! 君は早くSigil Stone(シジル・ストーン)を探し出すんだ」



 しばらく試してみたが、一向に開く気配が無い。周りの壁に開閉装置らしきものも無い。……仕方ない、ここは彼に自力で何とかしてもらうとして、ウチはそのSigil Stone(シジル・ストーン)とやらを見つけに行こう。それを奪えばOblivion Gate(オブリビオン・ゲート)が閉じるようだ。


「……わかった。必ず抜け出すんだぞ!」



 ウチはMenien(メニエン)の開放を諦め、鍵を持ってその場を後にした。連絡橋を渡り、鍵のかかっていた扉のフロアまで戻ってきた。






「こっちから行ってみるか」



 罠の奥にあった扉から進んでみる。鍵を開けると重々しく扉が開いていく。上り坂になってるところを見ると、この扉で合っているようだが……。





 またDremora(ドレモラ)か。ここは足場が安定しているので、召喚・雷・Drain(ドレイン)のパターンどおりで仕留める。





 最近分かったのだが、相手が気づかないうちに魔法を打ち込むと、いつもより若干効果が強く出ているようだ。相手が体勢を整えていないうちの一撃だからだろうな。

 目の前の扉を進むと、ちょっと予想外の光景が待っていた。






「・・・・・。行き止まり?」



 ご丁寧に2つある扉は、両方ともさっきのところに通じるだけだ。同じところに出るんなら1つで良いじゃないか。それよりここって意味あるところなのか? とりあえず目に付いた、赤い花みたいなのを覗き込むと……。






「これは、宝箱の役割を果たしているんだろうか?」



 しかしこの世界でお金を拾うってどうよ? 実はOblivion(オブリビオン)の世界もCyrodiil(シロディール)と同じ通貨を使ってるとでも言うのか? もしくはこの世界に迷い込んだ人間の持ち物とか? よく分からんが、一応もらっていく。





 無駄に時間を過ごしてしまったな、Menien(メニエン)に怒られそうだ。罠のある部屋まで戻ってきたので、もう一つの鍵のかかった扉へと進む。






「ここもDremora(ドレモラ)か……」



 同じパターンでいくか。まずはZombie(ゾンビ)を召喚した後、Fingers of the Mountain(フィンガー・オブ・ザ・マウンテン)を打ち込む。こちらに気づいて慌てて向かってくるDremora(ドレモラ)が2体……え?


「くそっ、脇に居て見えなかったのか!」



 1体はZombie(ゾンビ)の方へ、もう1体はウチの方へ向かってきた。ウチはその攻撃をくぐりぬけ、そのまま先に進むような形で突っ込んだ。失敗したな、後ろに下がるべきだったと動いてから悔やむ。先に進んで新手が現れたら厄介だ。途中で振り返ると、すでに召喚されたZombie(ゾンビ)は瀕死状態。やられるのを待つよりも先に召喚しなおそう。

 1体は常にこちらに向かってきているので、Zombie(ゾンビ)と戦っているDremora(ドレモラ)にトドメを刺しにくい。一度Drain Health(ドレイン:体力)を放ったが、ウチに向かってくる方のDremora(ドレモラ)が体を張って防ぎやがった。何てヤツだ。





 それでもMagicka(マジカ)回復のポーションを使いながら戦い続けて、ようやく2体とも倒し終える。くっそぉ、かなりポーション使っちまったな。癒しのポーションは、回復魔法で節約するとしよう。





 正直、この回復魔法は戦闘中に使えるほど役に立つものじゃない。消費は小さいが回復はもっと小さい。使いどころは戦闘が終わってから一息つくために使うぐらいだ。


「ん、Dremora(ドレモラ)かな? でも見た目が何か違うが……」






 回復を終えたところで近寄ってみると、向こうも魔法を使い出した……Summon(サモン召喚)、魔法使いか! すかさずFingers of the Mountain(フィンガー・オブ・ザ・マウンテンを打ち込む。召喚されたのはScamp(スカンプ)だったが、そこらのヤツより一回り大きい。トカゲと同じパターンか、なら先に術者の方を仕留めてしまうさ!





 魔法使いだけあって、そこらのメイスDremora(ドレモラ)に比べて体力に劣る。魔法で畳み掛けるとあっさり片が付いた。魔法使いだから魔法的な何かを持ってるんじゃないかと思ったが、持っていたのは重たいメイスのみ。ここでもまた死体と一緒に置き去りにして、その奥の扉を開けて進んだ。






「おっ……また連絡橋か」



 もう一つの塔へと続く連絡橋。こちらには用は無いはずだが、一応向かってみる……が、あったのは。





 トカゲの群れと。





 魔法を打ち込んでくるScamp(スカンプ)と。





 そして小銭が少々。まったくの無駄足だったので、さっさと戻ることにした。だけど途中で他の道なんかなかったと思ったけどなぁ。罠のフロアにはあれ以上の扉はなかったし……。見過ごしたかな?





 見過ごしていた。さっきのDremora(ドレモラ)が2体居た所に脇道があった。あの時突っ走っちゃったから気づかなかったようだ。





 またまた火柱のフロアに戻る。いい加減、結構登ったと思うんだがな。しかしまだ頂上へはたどり着いていない。やっぱ結構高いな、この塔。先に進むとまたしても見張りの姿を発見。





 Zombie(ゾンビ)、Fingers of the Mountain(フィンガー・オブ・ザ・マウンテン)、Drain Health(ドレイン:体力)。はい終了。いや、口で言うほど簡単じゃないんだけれどもな。さっきから同じパターンだから、説明するのも面倒になってきた。というか眠い。






「扉が無ぇぞ? かわりにあるのが、この変な台座だけれども」



 あるのは変な紋様が記された台座。こいつも昇降機の代わりになるのかな? 試しに上に乗ってみると……。






「おっ、場所が変わった……。これってもしかしてテレポートしたってこと?」



 ウチが求めたテレポートの技術がこんなところで見つかるとはな。しかしこいつは、この台座とさっきの台座の間のみをつなぐ機能しかないらしい。もっとゆっくり調べたかったのだが……敵のお出ましだ。





 敵はDremora(ドレモラ)の魔法使いだ。さっきも戦ったが、はやく仕留めないと次々とSumonn(サモン召喚)するからな。Scamp(スカンプ)のほかにも炎の精霊のようなヤツまで呼び出す始末。時間はかけたくないんだが、チョロチョロと逃げ回って照準が合わない。しかし徐々にウチのZombie(ゾンビ)に追い詰められ……。






「あっ」



 橋と外周の隙間に足を取られて、まっ逆さまに落ちていった。こんな狭いところで逃げ惑うからだよ。おかげで戦利品を取りにも行けやしない。イチイチ戻る気もないしな。





 ぐるりと回ってきて、ようやく行き止まりに。脇には扉がある。天井を見ると屋根のドームがすぐそばだ。どうやら登り続けるのも終わりに近づいてきたようだ。しかし火柱はドームを突き破って更に上まで昇っている。もう少しだな。





 扉を通って少し登ると、どうやらドームの上にたどり着いたようだ。通路から中を覗くと、ドームの床と、それを突き破った火柱が見える。近くに敵の姿は見えない。






「そろそろ目的のSigil Stone(シジル・ストーン)とやらがあっても良いと思うんだがな」



 今までのフロアと異なり、装飾が効いたところのようだ。こういうところにご丁寧にありそうな気がするんだけどな。階段を登っていくと、待ち構えていたDremora(ドレモラ)が襲い掛かってきた。






「くそっ、こいつ更に強ぇぞ!」



 剣を持ったDremora(ドレモラ)が、ウチのZombie(ゾンビ)を圧倒する。剣技に加え、炎の魔法まで打ってくるんだから、Zombie(ゾンビ)程度じゃ相手にならないってか。ならウチも本気を出してやるさ!

 ……と思ったが、気づいたらMagicka(マジカ)回復のポーションがあと1本だけしかなかった。これはまずい。仕方なく、これは緊急用に取っておくとして、最後の力でZombie(ゾンビ)を召喚した後に一気に上を目指して駆け上った。






「よし、予想通り!」



 一番上には、目的の品と思われるSigil Stone(シジル・ストーン)が、火柱の力を受けるように浮いていた。こいつを取ればゲートは閉じるんだな、よし!





 手をかざしただけで火柱の熱気に押されそうだ。火傷の一つや二つは覚悟したほうが良さそうだな。脇では、Zombie(ゾンビ)を倒したDremora(ドレモラ)がこちらへ登ってきてるのが見えたが、遅かったな!


「もらっていくぜ!」






 ウチがSigil Stone(シジル・ストーン)を奪い取ると、下から登る火柱が支えをなくして、暴走を始めた。おいおい、こりゃ逃げる暇なんてないんじゃないのか……うわぁっ!




















































 気づくと、いつの間にかKvatch(クヴァッチ)の前まで戻っていた。Sigil Stone(シジル・ストーン)を奪い取って、火柱が暴走したあと、急にふっと浮かぶ感覚があったのは覚えているが……。









 どうやらゲートも閉じて、無事戻ってくることが出来たようだ。手元には奪い取ったSigil Stone(シジル・ストーン)もある。幸い、手には火傷は負っていなかった。この石には、あの火柱の熱を防ぐ魔力でも込められていたんだろうかな?

 とにかく何とかゲートは閉じた。バリケードで待っているMatius(マティウス)に報告しておくか。しかし眠い。一日ずっと働きづめだし、いつの間にかこっちは夜になっているし……。






「ゲートを閉じたのか? 君なら出来ると思っていた! 今こそ反撃の好機だ!」



 おう、頑張ってくれ。ウチは疲れて眠い……。


「よし、街門をふさがれる前に突入するぞ! 君も力を貸してくれ!」



 ああ、頑張って……え? いや、ウチずっと働きづめなんですけど……って、話きいてないや。


For Kvatch!(クヴァッチのために!)」






 ええいくそ、行けばいいんだろ、行けば。終わったらすぐ寝るからな。まったく……。というわけでウチもKvatch(クヴァッチ)解放に借り出される。どうでも良いけどMagicka(マジカ)回復のポーションは1本しか残ってないから、満足な戦いは出来ないんだろうけどな。……しかし眠い。





 Kvatch(クヴァッチ)の街は地獄だった。路上ではガードの死体が無造作に転がっており、中にはトカゲに食われ、骨がむき出しになった者まである。しかし悠長に眺めてる場合じゃない。こちらの突入に気づいたトカゲやScamp(スカンプ)、更に奥にはDremora(ドレモラ)の姿もある。

 強い連中はガードに任せて、ウチはScamp(スカンプ)から仕留めていくか。Scamp(スカンプ)なら弱い方のDrain Health(ドレイン:体力)で一撃だ。Magicka(マジカ)の節約にもなる。それにScamp(スカンプ)は魔法を飛ばしてくるからな。こういうヤツを残してるとかえって厄介だ。それとガードたちの援護のためにZombie(ゾンビ)を召喚しておくのも忘れない。






「くぉっ!」



 ガードの一人がDremora(ドレモラ)に押され気味だ。あいにくこちらも手一杯かつMagicka(マジカ)も限界。最後のポーションを使うが、そちらの援護に回れない。そんななか現れたのが我らのCaptain Matius(マティウス隊長)。部下の危機を察して援護に駆けつけた。






「これで最後だ!」



 弱体化の魔法をかけられながらもなお戦い続けるCaptain Matius(マティウス隊長)。ボロボロになってるはずなのにそこまで戦い続けられるものなのか。むしろギリギリに追い詰められてからが騎士の真骨頂というわけか。最後に残ったDremora(ドレモラ)がMatius(マティウス)の一閃で仕留められると、あたりは急に静かになった。もうこのあたりには敵は残ってないようだな。


「ハハ! 化け物どもを一掃したぞ!」



 やけに元気の良いCaptain Matius(マティウス隊長)。そこまで強いんなら、あんた一人でゲート閉じられたんじゃないか? こっちはもう疲れと眠さで限界だっていうのに。






「これで教会から生存者を出しても大丈夫だ。中に入って、彼らの無事を確認しよう」



 あ、そうだな。ウチはもともとMartin(マーティン)を探しにKvatch(クヴァッチ)に来たんだっけ。いろいろあって頭からすっぽ抜けていたよ。っていうかマジ眠い。





 Captain Matius(マティウス隊長)はもちろん、他のガードたちにも犠牲者はなし。だがみな一通り傷つき、疲れ果てている。良いさ、目の前の教会に入ったらみんなで休もう。眠いし。いや眠い。

 




「状況を報告しろ」



 眠いっす。

 教会の中。Matius(マティウス)が教会に部下を残してきたと言ってたが、それらしきガードに状況を確認しているところだ。しかしウチはもうマジで眠い、ヤバすぎ、マジ限界。脇に居たIlend Vonius(イレンド・ヴォニウス)に一言言って、ウチは先に休ませてもらうことにした。

 教会の奥には逃げてきた住人らしき人たちが集まっていた。みな神に祈りを捧げていたが……悪ぃ、お嬢ちゃん、寝るところある?






「よろしい。教会の周囲の敵は一掃した。生存者の安全を確保しなければならない。ただちに、南のキャンプまで護送しろ」



 もうだめ、横になった以上は耳に入ってきても頭が回ってない。それぐらい疲労困憊。はいバタンキュー。








































「状況を確認しろ」

「生存者はこれで全部です。Berich Inian(ベリヒ・イニアン)と私、そしてこれらの市民たちだけです」

「それで全部か? 他にいないのか?」

「おりました。しかし、ここに留まることを拒否したのです。何とか止めようとしたのですが、結局出て行ってしまいました。おそらく全滅でしょう」

「よろしい。教会の周囲の敵は一掃した。生存者の安全を確保しなければならない。ただちに、南のキャンプまで護送しろ」







「ですが! 私も共に戦いたいのです!」

「ああ、戦えるとも。生存者の安全が確保でき次第、ここに戻ってくれ。我々は少しでも多くの戦力を必要としている。敵はそこら中にいるのだからな」

「了解しました! みなさん! ここから出ますよ! さあ、行きましょう!」






「さあ、あなたも」

「ええ……」







「Captain Matius(マティウス隊長)、ご無事で何よりです」

「これはこれは、あなたも無事でしたか」

「はい、あなたが残してくれたガードたちのおかげです。しかし私は無力です。留まることを拒否した方々を止める術を持っていなかった。彼らはこの教会まで逃げることが出来たというのに……」

「自分を責めてはいけない。あなたはあなたのできる限りのことが出来た。あの住人たちが今生きてるのは、あなたの努力の結果だ。違いますか?」

「ありがとうCaptain Matius(マティウス隊長)。……ところで、あの方は?」







「彼女ですか? 旅の冒険者だそうです。彼女の力なくしては我々もここに立っていなかったでしょう。信じられますか? Oblivion Gate(オブリビオン・ゲート)を閉じたのは、彼女が一人が成し遂げたことなんです」

「まさか! あのOblivion Gate(オブリビオン・ゲート)を!?」

「はい。彼女はまさに"Hero of Kvatch(クヴァッチの英雄)"と呼ぶに相応しい働きをしてくれました」

「Hero of Kvatch(クヴァッチの英雄)……」

「さ、あなたもキャンプまでお行き下さい。私の部下が護送します」



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ひなみこと

Author:ひなみこと
昔:セクハラ騎士
今:セクハラ(される)魔術士

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